おはようございます!いやもうこんにちは!
やや蒸し暑い、@北広島あたり(移動中)です。
今回の出張も、色々な出会いがあり、大変ありがたいこともあり、
充実した5日間でした。
ここで得た活力を今日からの仕事に活かしていきます。
さて、今日は標記の判決例について。
商標登録を受けようとする商標は以下の通り。
油圧ショベルのパーツの色彩についての「色彩のみからなる商標」。
いわゆる”新しいタイプの商標”の一類型。
しかしまあ、新しいタイプの商標、なかなかにハードルが高い。
特に「色彩のみからなる商標」はとりわけ。
まあ確かに、商標登録=他人の自由を制限する(それも半永久的に)、という図式があるから、
選択の自由が特に確保されておくべき色彩、特に単色で構成される色彩などは「長年使用していて出所表示として機能している」だけでは足りず
「それを他人の自由を制限してまで法律が保護する側に回るべきか」という尺度も働いた判断となりがち。
果たして本件も上述の尺度で判断された、という印象。
(1)需要者(層)の認定として、「建設業者、建設機械を取り扱う販売業者及びリース業者のみならず、農業従事者及び林業従事者、農機及び林業機械を取り扱う販売業者等も含まれる」として、原告主張、アンケート対象よりも広く認定されている
(2)その上で、使用による識別力の獲得については、販売実績数量について一定の評価はしつつも、「オレンジ色は,工事現場で一般に使用されている色彩である。」として、色彩のみに基づいて識別力が発揮されているとの主張を一蹴している。
※この点、原告主張の
「本願商標の商標法3条2項該当性の判断に当たり,特定人が,商標を,その者の業務に係る商品(役務)の自他識別標識として,「永年の間,
他人に使用されることなく,独占的排他的に継続使用した実績を有する場合」に該当するといえるかどうかを基準として判断した」
点についての審決の実体的違法性に関する主張に対して真正面からの判示がないのはちょっと物足りないが、上記「オレンジ色」についての判示は事実上「他人に使用されることなく」を要件とすることを肯定したものとも受け止められる。
(3)さらには、「識別力の獲得」とは別項目として「独占適応性」について一項目設けて以下判示している。
「原告の挙げる①及び②の事情を勘案しても,原告において油圧ショベルにおける本願商標の独占的使用を認めることは適当ではないから,①及び②の事情は,原告による本願商標の独占使用を認めることが公益上の見地からみても許容される事情に当たるものと認めることはできない。」
※原告の挙げる事情
①油圧ショベルは、参入企業数が少なく、オレンジ色をショベルに使用しているのは原告1社であること
②仮に現に本願商標の色彩又はこれに類似する色彩を油圧ショベルに使用している事業者が原告以外に存在するとしても,当該事業者が改正商標法附則5条3項の要件を満たす場合には,本願商標の登録によっても継続して当該色彩を使用することが可能であり,その業務が妨げられることはないこと(継続的使用権)
この判断は、ちょっと大きい。
識別力を発揮していれば独占性を認めるべき、という話に直結はせず、そうではない「独占させても良いか?」を個別具体的に検討するステップがあることを明確に述べている。ちょっと踏み込み過ぎではないか、と思う。
この点、検討は次回に続く。
やや蒸し暑い、@北広島あたり(移動中)です。
今回の出張も、色々な出会いがあり、大変ありがたいこともあり、
充実した5日間でした。
ここで得た活力を今日からの仕事に活かしていきます。
さて、今日は標記の判決例について。
商標登録を受けようとする商標は以下の通り。
油圧ショベルのパーツの色彩についての「色彩のみからなる商標」。
いわゆる”新しいタイプの商標”の一類型。
しかしまあ、新しいタイプの商標、なかなかにハードルが高い。
特に「色彩のみからなる商標」はとりわけ。
まあ確かに、商標登録=他人の自由を制限する(それも半永久的に)、という図式があるから、
選択の自由が特に確保されておくべき色彩、特に単色で構成される色彩などは「長年使用していて出所表示として機能している」だけでは足りず
「それを他人の自由を制限してまで法律が保護する側に回るべきか」という尺度も働いた判断となりがち。
果たして本件も上述の尺度で判断された、という印象。
(1)需要者(層)の認定として、「建設業者、建設機械を取り扱う販売業者及びリース業者のみならず、農業従事者及び林業従事者、農機及び林業機械を取り扱う販売業者等も含まれる」として、原告主張、アンケート対象よりも広く認定されている
(2)その上で、使用による識別力の獲得については、販売実績数量について一定の評価はしつつも、「オレンジ色は,工事現場で一般に使用されている色彩である。」として、色彩のみに基づいて識別力が発揮されているとの主張を一蹴している。
※この点、原告主張の
「本願商標の商標法3条2項該当性の判断に当たり,特定人が,商標を,その者の業務に係る商品(役務)の自他識別標識として,「永年の間,
他人に使用されることなく,独占的排他的に継続使用した実績を有する場合」に該当するといえるかどうかを基準として判断した」
点についての審決の実体的違法性に関する主張に対して真正面からの判示がないのはちょっと物足りないが、上記「オレンジ色」についての判示は事実上「他人に使用されることなく」を要件とすることを肯定したものとも受け止められる。
(3)さらには、「識別力の獲得」とは別項目として「独占適応性」について一項目設けて以下判示している。
「原告の挙げる①及び②の事情を勘案しても,原告において油圧ショベルにおける本願商標の独占的使用を認めることは適当ではないから,①及び②の事情は,原告による本願商標の独占使用を認めることが公益上の見地からみても許容される事情に当たるものと認めることはできない。」
※原告の挙げる事情
①油圧ショベルは、参入企業数が少なく、オレンジ色をショベルに使用しているのは原告1社であること
②仮に現に本願商標の色彩又はこれに類似する色彩を油圧ショベルに使用している事業者が原告以外に存在するとしても,当該事業者が改正商標法附則5条3項の要件を満たす場合には,本願商標の登録によっても継続して当該色彩を使用することが可能であり,その業務が妨げられることはないこと(継続的使用権)
この判断は、ちょっと大きい。
識別力を発揮していれば独占性を認めるべき、という話に直結はせず、そうではない「独占させても良いか?」を個別具体的に検討するステップがあることを明確に述べている。ちょっと踏み込み過ぎではないか、と思う。
この点、検討は次回に続く。