路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

数え足りない思い出

2008-05-21 | 『ジュリー』

おばあちゃんに再会したのは、5月の始め。

『ジュリー』を連れて団地の中を散歩途中、

以前と同じく、おばあちゃんは知人と立ち話をしていた。

私が近付くと、いつものように

「猫が好きなの?この子は家族以外に直ぐ愛想良く付いて行くのよ。」

と、以前会った時と同じ台詞を言う。

やはり私の事は憶えていないようだ。

引越してだいぶ経つし、おばあちゃんにはそんなに頻繁に会っていなかったし。





おばあちゃんはこの団地に越してきて40年近く猫を切らした事がない。

40年前、夫を亡くして以来の事だ。

歴代の猫達は、おばあちゃんの傍らで家族の暮らしと成長を見守って来たのだろう。

良い事も、悪い事も、

亡くなったご主人の代わりに。

たとえ先に逝く事があっても姿や形を変え、

再び猫としておばあちゃんの元へやって来ていたのではないかと思う。

大切な人(おばあちゃん)に、また会う為に。

それを証拠に、おばあちゃんは猫の名前を適当に呼ぶのだ。





おばあちゃんは84歳。『ジュリー』はもう直ぐ5歳。




続いてゆく全ての事が、永遠じゃない事くらい解かっている。

でも、数えきれない未来と、数え足りない思い出は

同じ重さでそこに在る。







今日は何位??
 ←ココをクリックして、大切な誰かに会いに行こう。

















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君の名は…

2007-12-28 | 『ジュリー』

川沿いの道は犬の散歩をする人が多い。

可愛らしいおばあちゃんがあまり動かない小型犬を連れて知人と立ち話をする姿が見える。

近づいてみると、リードの先には犬ではなく、猫。

それも、大きなチンチラ猫だった。

この辺り(外)ではあまり見ない血統書付きの立派な奴だ。名前は『ジュリー』。

飼い主のおばあちゃんが話し込んでいる間、遊ばせてもらっていると……

まるで手加減無しの問答無用。猫パンチに猫キック…強烈で、こっちが泣きそうになっても、

何故かおばあちゃんに気付かれる前に止める強者だった。



団地の一階のベランダにネットを付けて逃げない様に飼っているが、

猫がそのネットをハンモック代わりに寝ている姿を見て、ベランダのすぐ横の道を通る人が笑う。

私もその一人で、良くネットにモップがひっかっかた様な姿で、

猫が丸まっているのを目撃した事がある。



ハンモックのモップを4~5日見掛けなかった。

偶然、買い物に出てきたおばあちゃんに会ったので、

猫の事を聞くと『ジュリー』は肝臓が悪く入院中と言う。

鬼の霍乱か。

たとえ、猫パンチと猫キックをしこたまお見舞いされてもやはり心配だ。


ずっと気になっていたら、久々にリード付きのお散歩の姿が見えた。

また猫と遊ばせてもらっていると、通りすがりの人が猫の名前をおばあちゃんに聞いた。


「リョウスケよ。」とおばあちゃんは平然と答えた。


名前なんて何でも良いから、長生きしてね、おばあちゃんも。猫も。



 ←おばあちゃんとジュリーちゃん、いつも元気でポチっとな。


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