晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

佐伯泰英 『夏目影二郎危難旅(二)代官狩り』

2018-03-21 | 日本人作家 さ
このシリーズの第一巻「八州狩り」はついこの前読んだ
ばかりですが、そもそもまだ「吉原裏同心」シリーズの
途中なのになぜ別のシリーズものを読んでしまったのか
といいますと、たしか裏同心の12巻を買いに行ったら
無くて、それで別のシリーズを買ったんでした。

でもこの投稿の3つ前に裏同心の12巻を投稿していて、
それでまたこの「狩り」シリーズということは、察しの
いい方ならお分かりだと思いますが、「裏同心」13巻
を買いに行ったら無かった、ということですね。

それはさておき、軽く説明しますと、主人公の本名は、
夏目瑛二郎といいまして、大身旗本の妾の子として生ま
れ、実母が亡くなり本宅に来るも義母にいびられ無頼の
道へ。ですが剣術は免許皆伝の腕前・・・と、どこかで
聞いたようなことがあるような気もしますが、女性を
めぐって十手持ちを殺してしまい遠島の罪となりますが、
そこに瑛二郎の父親が来て、勘定奉行である父の隠密
になってくれるなら釈放してやる、と・・・

かくして夏目(影)二郎は、密命の旅へ。

前作では、関東取締出役「八州廻り」の腐敗を成敗しに
出かけ、道中では国定忠治や二宮尊徳らも登場。

深川の悪所である「極楽島」で、勘定奉行の役人が死体
となって発見されます。尾藤という役人は、この極楽島
で何者かを見つけ、それが殺される原因となったような
のですが、さっそく聞き込みに向かった影二郎は、尾藤
の幼馴染みだという女性に話を聞いていると、彼女の猫
の首輪からなにやら紙が。そこには代官と郡代の名前が。

不正の疑いがある三人の代官、郡代を調べに中山道へ。
それとは別に、浜西という新任の八州廻りが行方不明
になっているのでそちらの調査もするのですが、浜西
は八州廻りの管轄外である信州に来ていたのです。
浜西はどうやらアヘンの密売を調べていたようですが、
そこに加賀藩が関係しているようなのです。
参勤交代で国許に戻る加賀藩の行列を追う影二郎です
が、そこに僧衣の暗殺集団が・・・

影二郎の旅の供は、犬の(あか)。さらに今作では、
浅草の水芸をする女芸人(おこま)もいっしょですが、
どうやらこの女芸人は勘定奉行である父の命で影二郎
に同行しているような・・・

このシリーズの時代は江戸末期の天保年間で、あと数
十年もすれば江戸幕府は終わるのですが、もちろん当時
の人はそんなことは知りません。が、もはや江戸幕府は
破綻寸前、将軍おひざもとの江戸深川に「極楽島」など
というバットマンのゴッサムシティのような、吉原や
大名下屋敷の博奕よりもさらに過激な享楽の提供場所が
出来てしまう、といったもの。

日本に限らず古今東西、大変革のちょっと前はもはや
人間の浅知恵などではどうにもならない「時代のうねり」
のようなものが起こるのですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする