2019年のブログです
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小倉清さんの『子どものこころの世界-あなたのための児童精神科医の臨床ノート』(2019・遠見書房)を読みました。
本書は小倉さんが1984年に出した『こころのせかい「私」は誰?』(同書の拙い感想文もブログに書いてありますので、よかったら読んでみてください)を改訂した本で、内容がさらにパワーアップしています。
もちろん、基本的なところは同じで、本書でも子どものこころの成長を精神分析的な見方をもとにして、とてもていねいに説明されています。
現場で長らく診療をされているお医者さんなので、症例が豊富ですし、重要なケースがたくさん出てきて、それをどのように診るか、どのように理解するのか、じーじのような初学者にはとても勉強になります。
例によって、今回、特に印象に残ったことを一つ、二つ。
一つめは、防衛機制について。
防衛機制というのは、ご存じのかたも多いと思いますが、こころの平衡を保つための心理的な作用のことで、否認や抑圧、合理化などが有名ですが、この説明がすごいです。
これまで、いろいろなかたの説明を読んできていますが、小倉さんの説明が一番シンプルで、かつ、わかりやすいのではないでしょうか。
文章が本当にこなれていて、読みやすいです。
幻聴についても、投射という機制で説明をされていて、とてもよく理解ができました。
二つめは、症例の豊富さ。
しかも、適切な説明がなされますので、本当にびっくりしたり、感心をしたり、驚くばかりです。
三つめは、年代ごとのこころの成長と課題について。
とにかくていねいで、温かく、子どものことを考えられていると思います。
近いうちに、さらに再読をしようと思いました。 (2019.9 記)