年末のこんな押し迫った時期に何でまたこんな暗い本読んでんだ?って
言われても…読む手が止まらない、ケッチャム作品です。
「老人と犬」 ジャック・ケッチャム著
「地下室の箱」を読んだ時に、
「ああ、この著者は動物(とりわけ猫を)好きなんだろうな」と感じさせるシーンが
ちらほら出てきていたのと、著書のあとがきに猫を飼っていると書いてあったので
なるほどなーと感心させられたのですが、この作品ではタイトルの通り、犬が大いに活躍します。
活躍と言ってもそこはケッチャム作品なので出ばなで殺されるんですが。
飼い主のじいさんの犬愛とその愛犬を殺した鼻持ちならない若者とその成金家族に物語の主軸になっています。
この成金親子、腐ってます。笑。
しかし、ラドロウ老人の家族の話を思えば、親の愛があっても変な息子は罪を働くし
金持ちの腐った親子は出て来るしで、現実って奴はどこまでも淡々と事件をおこすもの。
いつも暗い後味を残す作品が多いけれど、この作品は希望が残っていて少し救われました。
最悪の結末ばかりではなく、こんな風に少しは救いもあるのも書くのね。
でも、救いのあるラストは以外にも本当に少ないのが現実かも知れません。
事実と同じように。
「オフシーズン」 ジャック・ケッチャム著
読む順番間違えたかなって感じた本でした。
でも、この本から先に読んでたらケッチャムの他の作品には手を出さなかったかも。
お話は、オフシーズンに訪れたカップル達が外れの崖穴に隠れ住む人食を好む野人に
襲われるというカニバリズムホラー。
このお話、散々、残虐なシーンが出てきますが、悪役が一人も出てこないのです。
だって野人達は生きる為に人を食うんですから。
ただね、人食いの野人が臭いってのはどうかと思う訳です。人殺すのに臭いがキツイと
殺す直前に近づいたらすぐバレるじゃないですか。
大体、野性の肉食動物って体臭無いヤツが多いし。笑。
「黒い夏」 ジャック・ケッチャム著
事実を元に描く事の多い作家さんなので、多分、シャロン・テート殺害事件をモチーフにしてる
のかもしれないけれど、お話の中にシャロン・テート事件の報道がなされていたりして
オマージュ的に描いているのかも知れません。
お話は、4年前におきた女子大生惨殺事件、その生き残りの少女が息を引き取る。
事件に関わった刑事がその後の捜査も空しく当時容疑者に浮上していた不良少年レイに圧力をかける。
ドラッグとセックスに溺れる腐った若者レイの追詰められた人間の心理と
極限状態を見事にえぐったサイコスリラー。
ただね。この本、本当に校閲したの?ってくらいミスが多いのでその場で登場してない筈の人物が
スルッと現れたみたいな名前スリップ事故が起きてます。何か所出て来るかは本を読んで確認してね。
人気なくて重版されてないから訂正されずにこのままなのかは不明ですが。
別の楽しみ方もあるので。一応。
総じて思うのは、タイトルからは全く怖さが伝わらないので手に取る時にそうストレスを感じない事。
でもこれって大事だと思うんです。
以前、「臓器農場」帚木蓬生著を読んだ時にあータイトルでネタバレしてんなーって思ったので。
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