NECとNTTは新型の光ファイバーを開発し大容量化した
NECとNTTは21日、次世代の光ファイバー「マルチコアファイバー」に関し、光信号の通り道(コア)を12本に増やした新型タイプで7280キロメートルの長距離伝送に世界で初めて成功したと発表した。
世界の通信量が急増するなか、大陸間のデータ通信を担う海底ケーブルなどの大容量化につながる。2030年ごろの実用化を目指す。
光信号の伝送容量は現状に比べて最大12倍まで高められる可能性がある。両社は髪の毛と同程度となる太さ0.125ミリメートルの標準的な光ファイバーにコアを12本設けた。伝送に成功した7000キロ超は大西洋を横断できる距離に相当する。
通り道が多ければ、送ることができる信号も増やせる。ただコア同士の間隔が狭くなるため、隣のコアから漏れてきた光信号と混じり合い、通信品質の劣化につながる課題があった。今回の実験では「MIMO(マイモ)」と呼ばれる無線通信向けの技術を信号処理に利用することで、受信時に信号を正確に復調することに成功したという。
高速通信規格「5G」の普及やデータセンターの設置拡大などを背景に、世界の通信量は急増している。複数の通り道を束ねる「マルチコア」が広がれば、海底ケーブルや陸上用の光ケーブルの伝送容量の拡大につながる。
マルチコアは次世代通信規格「6G」や、NTTが推進する次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」を支える基盤技術としても注目されている。NECと米グーグルがコア2本の光ファイバーを使った海底ケーブルの敷設を始めている。
日経記事2024.03.21より引用