はじめ、このタイトルだけを見たときに「お、料理屋さんの
物語かな」なんて思ったのですが、よく見るとサブタイトル
があって、「八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし」とあり、
なあんだ、八丁堀てことは捕物帳か?と思いきや、これもまた
ちょっと違って・・・
江戸の八丁堀といえば町奉行の役人が住む町でおなじみで
すが、町奉行の与力や同心もいちおうは武士ですからこの
一帯は「武家屋敷エリア」というイメージですが、町人の
住む長屋もあったり、飯屋もあり、風呂屋もあります。
同心の俸給は(三十俵二人扶持)といわれており、現代の
金銭感覚でいうと年収300万円ぐらいでしょうか。
「公務員なんてそんなもんじゃねえの」と思うでしょうが、
先述のように彼らは(いちおうは武士)ですから屋敷には
女中や下男を置くといった(体面)が大事で、さらに同心
は御用聞き(岡っ引き)、さらに御用聞きの下働きをする
情報屋や密偵などにも捜査費用や報奨金をあげたりと大変
なのです。じゃあどうしてたかというと、敷地の一部を医
者などに貸していたというのです。
これは表向きの話で、大名や旗本家から(つけとどけ)が
あり、「もしうちの家臣が何かやったら目こぼしを・・・」
ということですから、与力や同心はそこそこ稼ぎは良かった
ようですね。
さて『卵のふわふわ』の物語ですが、主人公は隠密廻り
同心、椙田正一郎の妻(のぶ)。のぶも同心の家に生まれ
、独身の頃は正一郎に片思いをしていました。
のぶさん、初恋の相手と添い遂げて良かったね、と言いた
いところですが、正一郎は何かというとのぶに冷たくあた
ります。二度も流産をし(当時は子が産めないと離縁され
た)、さらに偏食が激しく、自分を責めるのぶ。
ですが、結婚前、正一郎には恋人がいました。相手は貧乏
御家人の娘でしたが、幕府の役人に嫁いでしまいます。
正一郎は一時期、自暴自棄になり、そんな中、のぶと結婚
したのです。女性不信になった正一郎は妻に怒鳴ったり
なじったり。
しかし、のぶの義父の忠右衛門と義母の(ふで)はのぶに
とても優しく、屋敷内の一部を貸してる幇間(太鼓持ち)
の今助や女中とも仲良くやっていて、夫婦問題を別にすれ
ば、とてもいい嫁ぎ先。
忠右衛門は隠居ではなく現役の町奉行役人なのですが、
幇間に家を貸してるというぐらいのちょっと変わった人
で、武勇伝というか逸話も多いそうな。
さて、この小説は短編形式になっていまして、それぞれ
タイトルが
・秘伝 黄身返し卵
・美艶 淡雪豆腐
・酔余 水雑炊
・涼味 心太
・安堵 卵のふわふわ
・珍味 ちょろぎ
となっていて、料理がそれぞれの話の重要な部分になって
います。
全体的な話の流れとしては、自分は正一郎の妻にふさわし
くないとふでは一度は家を出て実家に戻ります。
とはいえ出戻りにとって実家は居づらく働きに出ますが、
当時の女が一人で働いて暮らすというのは容易なことでは
ありません。
しかし正一郎は離縁状を書きません。それどころか、のぶは
なにかと元の嫁ぎ先にお世話になってます。
のぶと正一郎の関係は修復できるのか・・・
表題作の「卵のふわふわ」は、東海道の袋井宿の名物料理で、
「東海道中膝栗毛」のも出てくる一品なのだとか。
文中の説明によると、熱い出汁に泡立つまでよく溶いた卵を
さっと入れる、まあウフ・ア・ラ・ネージュの甘くない版と
いいますか。
フランスのモン・サン・ミシェルにも名物料理で泡立つまで
溶いた卵のオムレツというのがありますね。
物語かな」なんて思ったのですが、よく見るとサブタイトル
があって、「八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし」とあり、
なあんだ、八丁堀てことは捕物帳か?と思いきや、これもまた
ちょっと違って・・・
江戸の八丁堀といえば町奉行の役人が住む町でおなじみで
すが、町奉行の与力や同心もいちおうは武士ですからこの
一帯は「武家屋敷エリア」というイメージですが、町人の
住む長屋もあったり、飯屋もあり、風呂屋もあります。
同心の俸給は(三十俵二人扶持)といわれており、現代の
金銭感覚でいうと年収300万円ぐらいでしょうか。
「公務員なんてそんなもんじゃねえの」と思うでしょうが、
先述のように彼らは(いちおうは武士)ですから屋敷には
女中や下男を置くといった(体面)が大事で、さらに同心
は御用聞き(岡っ引き)、さらに御用聞きの下働きをする
情報屋や密偵などにも捜査費用や報奨金をあげたりと大変
なのです。じゃあどうしてたかというと、敷地の一部を医
者などに貸していたというのです。
これは表向きの話で、大名や旗本家から(つけとどけ)が
あり、「もしうちの家臣が何かやったら目こぼしを・・・」
ということですから、与力や同心はそこそこ稼ぎは良かった
ようですね。
さて『卵のふわふわ』の物語ですが、主人公は隠密廻り
同心、椙田正一郎の妻(のぶ)。のぶも同心の家に生まれ
、独身の頃は正一郎に片思いをしていました。
のぶさん、初恋の相手と添い遂げて良かったね、と言いた
いところですが、正一郎は何かというとのぶに冷たくあた
ります。二度も流産をし(当時は子が産めないと離縁され
た)、さらに偏食が激しく、自分を責めるのぶ。
ですが、結婚前、正一郎には恋人がいました。相手は貧乏
御家人の娘でしたが、幕府の役人に嫁いでしまいます。
正一郎は一時期、自暴自棄になり、そんな中、のぶと結婚
したのです。女性不信になった正一郎は妻に怒鳴ったり
なじったり。
しかし、のぶの義父の忠右衛門と義母の(ふで)はのぶに
とても優しく、屋敷内の一部を貸してる幇間(太鼓持ち)
の今助や女中とも仲良くやっていて、夫婦問題を別にすれ
ば、とてもいい嫁ぎ先。
忠右衛門は隠居ではなく現役の町奉行役人なのですが、
幇間に家を貸してるというぐらいのちょっと変わった人
で、武勇伝というか逸話も多いそうな。
さて、この小説は短編形式になっていまして、それぞれ
タイトルが
・秘伝 黄身返し卵
・美艶 淡雪豆腐
・酔余 水雑炊
・涼味 心太
・安堵 卵のふわふわ
・珍味 ちょろぎ
となっていて、料理がそれぞれの話の重要な部分になって
います。
全体的な話の流れとしては、自分は正一郎の妻にふさわし
くないとふでは一度は家を出て実家に戻ります。
とはいえ出戻りにとって実家は居づらく働きに出ますが、
当時の女が一人で働いて暮らすというのは容易なことでは
ありません。
しかし正一郎は離縁状を書きません。それどころか、のぶは
なにかと元の嫁ぎ先にお世話になってます。
のぶと正一郎の関係は修復できるのか・・・
表題作の「卵のふわふわ」は、東海道の袋井宿の名物料理で、
「東海道中膝栗毛」のも出てくる一品なのだとか。
文中の説明によると、熱い出汁に泡立つまでよく溶いた卵を
さっと入れる、まあウフ・ア・ラ・ネージュの甘くない版と
いいますか。
フランスのモン・サン・ミシェルにも名物料理で泡立つまで
溶いた卵のオムレツというのがありますね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます