わたしは、彼にメールを書いた。
最後のメール。
思ったことを、なるべく長くならないように、何度も考えて書き直して。
当時、やりとりしたメールは、ソフトがおかしくなってもう読めなくなってしまったので、わたしの手元にはない。
でも、彼はそのメールをずっと取ってあって、保存していた。
結婚する前、再会した時に、それをたまに見返していたと言っていた。
そしてプリントアウトして見せてくれた。
26の時のわたしのメール。
それは思い遣りが感じられるものだった。
別れを告げられた時、わたしはとても苦しんでいた。
考えたら、「振られたのは初めて」だった。
彼のことを思わない日は一日だってなかった。
「なんで?」
「どうして?」
「何が悪かったんだろう?」
ずっと考えていた
あんな風に、人を好きになることはもうないだろう。
それははっきり分かった。
わたしの、無邪気な女学生のような恋。
本当に、最後の恋にしたかった。
知らない相手に対して、ああいう気持ちで人を見つめることはないだろう。
あの人以上の人はいないし、手に入れたいと思う人はきっといない。
もっと人間的に付き合いたかった。
魂のかたちを見たかった。
もっと生っぽい彼を。
鏡のなかにいる彼を、本物に触れたと思った瞬間、もっと遠いところに行ってしまったように感じた。
最後のメール。
思ったことを、なるべく長くならないように、何度も考えて書き直して。
当時、やりとりしたメールは、ソフトがおかしくなってもう読めなくなってしまったので、わたしの手元にはない。
でも、彼はそのメールをずっと取ってあって、保存していた。
結婚する前、再会した時に、それをたまに見返していたと言っていた。
そしてプリントアウトして見せてくれた。
26の時のわたしのメール。
それは思い遣りが感じられるものだった。
別れを告げられた時、わたしはとても苦しんでいた。
考えたら、「振られたのは初めて」だった。
彼のことを思わない日は一日だってなかった。
「なんで?」
「どうして?」
「何が悪かったんだろう?」
ずっと考えていた
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あんな風に、人を好きになることはもうないだろう。
それははっきり分かった。
わたしの、無邪気な女学生のような恋。
本当に、最後の恋にしたかった。
知らない相手に対して、ああいう気持ちで人を見つめることはないだろう。
あの人以上の人はいないし、手に入れたいと思う人はきっといない。
もっと人間的に付き合いたかった。
魂のかたちを見たかった。
もっと生っぽい彼を。
鏡のなかにいる彼を、本物に触れたと思った瞬間、もっと遠いところに行ってしまったように感じた。