Renaissancejapan

哲学と宗教、財閥、国際政治、金融、科学技術、心霊現象など幅広いジャンルについて投稿しています

神聖ローマ帝国ー5バチカン・ローマ教皇との関係-2

2024-03-17 22:40:23 | ヨーロッパ・中東・アメリカ全般、歴史・文化・食文化・芸術・建築

・神聖ローマ帝国-1 古代ローマこそヨーロッパ人の理想https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/533c7414e9fa85b426143633f15f6078


・神聖ローマ帝国-2 『古代ローマ帝国の留学制度』と『ローズ留学制度』『フルブライト留学制度』
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b9e783d4c5789e5a08f347e2241ab12a


・神聖ローマ帝国ー3 欧米人は古代ローマと神聖ローマ帝国(ハプスブルグ帝国)が大好き
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b03362e35f9c226b7d9c4df7cff0dc73


・神聖ローマ帝国ー4 バチカン・ローマ教皇との関係-1
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/14d5a2bcbe5310633350895b9b96c6c4

からの続き

 

 

 

古代ローマ帝国とバチカンの関係を簡単にまとめると次のようになります。


 ・313  コンスタンティヌス帝 キリスト教公認
      帝都移転 ローマ→コンスタンティノーブル(現イスタンブール)
     『コンスタンティヌス大帝の寄進状』帝国西半分をローマ教皇に寄進
      

 ・391 テオドシウス帝 キリスト教国教化
       キリスト教は飛躍的に発展、なかでも使徒の長であったペテロ殉教の地に建
       てられた『サン・ピエトロ大聖堂』が揺るぎない地位を築く


 ・395 古代ローマ帝国東西に分裂

 
・476 親衛隊司令官オドアケル(ゲルマン・スキリオ族)宮廷クーデター
     西ローマ帝国滅亡


 ・ 481   フランク人・サリ族のクローヴィス(メロヴィング家)がフランク人の各部族統一
    ガリア(後のフランス)北部にフランク王国を建国(メロヴィング朝の始まり


・751 ピピン(カロリング家)フランク国王に就任、メロリング朝→カロリング朝      

 


800 ピピンの息子カール大帝12月25日、ローマのサン・ピエトロ大聖堂でローマ教皇レオ三世から皇帝戴冠式挙行。 事実上、バチカンによる西ローマ帝国の復活      

   『カール大帝は何人なのか? フランク王国内で、ドイツとフランスで出自争い』              
          ドイツは大帝をカール・デア・クローゼと呼び、フランスはシャルル
          マーニュと呼び、それぞれ自らを大帝の後継ぎと主張。

 


・1273 ルドルフ・フォン・ハプスブルグ西ローマ皇帝カール大帝ゆかりの地アーヘン大聖堂でドイツ王としての戴冠式が行われる。


・1
763 ハプスブルグ家・ヨーゼフ二世のローマ王(神聖ローマ帝国継承者の称号)の戴冠式がフランクフルトで行われる。 彼はハプスブルグ生んだ14番目のローマ皇帝で、18番目のドイツ王。

 

 

多くの人が勘違いしているのですが、必ずしも神聖ローマ帝国=ハプスブルグ帝国ではありません。

そもそも神聖ローマ帝国とは、962年から1806年まで844年間ドイツ王によって統治されていた諸地域の総称です。

ドイツ王がいかなる手続きもなしに、そのまま皇帝になるという習慣が出来上がったのは1508年から。」

ただ、このルドルフ一世が、同家ではじめて神聖ローマ皇帝選ばれ、後に中世ヨーロッパを支配する超巨大国家となるので、この期間は確かに神聖ローマ帝国=ハプスブルグ帝国といっても過言ではありません。

 

 

もともとハプスブルク家は10世紀にスイスで興り、1273年にルドルフ一世が同家で初めて神聖ローマ皇帝に即位し、後にヨーロッパの覇権を握る超巨大帝国へと変貌します。


ハプスブルク家」という名は、同家の祖がスイスのアールガウ地方に築いた城「鷹の城(ハービヒツブルク城)」と呼ばれたことに由来しています。

12世紀初めにオットー2世が伯爵位を得てハプスブルク伯と名乗りました。それから5代目が名前のように鷲鼻だったといわれる始祖ルドルフです。

 

当時の神聖ローマ帝国は、ドイツ王が存在しない「大空位時代」を経ていたので、ドイツの有力諸侯は、裏から帝国を操ろうと考え、当時はスイス地方の一諸侯に過ぎなかったハプスブルク家のルドルフ一世を大抜擢したと言われています。


1278年、ルドルフ一世は自分の神聖ローマ皇帝即位を認めなかった「オットカール二世(オタカル二世)」を『マルヒフェルトの戦い』で破り、オーストリアの地を得ました。

 

 

領邦国家である神聖ローマ帝国は一つの統一された国家では無く、○○公とか△△公とかの集合体で、アメリカ合衆国が50州にそれぞれ分かれて独立しているのと似ています。

 

 


日本人の月面着陸「2人」で合意へ 日米政府、4月にも 宇宙開発

2024-03-17 19:10:31 | 宇宙・地球・航空宇宙ビジネス・星座神話・


     将来の月面活動のイメージ=米航空宇宙局(NASA)提供

 

日米両政府が米国主導の有人月面探査「アルテミス計画」で、日本人の宇宙飛行士2人を月面着陸させる方針で合意することが17日、分かった。

4月10日に予定する日米首脳会談で宇宙分野での協力関係を確認し、盛山正仁文部科学相と米航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官が月面活動内容を盛り込んだ文書に署名する方向だ。

 

文書には宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車が開発する有人月面探査車「ルナ・クルーザー」の運用も盛り込む見通し。

両政府は月周回に建設する新たな宇宙ステーション「ゲートウエー」への日本人搭乗はすでに合意し、日本人の月面着陸について人数などの詳細を詰めていた。

 

月面は水資源の存在が示唆され、宇宙活動の拠点や将来人類が火星に進出する足場として注目されている。

日本政府は2020年代後半に、米国に次ぐ2カ国目の有人月面着陸を果たす目標を掲げる。1960〜70年代の米国の「アポロ計画」では12人が着陸したが、いずれも米国人の白人男性だった。

 

アルテミス計画はアポロ計画以来の有人月面着陸を目指しており、日本も参加する。まず26年9月に宇宙飛行士を月面に送り込み、日本人宇宙飛行士は28年以降の着陸が見込まれる。

ただ、NASAの有人宇宙船の開発の遅れなどにより、今後の進捗には不透明感も漂う。

 

JAXAは23年2月、有人月面を見据えた新たな宇宙飛行士候補者として諏訪理さん、米田あゆさんの2人を選んだ。

諏訪さんと米田さんは現在訓練を積んでおり、24年11月にも宇宙飛行士として正式に認定される。

 


半導体研究「LSTC」、2ナノの先見据え開発・育成主導

2024-03-17 18:50:11 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞


LSTCは東哲郎氏(右から2番目)が理事長を勤める。17人の体制から本格始動した(9日、東京・千代田)

 

最先端の半導体研究を手掛ける技術組合「LSTC」(技術研究組合最先端半導体技術センター)が本格的に始動した。

国内外の産学プレーヤーを集めた研究プロジェクトの主導役を担う。最初のチャレンジは2つ。最先端の「2ナノ(ナノは10億分の1)」世代とその先を見据えた製造技術、先端半導体の搭載に向けた設計技術の開発だ。

 

LSTCは先端半導体の製造を目指すラピダスに加え、産業技術総合研究所、理化学研究所などを組合員に、東京大学や名古屋大学などを準組合員とした組織だ。

ラピダスが創業した2022年に設立し、24年2月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業「先端半導体製造技術の開発」の実施事業者に選ばれた。

 

「技術開発だけでなく、アプリケーションの開発、さらにはそれを生み出す人材の育成までやっていく。日本で新しいものを目指すエンジンができた」。

今回の公募事業での採択を受け、LSTC理事長を務める東哲郎氏は2月9日の記者会見でこう力を込めた。プロジェクトは2029年までの5年で製造技術には170億円、設計技術の開発には280億円が投じられる。

1つめの製造技術は、最先端半導体を、より短い時間で製造するための装置や素材も含む技術開発がテーマとなる。

 

 

2ナノ世代の半導体を製造する技術的ハードルが新たな素子構造だ。回路の微細化で、一種の漏電(リーク電流)を抑えにくくなった。水(電気)が流れるホースで例えると、3方向から押さえ水を止めていた現在の構造から、全方向から押さえ込む「GAA(ゲートオールアラウンド)」という新構造への切り替えが必要になった。

微細化や複雑化によって、半導体の製造工程は伸び続けている。新たな構造の素子をどれだけ短期間で作れるかが2ナノ世代の製造立ち上げを掲げるラピダスの課題だ。基礎的な研究開発だけでなく、素材、装置など要素技術の協調が欠かせない領域となる。



 2ナノ世代はリーク電流を抑えるため新たな素子構造が採用される(写真は米IBM)

 

研究開発の再委託先として国内外の企業が並ぶ。米装置大手アプライドマテリアル(AMAT)の日本法人に加え、ウエハー(基板)のSUMCOや台湾グローバルウェハーズの日本法人、他に人工知能(AI)開発のプリファード・ネットワークス(東京・千代田)や半導体メモリー製造のキオクシアなどだ。

加えて国際連携先として、ベルギーのimec、仏CEA-Leti(原子力・代替エネルギー庁電子情報技術研究所)などの名前も挙がる。

東氏は「ラピダスの事業化がある程度確立した段階で、より広範な形で先端の技術分野に(対象を)広げていく」と語る。

GAAの次世代構造も既に議論や開発が進んでいるテーマとなっており、LSTCでもこうした「2ナノ以降」の技術世代も視野に入る。

 

2つ目のプロジェクトである設計技術の狙いは「最先端半導体を使いやすくする」ことにある。LSTCは最先端半導体の有望な活用先として、エッジ(端末)側のAI処理を想定する。

現場で稼働するロボットなどがネットを介さず処理を済ませ、遅延なく自律的に動かすような用途だ。産総研、東大、ラピダスに加え、海外からは米新興のテンストレントが参加する。

 

テンストレントのジム・ケラー最高経営責任者(CEO)は後日開いた会見で「ロボットやゲームなど、エッジ側でリアルタイムのAI処理を必要としている最終製品は多い」と語った。

ただ、「AI用カードに2000ドルもするようなものは買われない。安価で手に入りやすい製品を迅速に提供する必要がある」と指摘する。

 

ソフトウエアの基盤も整備

半導体を最終製品に組み込む企業にとって、欠かせないのがソフトウエア側の基盤だ。まずは半導体の機能ごとの「設計図」にあたる回路設計データ(IP)が必要になる。

このIPを用途やコストに適した回路を作り上げていく。加えて、半導体を動かすには、プログラム群やシミュレーターなどソフト側の基盤も整えなければならない。

 

LSTCの新産業創出部門、大内真一氏は「世界的に使われている開発環境と、新たなハードをつなぐプロジェクトだ。

様々なユーザーが開発に使える技術にしていく」と話す。先端設計に関する人材が「日本で非常に不足している」(大内氏)中で、教育プログラムも含め検討しているという。

 

LSTCで得られた研究結果は、組合員企業が優先的に導入し、他のメーカーなどにも展開していく考えという。焦点は、プロジェクトに参加するプレーヤーの足並みをそろえられるかだ。

装置・素材、ソフトとも膨大な企業群がエコシステムを築いてきた。必要な知見は散在しており、先端の要素技術は各プレーヤーの競争力の源泉でもある。

 

LSTCでは知的財産管理室を置き、知財の管理などを担う。世界の半導体関連企業が参加するimecのような国際的機関との協力では、技術だけでなく、知財や仕組み作りの面などからも学ぶべき点は多い。

(江口良輔)

 

 

日経記事2024.03.17より引用

ーーーーーーーーーーーーーーーー

2nmのGAAの次は、自己組織化ブロックコポリマーを使った1nm技術でしょう。
IBMとIntelは数年前からペンシルヴェニア州立大学に開発委託しています。

また、詳しくは言えませんがイスラエルの大学も強いです。

 

現在の半導体の細線化は、EUVと言われる露光機使っていますが、100~400億円します。 そんな高額な装置を使わなくても安価に1nmを実現できるのが、フォトレジストにブロックコポリマーを使う技術が注目されるでしょう。

最もイスラエルの大学では10年以上前から、この技術を使って8nmの細線を実現した顕微鏡写真もHPで公開していましたけどね。・・・

 

 


巨大売りに干上がる穀物農家 鈍る生産意欲、反騰の火種

2024-03-17 18:25:19 | 商社・小売り・スーパー、食料・飲料全般、ビジネス・水・酒・穀物メジャー

 

ロシアのウクライナ侵攻直後に急騰した穀物が安値に沈んでいる。世界各地の記録的な豊作が供給懸念を和らげ、侵攻前の価格を下回る。

価格低下と生産コストの上昇は、農家が作付けをためらう要因になる。最大規模に膨らんだ投機筋のショート(カラ売り)の存在が、価格反転の引き金になる可能性がある。

 

穀物の国際指標である米シカゴ市場の小麦先物(中心限月)は11日、一時1ブッシェル5.2ドルと、2020年8月以来約3年半ぶり安値を付けた。

2月下旬にはトウモロコシと大豆も、20年11月以来となる水準まで下げた。ウクライナ侵攻後の22年前半に記録した過去最高値からそれぞれ4〜6割安くなった。

 

 

 

 

侵攻直後に高まっていた供給の寸断リスクが和らぎつつあることが一因だ。

ロシアが昨年7月、穀物の黒海輸送を巡る合意から離脱し、ウクライナ産の輸出が一時危ぶまれた。代替輸送ルートの確保で、現状は輸出を継続できている。

米国やブラジルなど世界各地の穀物産地で昨年度、豊作に恵まれたことも供給のだぶつきにつながった。

米農務省(USDA)によると、23年度のトウモロコシと大豆の世界生産量は遡れる1992年度以降でもっとも多く、小麦も2022年度に次ぐ2位だった。

 

需給バランスの参考になる期末在庫率も総じて上昇傾向にある。丸紅経済研究所の宮森映理子シニア・アナリストは「現状の需給面のファンダメンタルズからは、価格の上昇材料は乏しい」と指摘する。

需給緩和を材料に、ヘッジファンドなどの投機筋は売りを膨らませてきた。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋を示す非商業部門の先物・オプションの売越残高(5日時点)は、トウモロコシ・大豆・小麦の3品目の合計で約49万枚(枚は最小取引単位)と、2001年以降で最大規模に達した。

 

3品目がそろって売り越しに転じた昨年末時点からの約2カ月間で売り越しは約3倍になり、相場はこの間1割程度下がった。

その後やや売り持ちの解消が進んだものの、12日時点でなお44万枚の売り越しが続く。

 

 

市場では、売り越したポジションの巻き戻しを警戒する声が上がる。

伊藤忠商事穀物課の安井拓也氏は「短期的な利ざや稼ぎを目的に巨額の穀物売りを膨らませた投機筋が、いつ利益確定の買い戻しに転じてもおかしくない」と指摘する。

 

実際、トウモロコシや大豆は2月下旬の安値を底に、足元で上昇に転じ始めている。グリーン・カウンティの大本尚之代表は「昨年度の豊作など過去の材料は既に価格に織り込まれた」と指摘する。

 

逆回転のきっかけになりうるのが、穀物の値下がりに伴う農家の生産意欲の低下だ。

穀物は1年で栽培・収穫が終わる。油田や鉱山の開発に数年〜数十年単位で時間がかかる原油や金属などに比べ、価格変動に対する供給の調整が早い傾向がある。

 

昨年度世界中で豊作に恵まれたのも「侵攻による穀物高を受けて農家が価格シグナルに反応し、翌年の作付けを増やした」(HSBCのエコノミスト、ジェイミー・カリング氏)ことが一因だ。

例えば米国は23年度のトウモロコシの収穫面積が前年度比1割増加した。

 

足元の低い価格は23年と逆に、生産にマイナスに働くおそれがある。市場が注目するのが、間もなく始まる米国の作付け動向だ。USDAが調査した農家の意向を28日に公表する。

ある大手商社の穀物担当者は「トウモロコシは生産コストに見合わない水準まで下がった。24〜25年度の作付面積は減少に向かう可能性が高い」とみる。

一方、別の大手商社は「相対的に価格が高い大豆にシフトする」と見立てる。

 

 

 

USDAは、相場安を受け米国の農家の収入が、24年度はトウモロコシで670億ドルと前年度から16%減ると予測する。大豆は12%、小麦も3%、それぞれ減少する見通しだ。

ここに物価の上昇や高金利の影響が重なる。USDAによると米国の農業部門の名目生産費は24年に前年比167億ドル(3.8%)多い4550億ドルと、過去最高水準となる見通しだ。

 

「インフレが土地や労働力、設備費、種子、農薬、肥料など営農に関わるあらゆる分野のコストに影響している。運転資金に適用される金利も高い」。

米オハイオ州の3000ヘクタールの農地でトウモロコシと大豆を育てる農家、スコット・ハー氏はこう打ち明ける。

 

農家にとって手痛いのは、不作に備えた作物保険による想定収入も目減りの可能性があることだ。保険の基準価格は、安値を付けた2月時点の先物平均価格が適用される。

兼松の食品大豆課長、繁田亮氏は「補償額が低いと、苦労して栽培しても採算が悪くなる。農家が無理して多く作付けするかは疑問だ」と指摘する。穀物全体で作付けが低調になる可能性も残る。

 

北半球の産地で植え付けが始まる春以降は、干ばつや多雨といった天候への注目度も高まる。「今後の天候リスクも投機筋の持ち高解消のトリガーの一つとなる」(伊藤忠の安井氏)

食料危機がすっかり遠のいたようにみえる相場にあって、穀物高方向に揺り戻されるリスクはくすぶり続ける。

(コモディティーエディター 浜美佐)

 

 

 

日経記事2024.03.17より引用

 

 

<picture class="picture_p166dhyf"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4579315013032024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=681&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=821e824240af47ce0fec3aa46d84dd3b 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4579315013032024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=1362&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=17a441f4a0878ac5ca69b2c660102218 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4579315013032024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=681&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=821e824240af47ce0fec3aa46d84dd3b 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4579315013032024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=1362&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=17a441f4a0878ac5ca69b2c660102218 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4579315013032024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=640&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=20d9f0a27a3c10667d9526c3732f6df4 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4579315013032024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=1280&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=9f5695b224d78768c6089c724092ebf4 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4579315013032024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=640&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=20d9f0a27a3c10667d9526c3732f6df4 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4579315013032024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=1280&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=9f5695b224d78768c6089c724092ebf4 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4579315013032024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=640&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=20d9f0a27a3c10667d9526c3732f6df4 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4579315013032024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=1280&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=9f5695b224d78768c6089c724092ebf4 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>

米大統領選の展望 「ほぼトラ」は時期尚早 前嶋和弘・上智大学教授

2024-03-17 16:29:59 | 米大統領選2024
ポイント
○福音派や白人ブルーカラー層の支持強固
○反トランプならバイデン氏支持も固まる
○11月の本選挙まで一進一退の展開が続く



11月の米大統領選は、

民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領の再対決となることがほぼ確定し、日本ではトランプ氏の復活を懸念する「もしトラ」騒ぎが起きている。さらにトランプ氏の本選挙での勝利は確実とみて「ほぼトラ」という言葉すら広がりつつある。だが実際にはここ20年間の大統領選と同様に、ここから秋にかけて大混戦となるはずだ。

共和党の候補指名争いで15州の予備選・党員集会が集中した3月5日の「スーパーチューズデー」は、トランプ氏の圧勝に終わった。ヘイリー元国連大使がバーモント州で勝利したものの、トランプ氏はほかで全勝する横綱相撲だった。トランプ氏の勝利宣言も高らかだった。「この国を再び偉大な国にする」と宣言し、バイデン氏を「史上最悪の大統領だ」となじった。

◇   ◇

トランプ氏は1年前から「陰の予備選」とも呼ばれる世論調査の争いで他候補を圧倒していた。実際に予備選が始まってからもその予想通りに独走してきた。

トランプ氏が共和党の実質的な指名候補になったのはほぼ1年前だったと言うと驚かれるかもしれない。

決め手になったのが、3月30日のニューヨーク州当局による16年大統領選での不倫相手への口止め料支払いを巡るトランプ氏の刑事訴追だ。直前まで「フロリダ州知事のデサンティス氏が台頭する」とうわさされ、各種世論調査ではトランプ氏はデサンティス氏に15ポイント程度まで肉薄されていた。しかし2人の差は、同州での訴追後、25〜35ポイントにまで一気に広がっていく。

さらなる刑事訴追はトランプ氏支持を固める原動力になった。決定的だったのが8月の2つの訴追だった。21年1月の米連邦議会乱入事件を扇動し、国を欺いたという容疑での連邦起訴と、州当局に結果を覆すよう圧力をかけた容疑でのジョージア州の訴追だ。この2つの訴追以降、トランプ氏はデサンティス氏に対し40〜50ポイントもの大差でリードするようになる。

なぜ刑事訴追がトランプ氏の支持固めに直結したのか。「20年の大統領選は民主党が不正を働いて盗んだ」という「20年選挙否定」という言説を共和党支持者の多くが強く信じているためだ。支

持者にとってトランプ氏は「悲劇のヒーロー」であり、今もトランプ氏が「現職」の大統領というわけだ。トランプ氏もそうした支持者の反応を十分すぎるほどわかっており、自らに対する捜査や刑事訴追を「民主党の陰謀」「バイデン氏の不正」と決めつけて、訴追を追い風にして支持を固めてきた。

 

トランプ氏の強さの背景はこれだけではない。17年の大統領就任当初は「本当に保守なのか」と疑う声も多かったが、政権1期目の4年間でトランプ氏は「保守本流」の政策を実行し、同時に共和党を事実上「トランプ党」に変えた。

トランプ氏が実際に実施した保守本流の政策は2つある。小さな政府を主張し、減税と規制緩和を徹底して進めた。もう一つが、米国の人口の20〜25%を占め、投票すれば約8割が共和党に票を投じるキリスト教福音派への接近だ。16年夏の党大会の前に、これほど熱心な福音派の議員はいないといわれたペンス氏を副大統領候補に指名し、福音派の心をがっちりつかんだ。

 

就任後は最高裁の3人の判事の任命だけでなく、高裁、地裁レベルでも保守系判事を多数任命してきた。

その結果、トランプ氏退任後の22年6月、連邦最高裁は人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下し、州政府が中絶の可否を決めるようになった。これこそ福音派の長年の悲願だった。

 

加えて「もはや世界の警察官ではない」と宣言し、海外への多額なコミットメント(関与)よりも自国重視をうたう「米国第一主義」を掲げて、生活が少しもよくならない白人ブルーカラー層の心をつかんだ。

この3つ目の支持層こそ、かつての共和党にはない「トランプ党」の象徴でもある。「お前たちを見捨てない」というトランプ氏のメッセージは白人ブルーカラー層の心に刺さっている。

◇   ◇

メディアの調査では、米国全体でも激戦州でも、トランプ氏はバイデン氏よりも数ポイント優勢という結果が出ている(表参照)。このトランプ氏の力強さに引っ張られたのが、日本の「もしトラ」騒ぎだ。

 

 

 

ただ「ほぼトラ」はあり得ない。

そもそもここまでは共和党内の戦いであり、常にトランプ氏の勝利宣言ばかり聞かされている。

 

民主党の方は「現職が出馬する際には党を割らない」が原則であり、現職のバイデン氏に対し他の有力候補は出馬を見送った。

当然トランプ氏が目立つため、優位のようにみえてしまう。

 

共和党候補がトランプ氏となれば、バイデン氏支持も固まっていく。

「トランプ」という存在は民主党支持者にとって、自分たちが志向する気候変動政策や女性の権利尊重を奪い、平等や多様性の重視をすべて否定する象徴であるためだ。

 

高齢がたびたび問題視されるが、3月7日の一般教書演説では力強い言葉で不安を払拭した。後にこれがその後のバイデン氏の巻き返しのきっかけだったと指摘されるかもしれない。

現在の米国では、政策志向や世界観の激しい党派対立とともに、民主・共和両党の勢力が拮抗する状況が続いている。

 

00年以降の大統領選はいずれも大接戦となっている。両党の候補による抜きつ抜かれつの支持率の戦いが秋まで続くのが常だ。両党の候補者のどちらが大統領になっても全くおかしくなかった。

大統領選は全50州と首都ワシントンでの投票により争われ、ハワイ州なら民主党、アラスカ州なら共和党など、支持政党が明確な州が多い。両党の支持が拮抗しているアリゾナ、ネバダ、ミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニア、ジョージアなどの激戦州での勝敗により、勝者が決まる。

 

 

まえしま・かずひろ 

65年生まれ。メリーランド大博士(政治学)。
専門は米国現代政治

 

 

日経記事2024.03.15より引用