路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

グッド・バイ。

2011-02-08 | 『麦・フク・ぽん太』





それは、突然やって来た。

所謂、「別れ」という奴だ。





雌猫でもなく外で暮らす雄猫ともなれば、

ある一定の時期が来れば必ず

頭の奥の方で声がするらしい。




「もっと遠くに、もっと広範囲に、良い遺伝子を残せ」




奴の可愛いタヌキ顔も徐々にキリリと雄の顔になって

私から時々貰うマタタビよりも

頭の奥から聞こえる声に従うように

突然いなくなった。




キジトラの雄猫『ぽん太』は愛嬌たっぷりの猫で

それはそれは頭が良い。

多分、人間の私なんかより数段頭が良い。

もしかしたら運良く

何処かのお宅の飼い猫に納まっているやも知れないが

簡単に人に捕まる奴とも思えないのだ。





不思議なモノで、そんな曲者の奴に限って

居なくなるととても寂しくなる人が

少なからず、一人は居るという事だ。




マタタビ・ダンスがきっかけで出会った

散歩途中にご飯を持参して来てくれていた女性も、

『ぽん太』の姿を探して

低姿勢の不自然な散歩を繰り返している。




その姿を見るにつけ、

つぶやきたくなる言葉がある。




「花に嵐のたとえもあるが、さよならだけが人生だ」





酒は飲まぬが、「歓酒」を一つ。

その女性にとっても、『ぽん太』にとっても、

未来に幸あらん事を願って。









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 期間中、猫型お菓子、猫雑貨でいっぱいになります。
 是非、お近くの方は足を運んで下さいね。

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踊る猫

2011-01-15 | 『麦・フク・ぽん太』




『フク』ちゃんが消えた公園で

『たぬき』ソックリの猫、『ぽん太』に出会った。

もう、3ヶ月以上前になる。



薄暗くなった夕方、

いつも警戒しながら近付いては

少し遠慮気味に遊ぶ姿が

可愛いキジトラの雄だ。




ある日、たまたま持っていたので

『ぽん太』に悪戯心でマタタビの実をあげてみた。

丁度その時、

散歩途中にいつも『ぽん太』にご飯をあげている女性に出会った。

『ぽん太』はマタタビの実が甚く気に入った様子で

くねくね、ゴロゴロ、ご機嫌で私にスリスリで

「あら、凄く貴方に懐いているのね」

と、ちょっとした誤解を受けた。




その女性は散歩途中で出会った『ぽん太』を

家に連れて帰ろうと思っていた様子だった。

家には二匹の猫が居て、この子が寒そうで可愛そうだからと

話してくれた。

家の猫が飼い猫になる迄の経緯を事細かに話してくれたその女性に

『ぽん太』との関係を誤解されては困ると思い、

正直に実はマタタビをあげた事を告げた。





その後何度となく『ぽん太』に会ったが、

その日はいつもと様子が違い

いきなりのフレンドリーな挨拶から始まって

マタタビをあげていないのに

マタタビ・ダンスを始めたのだ。






「姐さん、アレ。アレですよ。そう、僕がこうなるアレを…」

と、まるで催促しているようなのだ。

貰えるまでやめないしつこさで『ぽん太』は踊り続けた。






昔、猫がコミカルに踊るギャグ漫画があったが

猫は漫画や冗談じゃなく、踊るのだ。

猫のダンスは意外と楽しい。








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捜索願い

2010-12-25 | 『麦・フク・ぽん太』





「24日夕方頃から50代女性が行方不明です…身長○○センチ・

   体重○○キロ位…特徴…………見掛けた方はご連絡下さい」




その張り紙を見たのは11月の半ばを過ぎた頃。

ちょっと、ビックリして立ち止まった。




良く似た内容の迷い犬や迷い猫の張り紙は

スーパーや町の掲示板等で見掛けた事はあったが、

我が家のこんなに近所で「人」のモノもあったのだ。

しかも、掲示板等でなく、民家の壁に。

それがまた、一層不可思議な悲愴感をそそる。

良い大人で、幾ら土地勘がなくても

家には帰れるだろうに…って事は、病気か何かかも知れない。

モヤモヤとした想像が巡った。




犬や猫ならば、

「ちょっと人懐こいし、首輪もしてないし、うちの子になる?」

…とかなんとか…で、

他人の手に寄って連れ去られるケースも多い。

実家のご近所のおばちゃん家の『フク』ちゃんは

最近、そのケースで連れ去られたらしい。




公園でおばちゃんを待っている姿に出くわしたのを最期に

もう、会えなくなった。



娘さんの会社の人に押し付けられたとは聞いていたが

まんざらでもない様子で、

「うちに福が来るように『フク』ちゃんって付けたの」

と、おばちゃんは笑顔で言っていた。

昨年の年末、シェパードの『レナ』が虹の橋に旅立ってから

折角迎えた家族の席は、再び空席になったようだ。




公園には、色んな人が忘れて行った落し物がある。

中には落し物と捨てた物を勘違いをして、それを拾う人もいる。




でも、世間ではあちこちで

「幸福の捜索願い」が貼られたまま風化しているようだ。

探している誰かが居る事にも気付かずに

張り紙を素通りしてしまうからかも知れない。







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公園男子

2010-10-13 | 『麦・フク・ぽん太』






『麦』と出会った公園に

中・高校生位の男子が一人、茶虎の子猫を見詰めて佇んでいた。

写真が撮りたくて声を掛けた。




が、その少年の猫かと思いきや、違った様子で

茶虎の子猫は一身に砂場で遊ぶ子供の姿を目で追っていて、

その姿をじっと見詰める男子。




猫も、私がじわじわ近付いても気にもしないので

ここぞとばかりに写真を撮らせて貰っていると

気持ちを許してくれたのか、子猫は少し遊んでくれた。

その姿を見て、男子も気持ちを許したのかは解からないが

「僕…将来は縁側で日向ぼっこしながら

 三毛猫と柴犬を飼うのが夢なんです」

と、言った。





うら若き少年の夢にしては、

爺むさい夢(スイマセン)だなと思いながらも

「おや?良い夢だね。実現出来ると良いね」

などと、日和った意見を言ってしまった気がする。




数枚写真を撮らせて貰うと、男子と子猫に別れを告げて

公園を後にした。



実家に帰って母にその話をしたら、

公園で出会った男子は近所の病院の息子だと判明した。



「家が病院じゃ、犬も猫も飼えんけん

 大きくなったら飼いたいと思ったんやろうね」



何でまた、通りすがりの私にそんな話をしたのか

解からなかったが、妙に可笑しかった。



「ほら、あの子はよく風呂敷をマント代わりにして

 ヒーローごっこしとった子たい」




昔、ヒーローで悪と戦っていた少年は、

通りすがりのおばさん相手に公園で夢を語るのだ。

時の流れは恐ろしい。








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美 猫

2008-06-14 | 『麦・フク・ぽん太』

血統書付きの猫も可愛いが、私は駄猫が大好きだ。

人間も、外国人同士のハーフが可愛いのと同じで、

互いの国が物理的に遠ければ遠い程、

良い結果が出るものなのかもしれない。



外国の猫と日本の猫。

何処で知り合ったのか、逃げ出した飼い猫との出会いで

そう言う子猫が産まれたのかも知れないが、とても美しい。

この公園で出会った猫、『麦』もそうだ。

どことなくアビシニアンの血が混じっている。




「うちの子は、アメショとチンチラのミックスだから…」とか

「ちょっとロシアンブルーが混じってるのよ…」とか

自慢気に話をする飼い主さんがいるが、

確かにそんな気もする。

しかし、

どう見ても駄猫だったりする猫もいる。




でも、私は嬉しいのだ。

「やっぱりうちの子が一番!」って言う感じの飼い主さん…



やっちゃって下さい。

親馬鹿振り、

ばんばん発揮しちゃって下さい。





見ているだけで幸せな気分になれますから。







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かくれんぼ

2008-06-01 | 『麦・フク・ぽん太』

実家の近所の公園に差し掛かった時、猫の気配を感じた。

物陰からこっちを伺う茶猫、『麦』だ。

顔だけ見てるとアビシニアンに似ているが、

尻尾が何故か灰色の縞模様。

一応挨拶だけして、実家へ急いだ。

用事を済ませた帰り道、

『麦』が公園で雄叫びの様な鳴き声で鳴いている。

ナイトモードで撮影出来るかと思い、カメラを取り出すが

薄暗い中、街灯の下へは上手いこと誘導出来ず

その日は仕方なく帰る事にした。



翌日、同じ位の時間帯に公園へ立ち寄った。

すると昨日会った場所で『麦』が待っていた。

薄暗い夜が近付くこの時間帯、みるみる辺りは暗くなって行った。

又撮影は無理かと思ったが、一応カメラを構えた。

すると、『麦』はくるりと向きを変えて植え込みの中へ逃げ込んだ。

もう諦めて帰るかと思っていると…



あっちの植え込みで  「みゃう みゃう」

こっちの植え込みで  「みゃう みゃう」

可笑しくなった。

どうやら、猫のかくれんぼにご招待のようだ。

近付いてみても

あっちで   「みゃう みゃう」

こっちで   「みゃう みゃう」

エンドレスだ。仕方なくフェイドアウトする事にした。




次の日同じ場所へ行っても『麦』の姿は何処にも無かった。

やっぱり、かくれんぼに本気で付き合っておけば良かったと

ふと、思った。






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