産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会 (あー長っ!)
の第30回議事要旨がアップされていたので一読。
報告書案については、議事要旨を眺めている限り
色々とツッコミが入っているようなので、今回はコメントはスルー。
ちょっと「おっ?」と思ったのが、
「文字商標の音声的使用について」(コレの「資料2」)
ポイントを列挙すると、以下の通り。
① これまで「商標の『使用』」とは、その商標を商品に付する等の行為
(商標法2条3項各号の行為)をいうものであった。
したがって、
・ラジオ広告で商標を音声として流す行為
・街頭で商標を読み上げて宣伝する行為
(いわゆる「文字商標の音声的使用」)
などは、いずれも商標の使用には当たらないから、商標権侵害になることもなかった。
② しかし、「音の商標」制度が導入された場合…問題が生じる。
商標の定義に「音」を含めると、上記は「音の商標」の使用に該当するため、
登録文字商標に類似する音の商標を使用する行為として、当該文字商標についての商標権侵害
となりうる。
つまり、文字商標と音の商標の抵触関係が生じる可能性がある。
③ 対応の方向性として、
文字商標とこれを読み上げた「音」の商標とは互いに類似し得ることを前提として
登録を拒絶すべき(11号)であるとしたうえで、
(a)文字商標を音声的に発する行為を文字商標の使用とし、「音」の商標を
書き起こした文字を使用する行為を「音」の商標の使用行為とする
(b)新制度施行前から文字商標を音声的に発生していた行為について、継続的使用権を
認める
(c)文字商標の商標権の効力は「音」の商標に及ばず、また、「音」の商標の
商標権の効力は文字商標に及ばないものとする
といった方向性の提示がされており、素案としては(c)が適切とされている。
…(a)は、ないよねー。表題のようなのも商標権侵害になっちゃうってことだもの。
「音」の商標も、もともと言語的要素を含むものもそうでないものもあるし。
言語的要素がなくても、無理やり文字にする(鼻歌化?)こともあるし。
範囲が不明確すぎる。
このテーマは、議事要旨をみていると委員の方々も
「議論が判りにくいので具体例を示して考え方を整理して欲しい」
とコメントしている。
大事なところだと思う。
しかし、
文字商標の音声的使用は、「音」の商標の使用にはなりうるが文字商標の使用とはならない
ということを明確にしておけば、特段問題は生じないのではないだろうか??
登録商標使用の抗弁も効かなくなるし。…って、そんな単純な問題じゃないのだろうか?
ともあれ、
保護対象(カテゴリ?)が増えることと、
権利範囲の拡張(使用概念の拡張は権利範囲の拡張に直結する)とは
きっちり分けて考えないと、かえって係争が増えることが懸念される、と思う。
の第30回議事要旨がアップされていたので一読。
報告書案については、議事要旨を眺めている限り
色々とツッコミが入っているようなので、今回はコメントはスルー。
ちょっと「おっ?」と思ったのが、
「文字商標の音声的使用について」(コレの「資料2」)
ポイントを列挙すると、以下の通り。
① これまで「商標の『使用』」とは、その商標を商品に付する等の行為
(商標法2条3項各号の行為)をいうものであった。
したがって、
・ラジオ広告で商標を音声として流す行為
・街頭で商標を読み上げて宣伝する行為
(いわゆる「文字商標の音声的使用」)
などは、いずれも商標の使用には当たらないから、商標権侵害になることもなかった。
② しかし、「音の商標」制度が導入された場合…問題が生じる。
商標の定義に「音」を含めると、上記は「音の商標」の使用に該当するため、
登録文字商標に類似する音の商標を使用する行為として、当該文字商標についての商標権侵害
となりうる。
つまり、文字商標と音の商標の抵触関係が生じる可能性がある。
③ 対応の方向性として、
文字商標とこれを読み上げた「音」の商標とは互いに類似し得ることを前提として
登録を拒絶すべき(11号)であるとしたうえで、
(a)文字商標を音声的に発する行為を文字商標の使用とし、「音」の商標を
書き起こした文字を使用する行為を「音」の商標の使用行為とする
(b)新制度施行前から文字商標を音声的に発生していた行為について、継続的使用権を
認める
(c)文字商標の商標権の効力は「音」の商標に及ばず、また、「音」の商標の
商標権の効力は文字商標に及ばないものとする
といった方向性の提示がされており、素案としては(c)が適切とされている。
…(a)は、ないよねー。表題のようなのも商標権侵害になっちゃうってことだもの。
「音」の商標も、もともと言語的要素を含むものもそうでないものもあるし。
言語的要素がなくても、無理やり文字にする(鼻歌化?)こともあるし。
範囲が不明確すぎる。
このテーマは、議事要旨をみていると委員の方々も
「議論が判りにくいので具体例を示して考え方を整理して欲しい」
とコメントしている。
大事なところだと思う。
しかし、
文字商標の音声的使用は、「音」の商標の使用にはなりうるが文字商標の使用とはならない
ということを明確にしておけば、特段問題は生じないのではないだろうか??
登録商標使用の抗弁も効かなくなるし。…って、そんな単純な問題じゃないのだろうか?
ともあれ、
保護対象(カテゴリ?)が増えることと、
権利範囲の拡張(使用概念の拡張は権利範囲の拡張に直結する)とは
きっちり分けて考えないと、かえって係争が増えることが懸念される、と思う。