晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

鷺沢萠 『失恋』

2018-03-03 | 日本人作家 さ
何年か前、鷺沢萠さんの小説をまとめ買いして、
別に放置してるわけじゃないんですけど「そうい
えばまだ読んでないのあったっけ」と思い出し、
本棚の(日本人作家・サ)を見ると・・・
とうとうこれでまとめ買いした分は全部読みました。

タイトルからして、そんなに好んで読むジャンル
ではない恋愛系。いや、でも(失恋)といっても、
読まず嫌いはよくないよくない。

「欲望」は、悠介という男性と黎子という女性の話。
ふたりは大学からの友人で、友達以上恋人未満とい
いますか、悠介は映画のコラムなどを書いたりして
います。黎子はというと、大学時代の仲間で水島と
いう証券マンと結婚しますが、時はバブル全盛で、
水島は日に日に崩壊していき、ふたりは離婚します。
その後バブルは崩壊し、なんと水島は行方不明に。
そこで、方々から金を借りまくってるということが
分かりますが・・・

「安い涙」は、クラブのホステスの幸代の話。
高校卒業を待たずに田舎から上京し、そんな女の子
に満足な働き口などなく、水商売の道に飛び込み、
気が付けば三十代、店の経営も任され、とうとう
郊外にマンションを買っちゃいます。そんなずっと
張り詰めた生活の中・・・

「記憶」は、大学の博士課程の樹子の話。あるころ
から、医学部の政人と仲良くなりますが、ふたりの
関係は恋人なのか、政人にとって樹子は都合のいい
存在と周囲は思っています。それは樹子も分かって
いるのですが・・・

「遅刻」は、バーで出会った信吾と勢津子の話。
マニアックなウィスキーを知ってる勢津子に信吾は
ナンパというわけでもなく話しかけ・・・

昔からよく言われる「愛はまごころ、恋はしたごころ」
というやつ、つまり漢字の「心」の場所なのですが、
これ、じつによく言い当ててるなあと思いますね。

あとがきでも「失恋という言葉はあるけど(失愛)は
無い」と書いてまして、恋とは失う時点で有限のモノ
であって、(~してあげたい)というのは自分勝手な
欲望なのか?

ま、それは各自で考えていただくとして、冒頭に書いた
(恋愛小説は読まない)というのは、なんていうんで
しょうね、恋愛小説だと、男性作家の描く女性、女性
作家の描く男性というのに満足できたためしがないん
ですね。まあだからこそ恋愛小説はいつまでもあり続け
るんでしょうけど。
コメント
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