弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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アイデンティティ戦略としてのデザイン【一橋ビジネスレビューより】

2007年11月17日 08時44分18秒 | 知財記事コメント
研修での小ネタ探しに色々と文献を読み漁っているなかで面白い記事があったので紹介。2007年秋号です。興味を持たれた方は是非ご一読を。この号では「デザインと競争力」という特集で、他にも興味深い記事が多数。デザイナーの深澤直人さん(INFOBARなどのデザインも手がけた日本有数の工業デザイナー)のロングインタビューも示唆に富んでいた。

掲題の記事は、武蔵野美術大学非常勤講師も勤める小田島孝司氏によるもの。
この記事では、電電公社からNTT、そして移動端末部門の分離によって誕生したDoCoMoのブランドアイデンティティ戦略の“裏話”が語られている。

親方日の丸的感覚が抜けない中の人間と、「官」から「民」への転換を命題として突きつけられた組織とのせめぎあい。その中での“指針”としてのブランド名(=形式)とそこにこめられる意味合い(=実体)。

次のくだりは、DoCoMoのブランド戦略に関して語られる中の一説である。
<以下引用>
「いったん発表されてしまえば『DoCoMo=ドコモ』の意味がそもそも何かなどに一般生活者もマスコミもほとんど関心をよせない。『ふーん、そうなの・・・・』程度のことだ。しかし、きちんと意味を説明できるブランドを戴いて新会社をスタートできるというのは、当事者においては非常に重要なことである。いつの時代も、企業のコアはしっかりした理念に尽きる。企業ブランドがそのまま理念であれば、それを使う限りぶれることはない。」
<引用終わり>

ドコモ規模の会社ともなれば当然上記の通りである。しかし理念が確固たるものであることの重要性は、企業の規模の大小にかかわらず同じである。そして、コーポレートブランド戦略は、そうした将来に向けた企業のベクトルを表現する手段であり、顧客だけでなく企業内部の人間に対する意義付けとして大事だ。

日常業務において、こうした感覚を忘れずにいたいと思う。

記事の最後に、ラテン語の言葉を引き合いにだしている。
「名づけることは知ることである=Noemen est Numen」
商標出願手続の上流にある「名づけ」の段階においていかなる「Numen」があったのかの意識を持ちながら仕事をすると、楽しみもまた増すというものである。
コメント
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