私は花が好きだ。
父も母も違う流派の華道を嗜み、
幼い頃、正月になると当たり前の様に(何故か父に)いけばなの基本を習った。
実家の玄関には365日、花がいけてある。勿論、父がいけるのだ。
記念日に花を贈る殿方よ、甘いぞ。365日花を欠かさずいける男も居る。
でもそれは家庭円満の秘訣であり、本人の安定剤の様なものかもしれない。
毎週水曜、草月流のいけばなを習っていた。
今日はどんな花材が届くのかと、毎週楽しみでもあった。
ほんの15分程の無心に花をいける時間、
決して正しい答えの出ない問い掛けであり、
全てが正しく見える、ひたすらに花の美しさを引き出す作業。
デッサンと良く似ている。
真っ白な紙で100点。花そのままで100点。
手を加える事で、本物よりも空間や美しさを表現出来て、尚100点未満だ。
花を抱えた帰り道、
シャッターの下りた薬屋の横を通ると
『リー』ちゃんが声を掛けて来た。
「そんなお花持って、どうしたの?」とでも言いたげな顔でこっちを見てる。
鞄と花を地面に下ろし、跪いて『リー』ちゃんに挨拶をした。
『リー』ちゃんは好奇心一杯で、花を覗き込んでいた。
ふと、思う。 猫が居て100点。
私というフィルターを透して、
出会えた事実と空気感を表現出来て、尚100点未満。
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