日野自動車は米当局と12億ドルの支払いで和解する
日野自動車が米国でのエンジンの認証不正問題を巡り、米当局と和解することが分かった。不正行為に対する制裁金として計12億ドル(約1890億円)を米当局に支払う。
同社は三菱ふそうトラック・バスと2023年に経営統合で合意したが、不正への対応のため無期限で延期していた。不正問題はほぼ終結し、統合に向けて前進する。
日野自は22年にエンジンの排ガスと燃費試験の不正が発覚し、トラックとバスのほぼ全車種の国内出荷を一時全面停止した。
米司法省が不正行為を調査してきたほか、米国やオーストラリアなどでは集団訴訟を起こされた。
そのさなかの23年に独ダイムラートラック傘下の三菱ふそうと経営統合で基本合意した。実現すれば中大型トラックの分野では世界最大手規模の連合になる。
電動化など次世代技術を共同開発し生き残りを図る狙いだったが、不正による制裁金や賠償金が巨額に上る可能性があり、財務不安から24年末としていた統合時期を無期延期にしていた。
今回、日野自は米当局に不正行為に対する制裁金を支払うことで和解する。民事・刑事の両面で制裁金を計12億ドル支払う。米当局との和解に伴い、米国でのエンジン不正問題は終結する。
米国でリコール(無償回収・修理)などを行う予定で、関連費用として3億ドル程度かかる見通し。最終的な負担は計15億ドル程度になる。
日野自は24年10月に北米の認証不正問題に関して、「現時点で合理的に見積もれる額」(同社)として2300億円を特別損失として計上済みで、25年3月期の最終損益は2200億円の赤字(前期は170億円の黒字)に転落する見通し。
負担額の不足分を追加計上するとみられるが、財務基盤が大きく傷むことは避けられることになった。
集団訴訟も米国とカナダで和解金の支払いで合意しており、24年12月には残るオーストラリアでの集団訴訟も終結する見通しとなった。
潜在的な大きな債務がなくなり財務不安が解消されることから、三菱ふそうとの統合協議が進む。
商用車業界では電動化など次世代技術で合従連衡が起きてきた。21年にいすゞ自動車はUDトラックスを買収した。日野自と三菱ふそうの経営統合が実現すれば、国内の商用車は2陣営に集約される。
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