2022年8月のブログです
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伊坂幸太郎『砂漠』(2017・実業之日本社文庫)を旭川の古本屋さんで買って読む。
だいぶ前に単行本で読んだ記憶がうっすらとあったが、中身を忘れてしまっていて、旅先で本棚の確認もできず(かりに確認をしても見つけられるともかぎらず…)、古本のわりに少し高かったがつい買ってしまう(うちの奥さんには内緒)。
これがいい小説。
伊坂ワールド全開だ。
例によって、あらすじは書かないが、盛岡から仙台の大学の法学部に進学した真面目な主人公が、友人とのつきあいの中でいろいろな経験をして、こころの幅を広げていくさまが、ユーモラスに描かれていて心地よい。
もちろん、楽しいだけでなく、たくさんの哀しみや憤り、怒りなども丁寧に描かれていて、青春の苦しさも感じられる。
真面目で少し堅苦しい主人公と好対照なのが、理屈より行動を重視する友人の西嶋。
一見、はちゃめちゃな理屈と行動で回りを驚かすが、一本筋が通っていて、気持ちよい。
彼らが、友人づきあいの中で、お互いに影響を与え合っていく様子は、読んでいてうらやましくなるような関係だ。
西嶋が高校生の時に出会う家裁調査官は、『チルドレン』の陣内調査官を彷彿させるいい味の調査官。こういう調査官が増えてほしい。
真面目だけではない、いろんな隠し味が散りばめられていて、それを味わうのも楽しい。
旅先の木陰で、とても心地のよい物語を楽しめた。 (2022.8 記)
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2024年9月の追記です
その後、我が家の本箱周辺を捜索したところ、なんと本棚の横に単行本の『沙漠』を発見!
じーじは単行本はほとんど買わないのだけれど、どうしたのだろう?
当然、うちの奥さんには内緒! (2024.9 記)