鼻炎なのか風邪なのか解からないまま
耳鼻科に行ったら、
「最近、ペットを飼われましたか?」と医者に聞かれた。
それはないだろうと一応、カビと杉花粉の検査をして貰う事にした。
病院の近くは『虎千代』と『茶々』と『夜』のいる場所から近い。
具合が悪いくせに、懐かしくなって行ってみる事にした。
もう半年~一年近く行っていないし、居ない可能性もある。
心配をよそに、河沿いの段ボールハウスは健在だった。
それどころか、
グレードアップ(ツツジの茂みに隠れる様に目立たない塗装)していて
快適な居住空間が出来上がっていた。
以前の様に、猫嫌いの人からのクレームの張り紙は無くなっていた。
でも、猫の姿は無い。
暫くその場でキョロキョロしていると
土手の向こうに黒い影が動いた。
あ、『夜』だ。
小柄だがモフモフした体付きの黒猫が
迷わず私の方へ向かって来るのが見えた。
自分の背丈程の草むらを掻き分け歩く姿は
さながら、黒豹に見える。
以前だって、いつも通っていた訳でもないし
会えなくなったのはもう随分前なのに、
『夜』は私を覚えていた。
人と同じように、猫も
別れの悲しみって奴は、
繰り返し悪い爪をはぐ時みたいに
いつか、ゆっくり剝がれていくものなのかも知れない。
ちょっとだけ引っ掛かって残っていた爪の記憶が
懐かしい顔になって蘇ったのだろう。
しっかりとした足取りで
『夜』はもう足元迄来ていた。
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