夜間道路工事が続き、騒音で眠れない日々が続くと
昼と夜が逆転してしまう。
こうなると一日寝ないで過ごして
早朝に散歩をしたくなる。
家から近所の『小豆』のいるケモノ道へ行ってみる。
猫が居るかと思いきや、全員パトロール中なのか
一匹も居ない事もある。
その日の朝もそうだった。
諦めてまた別の道へ…。
今度は『直人』達の居る公園を抜ける。
誰も居ない。
前日は大雨だった事もあり、近所の人が置いて行った
猫缶がひっくり返って落ちていた。
いつものカリカリも水を含んで山が三つ悲しげに残っている。
この雨続きでは、猫達もろくにご飯にありつけてはいないみたいだ。
不憫に思い、猫に会ったら
手持ちの撮影料(ほんの少しだが)を分けてやろうと思っていた。
歩けども、猫には会えず。
もう帰ろうかと思って向きを変えたその時、
物陰に猫の背中があった。
『影虎』だ。
嬉しくて駆け寄ると、『影虎』も起き上がってやって来た。
お腹が空いているのだろう。
相変わらず、ドンブリ飯を食べる武士の様な姿で食べる。
ふと気がつくと首の辺りが血だらけだ。
喧嘩が絶えないのか傷が多い。
古いものから新しいものまで。
猫も必死に生きている。
もう手持ちのご飯も無くなったので
立ち上がって帰ろうとしたら
『影虎』の目から大きな涙が流れ落ちた。
血の混じった赤褐色の涙。
私はもう少し、この侍の傍に居る事にした。
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