三越伊勢丹ホールディングス(HD)は伊勢丹新宿本店メンズ館(東京・新宿)の2階に仏高級ブランド「ルイ・ヴィトン」を出店させて20日、改装開業した。
同ブランドの常設店は新宿本店では初めてとなる。2階は既存の仏ブランド「ディオール」などを含めて計7ブランドで構成する形に変えた。百貨店の高額品販売のけん引役である高級ブランドの売り場を増やして、国内外の来店客をさらに増やす。
初出店のヴィトンのほか、ディオールを館内で移動させるなどで2階のブランド店を全面的に入れ替えた。売り場にはソファや机を置いて接客スペースを設け、ゆったりとした空間を確保した。
ブランド間の壁を極力なくして、来店客が比較しながら購入を検討できるようにしたのが特徴だ。メンズ館で高級ブランドを展開する階は1つ増えて3フロアとなった。
伊勢丹新宿本店メンズ館で開業した「ルイ・ヴィトン」は開放感を持たせた店のつくりが特徴だ
(19日、東京都新宿区)
ヴィトンの新店は男性に照準を合わせた店舗で、メンズ特化店としては国内4つ目となる。服やかばん、香水や宝飾品など多様な商品を取りそろえる。伊勢丹限定色のかばんも2種類販売する。
通常は重厚な壁で売り場を囲う店舗が多いが、ブランドロゴの「LV」を模した格子状の仕切りを活用して店内を見渡せるように開放感を持たせたのが特徴だ。
ヴィトンは新宿本店で期間限定店を開いたことはあるが、常設するのは初めてという。ヴィトンによると、伊勢丹近隣の新宿三丁目交差点にある路面タイプの「ルイ・ヴィトン 新宿店」は併存させる。
伊勢丹新宿本店メンズ館では仏「ディオール」など既存の店舗も移転し改装開業記念の限定品を販売する
(19日、東京都新宿区)
メンズ館2階はヴィトンやディオールのほか、仏ブランドの「セリーヌ」、スペイン発祥で仏ブランドの「バレンシアガ」、英「バーバリー」などの6ブランドも、改装を記念したかばんやコートなどの限定品を発売する。新しいブランド階の初年度売上高は前年度比で約2倍を目指す。
三越伊勢丹でメンズ館などの商品の仕入れ担当を務める石田修平氏は「外商の顧客などからの要望が強まっていた高級ブランドのファッション提案を強めた」と話す。
一方、性別を問わない「ジェンダーレス」の考えは消費でも広がっている。伊勢丹新宿本店の神山大営業部長は「メンズ館で買い物する女性客は増えている。『メンズ館』としての独自性を保ちながら商品の幅を広げていきたい」と語る。
「ルイ・ヴィトン」が入居して改装開業した伊勢丹新宿本店メンズ館(19日、東京都新宿区)
伊勢丹メンズ館は1968年に「男の新館」という名称で始め、2003年に現在の屋号に改めた。改装は1階の男性用化粧品売り場を約2倍に広げた22年以来2年ぶり。
メンズ館の24年3月期の売上高は450億円を超えて過去最高を更新する見通しで、阪急阪神百貨店運営の「阪急メンズ」と並んで男性向け特化店としては国内百貨店有数の規模だ。
伊勢丹新宿本店は本館も改装している。27日には5階で高級腕時計の売り場を拡大して改装開業する。
(斎藤萌)
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日経記事2024.03.20より引用