おはようございます!
少し寒さの和らいだ、春間近な湘南地方です。
さて、3/7に
「産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会
第24回商標審査基準ワーキンググループ」(長い) が開催された模様。
その議事要旨がこちらにアップされています。
実務的に影響があるのが、審査基準の改訂。
改訂の経緯が個人的に気になるのは、4条1項7号での下記の追記。
===================
1.「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」とは、
例えば、以下(1)から(5)に該当する場合をいう。
<(1)~(4)略>
(5) 当該商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある等、
登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合
===================
「出願の経緯に社会的相当性を欠く」って、どんな場合でしょうかね…?
「商標法の予定する秩序に反する」って、どんな場合ですかね…?
例の大量出願対策なのでしょうか?そうだとすればその姿勢自体は好ましいですが、
これまでの議論をちゃんと見てないのではっきりとしたことがいえないですが、
審査基準に裁量の余地を広く残すことは予見可能性を低めることに繋がるので
あまり歓迎するものではないです。
あと、個人的に(その2)として、相変わらず審査基準に載ってます(笑) @4条1項8号の事例
===================
4.「含む」について 他人の名称等を「含む」商標であるかは、当該部分が他人の名称等として
客観的に把握され、当該他人を想起・連想させるものであるか否かにより判断する。
(例) 商標「TOSHIHIKO」から他人の著名な略称「IHI」を想起・連想させない。
===================
もともと11号でも載ってましたけどね、「TOSHIHIKO」。
…ま、そんな小ネタはおいといて。
実務上大きく影響を受けそうなのは、やはり4条1項11号の改訂部分。
(※11号=他人の先行する登録商標と同一/類似、という拒絶理由)
「商標の類否」について、それぞれ事例と共に基準がある程度示されており、
事例も時代の変化に応じてだいぶ刷新されています。
ついに「スキッパー」と「スチッパー」の事例が消えたのは感慨深い(笑)
「商品又は役務の類否判断における取引の実情の考慮について」の項は、かなり踏み込んだ表現になってる印象。
(改訂前)引用商標の商標権者による取引の実情を示す説明及び証拠が提出された場合には、
取引の実情を把握するための資料の一つとして参酌することができる。
(改定後)引用した登録商標の商標権者 (以下、「引用商標権者」という。)から、
引用商標の指定商品又は指定役務と出願商標の指定商品又は指定役務が類似しない旨
の陳述がなされたときは、類似商品・役務審査基準にかかわらず、出願人が主張する
商品又は役務の取引の実情(ただし、上記(1)から(3)に列挙した事情に限る)
を考慮して、商品又は役務の類否について判断することができるものとする。
➡ 改訂前の表現も微妙なところで、「引用商標の商標権者による」が「取引の実情」にかかるか「説明及び証拠」にかかるのかで
“誰が作ったエビデンスか”の意味が変わり労力も大きく変わりますが、
(というか、今回の改訂で初めて、“あ、相手方に説明してもらうって意味だったんだ”と知った。。)
改定後は陳述するのは「引用商標権者」であることが明らかになりました。
つまり、出願人は引用商標権者にアクセスして
“あなたの商標がうちの出願に引用されたけど、互いにバッティングしないですよね!?その旨の書類作成にご協力ください。”
という手続をすることで、審査基準記載の類否判断を克服できる場合がある、ということです。
益々、代理人の交渉能力、マーケットでの取引実情の説明能力が求められる場面が増えてきます。ありがたいことです。
他にも、以前触れた「支配関係がある場合」のコンセントも新設されるなど、なかなか大きな改正ですね。
今回のあさかぜ便りではこのあたりも詳しく説明しようと思います。
少し寒さの和らいだ、春間近な湘南地方です。
さて、3/7に
「産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会
第24回商標審査基準ワーキンググループ」(長い) が開催された模様。
その議事要旨がこちらにアップされています。
実務的に影響があるのが、審査基準の改訂。
改訂の経緯が個人的に気になるのは、4条1項7号での下記の追記。
===================
1.「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」とは、
例えば、以下(1)から(5)に該当する場合をいう。
<(1)~(4)略>
(5) 当該商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある等、
登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合
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「出願の経緯に社会的相当性を欠く」って、どんな場合でしょうかね…?
「商標法の予定する秩序に反する」って、どんな場合ですかね…?
例の大量出願対策なのでしょうか?そうだとすればその姿勢自体は好ましいですが、
これまでの議論をちゃんと見てないのではっきりとしたことがいえないですが、
審査基準に裁量の余地を広く残すことは予見可能性を低めることに繋がるので
あまり歓迎するものではないです。
あと、個人的に(その2)として、相変わらず審査基準に載ってます(笑) @4条1項8号の事例
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4.「含む」について 他人の名称等を「含む」商標であるかは、当該部分が他人の名称等として
客観的に把握され、当該他人を想起・連想させるものであるか否かにより判断する。
(例) 商標「TOSHIHIKO」から他人の著名な略称「IHI」を想起・連想させない。
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もともと11号でも載ってましたけどね、「TOSHIHIKO」。
…ま、そんな小ネタはおいといて。
実務上大きく影響を受けそうなのは、やはり4条1項11号の改訂部分。
(※11号=他人の先行する登録商標と同一/類似、という拒絶理由)
「商標の類否」について、それぞれ事例と共に基準がある程度示されており、
事例も時代の変化に応じてだいぶ刷新されています。
ついに「スキッパー」と「スチッパー」の事例が消えたのは感慨深い(笑)
「商品又は役務の類否判断における取引の実情の考慮について」の項は、かなり踏み込んだ表現になってる印象。
(改訂前)引用商標の商標権者による取引の実情を示す説明及び証拠が提出された場合には、
取引の実情を把握するための資料の一つとして参酌することができる。
(改定後)引用した登録商標の商標権者 (以下、「引用商標権者」という。)から、
引用商標の指定商品又は指定役務と出願商標の指定商品又は指定役務が類似しない旨
の陳述がなされたときは、類似商品・役務審査基準にかかわらず、出願人が主張する
商品又は役務の取引の実情(ただし、上記(1)から(3)に列挙した事情に限る)
を考慮して、商品又は役務の類否について判断することができるものとする。
➡ 改訂前の表現も微妙なところで、「引用商標の商標権者による」が「取引の実情」にかかるか「説明及び証拠」にかかるのかで
“誰が作ったエビデンスか”の意味が変わり労力も大きく変わりますが、
(というか、今回の改訂で初めて、“あ、相手方に説明してもらうって意味だったんだ”と知った。。)
改定後は陳述するのは「引用商標権者」であることが明らかになりました。
つまり、出願人は引用商標権者にアクセスして
“あなたの商標がうちの出願に引用されたけど、互いにバッティングしないですよね!?その旨の書類作成にご協力ください。”
という手続をすることで、審査基準記載の類否判断を克服できる場合がある、ということです。
益々、代理人の交渉能力、マーケットでの取引実情の説明能力が求められる場面が増えてきます。ありがたいことです。
他にも、以前触れた「支配関係がある場合」のコンセントも新設されるなど、なかなか大きな改正ですね。
今回のあさかぜ便りではこのあたりも詳しく説明しようと思います。