
ウッドサイドがLNGを調達する米テキサス州のプラント
オーストラリアの石油・天然ガス大手ウッドサイド・エナジー・グループは北米で液化天然ガス(LNG)の調達を拡大する。
世界最大のLNG輸出国となった米国のプロジェクトから調達し、2029年ごろに同国での取引量は現在の約5倍になる見込みだ。豪州での調達が難しくなる中、北米での調達先を広げて欧州やアジアへの販売を強化する方針だ。
ウッドサイドは現在、テキサス州のプロジェクトでLNGを調達している。
28年ごろにルイジアナ州、29年ごろにメキシコ西岸のプロジェクトから調達を始める。その時点で北米産LNGの取引量は現在の5倍にあたる約470万トンの見込みだ。これは同社の地盤である豪州での生産量(権益ベース)の半分近くに相当する規模だ。
米ヒューストンで取材に応じた同社のメグ・オニール最高経営責任者(CEO)は、「北米のLNGを引き続き探していく。
生産だけでなくトレーディング(売買取引)も強化する」と話し、一段の米国事業の拡大に意欲を示した。

ウッドサイド・エナジーのメグ・オニール最高経営責任者(CEO)
米国は23年、世界最大のLNG輸出国になった。
00年代後半のシェール革命で安価なガスが大量に生産できるようになったためだ。欧州の石油会社や資源商社も米国産LNGの取り扱いを増やしている。
ウッドサイドはメキシコで調達した年130万トンのLNGを20年にわたりアジアに転売する。
メキシコ西岸から需要地の東アジアに向かう際、船の渋滞が発生しやすいパナマ運河を通航する必要がないため安定供給が期待できる。
さらにカナダ西岸についても「日本に近くて有望だ」として案件の発掘を続ける。
LNG調達の軸足を北米に移す背景には、豪州での事業拡大が難しくなっていることがあげられる。プラントの建設コストが高騰し、既存のガス田が枯渇。環境規制も強まっていることなどから、これまでのような生産増強は見込みにくい。
欧州調査会社ライスタッド・エナジーによると、豪州は19〜22年に世界最大のLNG輸出国だったが、すでに頭打ちの状態だ。23年には輸出量で米国に世界首位の座を明け渡した。
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もっとも米国のLNG事業が今後も順風満帆とは限らない。バイデン政権は24年1月、温暖化への影響を見極めるために、新規LNG計画の輸出許可の審査を凍結すると発表した。
エネルギー省のグランホルム長官は3月18日、1年後には凍結が解除されるとの見通しを明らかにしたが、オニール氏は不透明感が拭い切れていないと指摘する。「(許認可取得に)新しいルールが導入される可能性がある」ためだ。
LNG業界では、新規のLNG輸出の許認可を取得するのにあたり、事業者にメタンガスの漏洩対策や二酸化炭素の回収装置の設置が義務付けられるとの見方も浮上している。コストが膨らめば企業側の投資意欲を冷やしかねない。
オニール氏は「温暖化対策に本腰を入れるならば、(火力発電の燃料を)石炭からガスに置き換える必要がある」と指摘、「アジアの脱炭素を支援するために米国はLNG開発を促進すべきだ」と述べた。
世界的に脱炭素の動きが広がる中、LNG産業を取り巻く環境は大きく変わりつつある。
ウッドサイドはオーストラリアの同業のサントスと合併交渉へと動いたが、2月に交渉の打ち切りを発表した。実現していれば有数のLNG会社が誕生するはずだった。
調達を巡る動きが激しさを増すにつれ、業界再編はより現実味を帯びそうだ。
(ヒューストン=花房良祐)