トルコのエルドアン大統領㊧は7月、NATOのストルテンベルグ事務総長㊥、
スウェーデンのクリステション首相と会談した(リトアニア・ビリニュス)=ロイター
会談した台湾の蔡英文総統(右)とリトアニアのチュミリーテ・ニールセン国会議長(23日、台北)=総統府提供
【台北=羽田野主】
台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は23日、訪台したバルト3国のリトアニアのチュミリーテ・ニールセン国会議長と会談した。ニールセン氏は中国やロシアを念頭に「国際秩序は権威主義政権の挑戦に直面している」と述べた。
民主主義陣営の結束を訴えた。国会議長は台湾を訪問したリトアニアの政治家として最も高い地位になる。
蔡氏はリトアニアの半導体産業の構築に積極的に協力してきたと指摘した。リトアニアは「台湾と緊密な関係協力のパートナーだ」と強調した。
ニールセン氏はお互いの協力の成否は欧州諸国にとって台湾との関係強化を進めるかどうかの「試金石」になると応じた。
リトアニアは2022年に台湾代表処(代表部に相当)を台湾で立ち上げた。台湾は21年にリトアニアの首都ビリニュスに欧州で初めて「台湾」の名称を用いた代表処を稼働した。中国はリトアニアとの外交関係を格下げして対抗措置をとった。
日経記事 2023.10.23より引用
エストニアのカラス首相は、EU拡大に伴う予算改革の必要性を訴えた=ロイター
ロシアのウクライナ全面侵攻を受け、EUは拡大を急ぐ方向にかじを切り、近い将来にウクライナなど数カ国が正式に加盟する可能性がある。
しかし、EUの予算配分方法への影響の検討など、新規加盟国の受け入れに必要な改革への取り組みは始まったばかりだ。
カラス氏は、フィナンシャル・タイムズ(FT)の取材に、経済力が比較的弱い加盟国の発展支援を目的としているEUの「結束基金」について「最終的には」エストニアが受け取れなくなっても構わないと述べた。ただ、それなりの移行期間が必要だとしている。
FTは10月上旬、現行の予算編成方法に基づくと、ウクライナがEUに加わった場合、加盟から7年間で約1900億ユーロ(約30兆円)を受け取る計算になるというEUの内部調査結果を報じた。そうなると現在の純受益国の「多く」が純拠出国に転じる見通しだ。
予算改革が行われないままウクライナやモルドバ、西バルカン地域の6カ国などが加盟する場合、エストニアを含む6カ国が結束基金による支援を失うという。
10月上旬にスペインで開かれたEU首脳会議は、初めて全27カ国そろって加盟国拡大を議論する場となった。その際に取材に応じたカラス氏は、「どのようなルールがあり、予算がどう割り振られ、代わりに何を得るのかを話し合わなければならない」と語った。
フランス政府関係者の1人は「拡大後の欧州では(従来の予算を)配分し直すか、自らの財源による欧州の財政力強化を幅広く検討するか、どちらかに手をつけなければならない」と指摘する。
「改革が一切不要だと主張する人はいない。問題は具体的な内容だ」とカラス氏は強調する。
「(改革について)大国だけで話し合われ、それ以外には耳を傾けないという事態にならないことを願う。全員の賛同を得たいなら、全員の意見を聞かなければならない」
By Henry Foy and Barney Jopson
(2023年10月10日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
日経記事 2023.10.23より引用
22日のスイス総選挙で勢力拡大した国民党(UDC)のキエーザ党首=ロイター
【パリ=北松円香】22日に投開票されたスイス総選挙で、右派で第1党の国民党(UDC)が議席数をさらに伸ばした。
環境政党が躍進した2019年選挙から一転、UDCが主張する移民抑制策に支持が集まった。
ロシアによるウクライナ侵攻や移民の増加など不安定な内外情勢を懸念し、有権者の保守化が進んだとみられる。
22日の総選挙は小選挙区の全州議会(上院、定数46議席)と比例代表制の国民議会(下院、同200議席)が対象。
下院でUDCは62議席と前回の19年選挙より9議席増やした。リベラル右派の急進民主党と合わせると、右派勢力は過半近くの90議席を確保した。
中道左派の社会民主党(PS)は下院で前回より2議席多い41議席を得て第2党の座を維持した。
前回選挙で気候変動対策を前面に押し出して支持を広げた緑の党などの環境政党は議席を減らした。投票率は46.6%と19年(45.1%)をやや上回った。
「国民から託された任務は明確だ。不法移民や安定したエネルギー供給などの重要課題を検討する必要がある」。UDCのマルコ・キエーザ党首は22日夜、公共放送RTSのインタビューでこう勝利宣言した。
PSのセドリック・ベルムート共同党首は同じくRTSの取材に「UDCの対抗勢力として気候変動対策や(人々の)平等、家計の購買力維持のために戦う」と語った。
スイスは合計特殊出生率が1.39と低水準にもかかわらず、人の流入によって人口が増え続けている。22年の人口は881万人で国外からの流出入は8万人の流入超だった
。22年は不法滞在者も5万人と前年の3倍近くに急増した。アフガニスタンやチュニジア、モロッコの出身者が多い。
UDCの勢力拡大はウクライナ支援の動向にも影響を与える可能性がある。スイス政府はこれまで国内法を根拠にスイス製武器のウクライナへの再輸出を拒否してきた。
国会では再輸出容認に向けた法改正などを探る動きが続いていたが、厳格な永世中立を主張するUDCは反対の立場だ。キエーザ氏は9月、日本経済新聞の取材に「紛争中の片方の国だけに武器を提供することはできない」と述べていた。
新議会は12月13日に内閣を選出する。7人の閣僚は議会における主要政党の勢力バランスを反映して選ばれ、大統領は閣僚が1年交代で務める。
日経記事 2023.10.023より引用
南部ヘルソン州近くの前線で、ドニエプル川の岸に上陸するため
ボートから飛び降りるウクライナ兵(15日)=AP
ウクライナ南部ヘルソン州を流れるドニエプル川周辺で、ウクライナ軍とロシア軍の攻防が激しくなっている。
米国のシンクタンク、戦争研究所(ISW)は、ウクライナ軍が川を渡り、対岸のロシア軍占領地域で攻撃を拡大しているとの見方を示した。ロシア側は攻撃を撃退したと主張した。
ISWは19日時点において、ウクライナ軍がドニエプル川東岸から2キロメートルほどに位置するクリンキ近郊に前進した可能性があると指摘した。
東岸のウクライナ軍の陣地が数日にわたって維持されていることから「部隊への十分な補給ができていることを示唆している」とも分析した。
今回のウクライナによる渡河作戦はこれまでよりも規模が大きく、本格的な拠点を確保する狙いとの指摘が出ている。ISWは東岸を守るロシア軍部隊の戦闘能力が低下している可能性に言及した。
一方、ロシア国防省は22日、渡河作戦をしかけたウクライナ軍を撃退したと発表した。ウクライナの破壊工作部隊によるクリンキなどへの攻撃を退け、ウクライナ軍兵士に大きな損害を与えたと強調した。
東部ドネツク州ではロシア軍が要衝であるアブデーフカの包囲を目指して攻勢を強め、激しい攻防が続いている。ISWによるとロシア軍は多大な損失を出しながら、わずかに前進している可能性がある。