東海岸の「老舗型」と西海岸の「新興型」
日本の専門家と呼ばれる人たちは「第五世代」で打ち止めになっています。 どこから先は「極東アジア戦略の一環としての対日対策」という形でより広く、東アジア全体を研究する知識人たちであります。
日本人からしてみれば「何で俺たちが中国、韓国、他アジアの国々と一緒に研究されなければいけないのか」という不満の声も上がりますが、アメリカ目線では、日本は依然として中国を中心とする東アジアの一国にすぎません。
日本研究の学問的な地位は確かに低下したとはいえ、必ずどこかの大学の研究科やシンクタンクの部門が、アメリカの対日政策を立案する手助けをしています。 そして、彼ら研究員が出世して、国務省や国防総省のアジア担当官に成り上っていくのです。
まず大まかな分類ですが、同じアメリカの研究機関でも、東海岸側と西海岸側では、その研究の性質が異なります。 アメリカの東海岸で日本研究が盛んになったのは、「第一世代」「第二世代」の時代からで、まず日本の文化的側面に着目しました。
資金面でこれらを支えたのが、フォード、ロックフェラー、カーネギーといったアメリカの伝統的な支配層(エスタブリッシュメント)の財団でした。
そして「第四世代」の時期には、日本との経済関係にどう対処するか、という観点から、東海岸の大学やシンクタンクで研究が行われています。 一方、西海岸の大学やシンクタンクでは、主に軍需産業のために研究を行い、日米ハイテク摩擦にどのように対処すべきか戦略立案がなされてきました。
此のことを『日米経済論争』を著した竹中平蔵らは、東海岸の「老舗型」(主に政治・経済系)と西海岸の「新興型」(軍事系)と呼んで分類しています。