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佐々木譲『雪に撃つ』2022・ハルキ文庫-愚直な者の生き方と愚直なおとなの恋愛を描く

2024年09月19日 | 北海道を読む

 2022年7月のブログです

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 佐々木譲『雪に撃つ』(2022・ハルキ文庫)を読む。

 これも夏休みにゆっくり読もうと楽しみにしていた本。

 実は単行本を去年の夏に東川の図書館で借りて読んでいて、さすがに物忘れのひどいじーじでもあらすじはだいたい覚えていたが(たぶん)、今回は佐々木さんの力のある文章をたっぷり楽しみながら読もうと思った。

 結果は大正解で、佐々木さんの深く美しい物語を十分に堪能させてもらった。

 あらすじは例によって書かないが、愚直な者どもの生き方と愚直なおとなの恋愛が描かれて、なかなか感動的だ。

 組織の腐敗を暴いたことから閑職に追いやられている警察官の愚直な仕事ぶり、しかし、単純と思われた窃盗事件が殺人事件に結びつくなど、意外な展開を見せる。

 社会派の佐々木さんらしく、技能実習生の問題を背景に据えて、実習生の支援組織の人々とのやりとりも温かく描かれて、印象深い。

 一方、愚直なおとなの恋愛のほう。

 離婚経験者同士の不器用な恋愛が今回も歯がゆい。

 不器用さでは引けを取らないじーじだが、思わず、もう少しうまくやれよ、と声を掛けたくなるほど。

 しかし、これがおとなの恋愛かもしれない。

 そういえば、『マチネの終わりに』の恋愛もかなりの不器用だった。

 不器用だが、愚直な恋愛も、味があっていいかもしれないとも思う。       (2022.7 記)

 


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