ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

岩宮恵子『思春期をめぐる冒険-心理療法と村上春樹の世界』2007・新潮文庫-その1・村上春樹さんの小説と心理療法

2024年09月05日 | 子どもの臨床に学ぶ

 2011年のブログです

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 先日、河合俊雄さんの村上春樹論を読んだので、今度は久しぶりに岩宮さんの村上春樹論を読みました。

 もっとも、以前読んだのは日本評論社版(2004)だったので、こちらのほうは少し改稿があったらしいのですが、じーじはあまり気がつかずに読んでしまいました(ごめんなさい、岩宮さん。後で比べてみます)。

 岩宮さんは河合隼雄さんの教え子さんで、心理臨床にたずさわりながら、『生きにくい子どもたち-カウンセリング日誌から』(1997・岩波書店)や『フツーの子の思春期-心理療法の現場から』(2009・岩波書店)などのすばらしい本を書かれています。

 『思春期をめぐる冒険』もとてもすばらしい本なのですが、以前読んだ時は残念ながら浅く読んでしまい、本当に申し訳ないのですが、すごく感動をするところまでには至りませんでした。

 今回は前回から7年後で、おそらくはじーじなりに仕事での経験を経たり、年をとって村上春樹さんの小説の読みも多少は深くなっていたのかもしれませんが、とても感動をさせられました。

 途中で、『村上春樹、河合隼雄雄に会いにいく』(1996・岩波書店)からの引用があったので、そちらも久しぶりに読んで感動をしたりして、少し寄り道もしましたが、ようやく読み終えました。

 読みの深さがすごいと思いましたし、事例もとても感動的でした。

 読んで自分の魂が揺さぶられたような感じがしています。

 とてもいい本です。

 もっと、適切な説明ができるといいのですが、今はこれが限界です。

 ぜひ、ご一読ください。     (2011.10 記)

 

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帚木蓬生『風花病棟』2011・新潮文庫-真の医療とは?

2024年09月05日 | 小説を読む

 2019年のブログです

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 帚木蓬生さんの『風花病棟』(2011・新潮文庫)を読みました。

 2011年の作品ですが、旭川の本屋さんで本を眺めている時に、偶然、目にしました(帚木さん、遅くなってごめんなさい)。

 いい本です。

 10篇の医師と患者さんを描いた短編集ですが、いずれもなかなかの力作で、読み応えがあります。

 帚木さんは精神科医で作家さん。

 『三たびの海峡』『閉鎖病棟』などなど、いい小説を書かれています。

 本書に登場するお医者さんは精神科医だけでなく、さまざまな分野の専門医やさらには研修医などですが、いずれもが真の医療とは何かを問いかけます。

 例えば、問診だけで医学部の学生をうならせるほどの診察をする市井の老医師、アルコール依存症の患者さんと真摯につきあう若手医師、看護師に、現場から離れるな、と教わる研修生、その他、もろもろ。

 また、登場する患者さんもなかなか個性的で魅力的です。

 そして、帚木さんらしく、戦争に関係のある小説も登場します。

 いずれも、ヒューマニズムというと簡単ですが、生きる意味や医療の意味を問いかけて、なかなか重いです。

 軽いことやお笑いが横行している世の中ですが、たまには重くて、深いテーマの小説もいいものです。

 重さを忘れるためのユーモアは大切ですが、笑いっぱなしでは仕方ありません。

 今日もいい小説が読めて幸せです。      (2019.8 記)

 

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