晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『ひょうたん』

2015-09-27 | 日本人作家 あ
だんだん我が家の書棚に宇江佐真理の本が増えてきました。というか時代小説が増えてきたんですね。
まだまだ読んでない有名な時代小説はそれこそ山のようにあるので、これから楽しみです。ただ人物の伝記になるとものすごい長編になるので、そこらへんはどうも。池波正太郎の「真田太平記」とか読んでみたいのですが、なかなか腰が重いといいますか。

さて、「ひょうたん」ですが、江戸、本所にある古道具屋「鳳来堂」の亭主、音松と妻のお鈴のお話。
「鳳来堂」は骨董など高価なものは置いてなくて、中古の生活用品などを扱っている文字通りの「古道具屋」。十歳になる長五郎という息子がいますが、音松の兄の質屋に奉公に上がっています。この店は夕方になると友人たちの溜まり場となり、お鈴はそれがちょっと迷惑ですが音松はそんなの気にせずほぼ毎日「鳳来堂」に集まっては飲んで喋ってといった感じ。

「織部の茶碗」では、ある日、音吉が出かけた帰りに浪人が道端で道具を売っているのを見かけ、そこに良さげな茶碗があったので音松は四百文で買うのです。その茶碗は織部作のものと音松は言うのですが、折り紙(鑑定書)も付いていません。
ところが後日、地元の岡っ引きが来て、半月ほど前に浪人が空き巣をして盗品を道端で売っていたところ捕まり、被害にあった家の人が品物を見てみると、先祖が殿様からいただいた家宝の茶碗が無いというのです・・・

表題作「ひょうたん」では、音松が突然、客を連れてきます。夏太郎というこの男は橋から身投げしようとしていたところを助けます。しかし、なかなか自分の身元を話そうとせず、ただ「親方と喧嘩して出てきた」と・・・

「そぼろ助広」では、「鳳来堂」に武士が刀を売りに来ますが、話を聞けば、妻が病気で薬代や滋養のある食べ物を買うために売るというのです。そこで音松は質屋をやっている兄に見てもらうことにして武士に一旦帰ってもらうことに。そこで、この刀はどうやらすごい刀と分かったのですが・・・

「びいどろ玉簪」では、「鳳来堂」に身なりの貧しそうな小さな女の子と男の子が来て、簪を買い取ってほしいというのです。応対に出たお鈴は話を聞くとこの二人の母親が奉公してた家からいただいた簪で、その母親は病気になって、売りに来たといい、気の毒に思ったお鈴が何か食べさせてあげようと思い台所へ行って田楽を持って店に戻ると二人の姿はなく簪もなくなっていて・・・

「招き猫」では、音吉お鈴の息子、長五郎が「鳳来堂」に来ます。そこで、奉公先の質屋を辞めたいと言うので、話を聞くと、亭主の竹蔵と番頭が留守中に客が来て、長五郎が応対します。質草は招き猫で、しかも十体も。なかなか上等な招き猫だったので長五郎は買い、番頭が帰ってきたので見せると番頭は褒めてくれたのですが、亭主は怒り出し・・・

「貧乏徳利」では、瓦職人と名乗る男が、自作の徳利を売りにきます。音松はその徳利を買いますが、二合の徳利で、なぜ「貧乏」なのかというと、近頃は「ちろり」という金属製の酒燗が主流で、今では場末の飲み屋でしか使われていないそう。ところが後日、岡っ引きが、最近焼き物の贋作が出回っているというのですが・・・

話に派手さは無く、淡々としていますが、読み終わって、じんわりと心が暖かくなります。






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