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子どもをめぐる争いにおいて子どもの意思を尊重することについて考えてみる-家庭裁判所での司法臨床と臨床心理士の経験から

2024年11月06日 | 「おとな」の親を考える

 2024年11月のブログです

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 面会交流や子どもの親権者・監護者の指定などで子どもをめぐる争いが生じた場合に、子どもの意思を尊重することが大切になると思われるが、そのことに考えてみたい。

 子どもの意思を尊重することが大切であることに異論はないと思うが、子どもの意思を尊重するということは簡単なことではなく、とても難しいことである。

 民法では、養子縁組の際に、子どもが15歳以上であれば、自分で同意の意思を示すことができると規定されており、ここから考えると、子どもが15歳以上の場合には、その意思を尊重しなければならないと考えられていると思われる。

 つまり、子どもが15歳以上の場合には、子どもは自分の意思を表明する権利と責任があると考えられる。

 一方、家庭裁判所の実務では、子どもをめぐる争いの場合に、子どもが10歳程度からその意思を参考にしているように思われる。

 もっとも、参考にするだけで、子どもをめぐる争いに結論を出す場合には、それよりも双方の親の過去の監護状況や現在の監護状況で判断されることが多いと思われる。

 参考にする場合でも、子どもの意思や気持ちや感情などは、流動的で、不確実性や複雑さなどが大きく、その把握のためには慎重な配慮と十分な対応やケアが求められる。

 例えば、じーじの経験では、子どもは現在、一緒に住んでいる親の気持ちにすごく配慮をするし、その親の態度や言葉などに影響をされることが多いと思う。

 子どもがそのような状況の中で不用意な発言をしてしまうと、あとで後悔をするような場面も想像される。

 そういう子どもに意向を表明させることには慎重でなければならないし、場合によっては意向を表明させないことが子どもを守ることになるだろうと考える。

 子どもの意思を尊重するということは、そういった子どもの立場を守って、子どもの意思の表明の是非や可否を慎重に判断することによってのみ可能になることではないかと考えられる。

 子どもの権利を守り、子どもの福祉を実現するためには、子どもの意思を尊重することが不可欠であるが、子どもの意思の確認にはおとなの上記のような配慮と冷静な対応、十分なケアが不可欠であることを忘れてはならないだろうと考える。        (2024.11 記)

 


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