晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ピーター・エイブラハムズ 『ザ・ファン』

2009-12-17 | 海外作家 ア
『ザ・ファン』は、ロバート・デ・ニーロ主演で映画化され、
たしか公開は10年以上前でしょうか、とても面白かった
と記憶していたのですが、つい先日、本屋で物色してい
ると、原作の小説を発見。
まだ読んでいなかったというのと、映画とは少し内容が
違う部分があるということに興味ひかれて、購入。

アメリカの(舞台は明らかにされてませんがおそらくボストン)
ナイフ会社に営業として働くギル・レナードは、街の野球チーム、
ソックスの病的なほどの大ファン。
厳しいノルマで心が腐りかけていたときに、ソックスに大物選手
ボビー・レイバーンが入団することに。
ある日ギルは、大事な得意先の営業をソックスの開幕戦に行って
すっぽかしてしまい、会社を解雇されます。
さらに、開幕戦には元妻と暮らしている息子と出かけており、試合
途中で息子を球場に置いたまま営業先に行ってしまい、球場に戻
るとすでに試合終了、息子は親切な人に家まで送り届けてもらって
おり、元妻からは息子に会わせないと告げられます。

荒んだ気持ちのギルは、リトルリーグをやっていた少年時代を心の
拠り所とし、故郷に戻ると、かつてのチームメイトと再会します。
しかし、そのチームメイトは窃盗を生業としていて、それに加担
してしまったギルは、とうとう自暴自棄になってしまい・・・

一方、鳴り物入りで入団したボビーは、開幕戦以降まったく打てず
とうとうスタメンから外されることに。
前のチームでつけていた背番号11はすでにソックスの他の選手が
つけており、譲ってもらおうとしますが断られ、そんな些細なことも
気にしてしまいます。
カウンセリングや医者に診てもらっても特に異常はなく、なかなか
スランプから抜け出せません。

ソックスは遠征でカリフォルニアに移動、そこで、試合終了後、球場
のシャワー室で、ボビーに背番号11を譲ってくれなかった選手が、
何者かに刺されて殺されてしまい・・・

ギルとボビーのそれぞれ別の人生と、やがて現れてくる接点を描い
ていて、ミステリーはほんのサイドメニューくらいの役割。
じつはソックスの選手を刺殺した犯人はギルなのですが、それから
チームは追悼の意もあって快進撃。
やがてギルはボビーにじわりじわりと近づいてゆくのです。

物語の合間に、ギルがよく聴くラジオ番組があり、リスナー参加で
ギルはたびたび番組に電話出演しています。
これが話の「ちょっと一服」的な役割を果たし、さらに物語上、事件
を解決するための「道具」しても使われていて、とても効果的。


コメント
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