弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(著作権)】オンライン文化祭

2020年10月29日 09時01分03秒 | 実務関係(著作権・価値評価・周辺業務)
おはようございます!
快晴!な@湘南地方です。本当に雲一つない青空。

さて、今日はこんな記事。

(朝日新聞DIGITALより引用)
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オンライン文化祭に異変 ダンス動画に音楽なし…なぜ?

ダンス部員がリズミカルに動きをそろえているのに音楽は流れない――。コロナ禍で広がった「オンライン文化祭」の動画配信で、こんな異変が起きている。なぜ?

東京・吉祥寺の私立藤村女子中学・高校は2~11日、文化祭の動画をユーチューブで配信した。ダンス部と器械体操部は撮影する際に生徒が選んだCD音源を使ったが、動画では音楽を消した。「著作権法の関係上、音楽は入っていません」との説明を入れた。
(以下略)
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(引用終わり)

なんだかこの手の話は世知辛いなぁ…と思ってしまうのだけど、
まあCD音源をBGMで使うとなると、製作者から送信可能化権についての許諾をとらないといけない。
※「著作権」というのは「権利の束」と言われていて、「複製権」「上演権」「演奏権」のように利用をする態様に応じた権利が法定されている。「送信可能化権」というのもその一つで、CDという「物」を購入したからといってそこに収録されている音楽の著作物の全ての著作権を譲り受けたわけではない(だいたいここで勘違いが生じがち)。
※で、更にややこしくて、CDを製作した人(一般にはレコード会社)は別に歌ったり演奏したりしているわけじゃないけど、こういう人たち(法律上「レコード製作者」という)は「著作隣接権」というものを持っている。
 「著作隣接権」も基本的な構造は「著作権」と同様で、複数の権利の束として観念される。
 その中に「送信可能化権」があり、レコード会社から許諾を受けなければいけない。
※で、良く聞く「JASRAC」は、著作権は管理しているけど著作隣接権は管理していない。
 なので、著作権、著作隣接権についてそれぞれ権利処理が必要ということになる。

…まあ、そういうふうに決まっているので仕方ないと言えば仕方ないのだけど、、
なんだろうね、ダレトクな制度設計。
保護と利用の調和のバランスってこれが正解なのかなぁ…?と疑問に持つこともしばしば。
このあたりは、フェアユース的な考え方をもっと導入しても良いように、個人的には思う。
今のままじゃ、「権利があるから使わない」となってしまって、「文化的所産の公正な利用」はなされないのじゃないか、と。

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