その日は、たまたまの秋晴れで涼しく
猫に会えるか解からないけれど、
思い切って出掛けた。
団地の中の道をとぼとぼ歩いていると、
小学生になったばかりとおぼしき少年が
たった一人、公園の入口でじっとしていた。
初めは気にする事なく通り過ぎるつもりだったのだが、
私の足を止めたのは、
その少年の腕の中に居た子猫だった。
少年が大事そうに抱えた猫はキジトラの子猫で、
眠っているのか少年の腕の中でじっとしていた。
これはチャンスと撮影させて貰うつもりで
交渉してみることにした。
「ねぇ、それ、君の猫?」
「そう」
「何処で拾ったの?」
「お店で買ったの」(少年の顔色が変わった)
「ふーん。猫の写真撮らせて貰っても良いかな?」
「だめ」
「そっか、ごめんね。じゃぁね。」
こんなやり取りの後、
今日の撮影は無理そうだなと
一人がっかりしながら歩きだした。
少年と別れて、歩き出すと『おにぎり』が横切った。
2~3枚撮影して歩き出すと『キジ』と『茶虎』に遭遇。
散々撮影出来たので、仕上げに『リー』の所に挨拶しに行った帰り道、
団地の芝生の上で、子猫と一緒の『茜』に会った。
直ぐに隠れてしまったので撮影は出来なかったけれど
子猫は一匹しか居なかった。
「前にもこんな事があったな」と思いながら
子育てでやつれた『茜』の姿を数枚撮影した。
少年はお店で買ったというけれど、
どう見てもキジトラの子猫。
団地の子供は殆どといって良いほど、
猫をペットショップで買わない。
猫なんてそこいらに居るからだ。
大抵、野良猫が子猫を産むと近所の子供がチリジリに
親猫から子猫をもぎ取って家に連れ帰るが
子猫が大きくなる頃には再び、野に放たれる事が多い。
多分「拾った」と言えば、
少年は私から子猫を取り上げられると思ったのか
下手な嘘をついているのが可笑しかった。
母猫が人の姿になって
「私の子猫を返してくれ」と言いに来たとでも
思ったのかも知れない。
思った以上に撮影出来た帰り道
あの少年は、
子猫を玩具みたいに片手にぶら下げたまま
他の友達二人と賑やかに公園を駆け回っていた。
昨日は?位
←いつもありがとうございます。
昨日は?位
←感謝、感謝でございます。