BMWが投入を予定している新型EV群「ノイエクラッセ」のモデル車
(23年9月、独南部ミュンヘン)
【フランクフルト=林英樹】
高級車大手ドイツBMWのオリバー・ツィプセ社長は21日、2024年の電気自動車(EV)販売について「2ケタ増の大幅な成長となる」と語った。
EVは米国で成長が鈍化するが、同社は新型車の投入などで高成長を持続すると見込む。24年12月期の設備投資費と研究開発費も過去最高となると明らかにした。
21日に開いた23年12月期決算の記者会見で説明した。BMWの23年EV販売は22年比74%増の37万5千台、新車販売におけるEV比率は15%だった。
米政府が普及目標を引き下げるなど世界的にEV需要が軟化しているが、足元でも販売は好調だとし、24年中に15車種以上のEVを新たに投入する。
ツィプセ氏は「世界のEVの発展は直線的ではなく不安定さがある。地域ごとに異なる需要に沿うよう、慎重にかじ取りをしてきており、それが成功している」と語り、EV投資計画に変更がない点を強調した。
また米政府のEV普及目標半減について「そもそも目標達成に正確な時点を設定するのは間違っている」と語った。
BMWは同日、新型EV群「ノイエクラッセ(独語で新しいクラスの意)」のうち、新たに多目的スポーツ車(SUV)タイプの「X(エックス)」モデルを公表した。25年からハンガリー工場で量産する計画だ。
26年から独南部ミュンヘン工場で生産を始めるセダンタイプなど、25〜27年に計6車種のノイエクラッセを発売する。
本格的な電動シフトの準備のため、24年12月期の設備投資費は売上高の6%以上、研究開発費は同5%以上と過去最高に達する見込みだ。
同社の23年12月期決算はEVを中心とした新車販売が好調で、営業利益に相当するEBIT(利払い・税引き前利益)が前の期比32%増の184億8200万ユーロ(約3兆円)だった。売上高は9%増の1554億9800万ユーロだった。
22年2月に中国の華晨汽車集団との合弁会社の出資比率を引き上げ、株式評価を見直し一時的に大幅増益となった反動から、純利益は35%減の121億6500万ユーロに下がった。
23年12月期の自動車部門の売上高におけるEBIT比率は8.6%から9.8%に上昇した。24年12月期の見通しでは同比率が「戦略目標範囲である8〜10%の範囲に収まる」と予測する。
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日経記事2024.03.21より引用