さっちゃん 空を飛ぶ

認知症で要介護5の妻との楽しい日常を 日記に書き留めたいと思います

さっちゃんの言語リハビリの今後について、T田先生から問われました

2020-07-29 23:56:43 | 言語リハビリ
今日は水曜日、言語リハビリの日です。
先週はさっちゃんの便秘との格闘の渦に巻き込まれてお休みとなってしまいました。
でも今日は、何事もなく無事に出かけることが出来ました。

病院に到着し、待合室で待っていると、次第次第にさっちゃんの気分が沈み気味になっていくように感じます。
T田先生のリハビリが始まっても、最近はリハビリらしきことはまったくと言っていいほど出来ていません。
先生がさっちゃんに「朝ご飯は食べましたか?」と聞いても、さっちゃんはその質問には反応しません。
他に何を問うても、さっちゃんは答えません。
結局、いつも僕が先生の質問に代わって答えているのです。
「パンは食べて、おかずは半分食べました」と。

と言っても、さっちゃんは静かにしているわけではありません。
むしろその逆で、ずう~っと喋り続けています。
先生が「最初に思い切り大きな声を出してみませんか」と、「お~は~よ~う」と言っても、さっちゃんは先生とは無関係に喋り続けています。

今日のさっちゃんは反抗的ではありませんが、自分の殻の中に閉じこもり続けているかのようです。
先生に向かって喋り続けています。
途中、帰りたいわけでもなさそうでしたが、椅子から立ち上がり、その場を離れようとしました。
無理に椅子に戻らせたりはせずに、先生とさっちゃんと僕とでいつもの屋上へ散歩に行きます。
それまでもそうですが、散歩ではなおさら先生と僕とがいろいろと話しを交わします。
自治体によって違いはあるのでしょうけれど、一緒に散歩をしてくれるようなサービスもあるのだそうですね。

部屋に戻って来ると、第九の合唱を聴いてもらおうということになりました。
前回は静かに聴いてくれましたから。
でも、今日は駄目でした。
前々回と同様に、合唱が流れている最中も、さっちゃんはずうっと喋り続けました。

先生が僕にこんなことを問いました。
「最近リハビリらしいことが全然できていませんが、今後のことをどのように思われますか?」
この問いは僕の中にも以前から常に在った問いです。
当然、T田先生の中にもあるはずの問いでしょう。

僕は答えました。
「去年の11月くらいからも全く出来なくなったことがありました。
でも、その後再び、出来るようになりました。
今回も同じようなことがないかと期待はしています」
「リハビリらしいことが出来なくても、先生がさっちゃんの現状を知ってくださっていること自体に意味があると思っています」
「病院という場所に週に1回来ることがさっちゃんにとっての貴重な社会体験になっていると思っています」

T田先生はどのように考えておられたのでしょう?
もし僕が「リハビリらしいことも全然できていないので無駄だと思います。やめたいです」と答えたら、どうされたのでしょう?
おそらく、患者さんやその家族の意向に沿うことを選ぶのでしょうね。
「それでも続けた方がいいですよ」という説得力ある説明は出来ないのではないでしょうか。

こんな先生と僕との話し合いもさっちゃんの喋りの中で断片的に進められた会話です。
さっちゃんの意味不明な喋りにも先生は対応してあげなければなりませんから。
でも、さすがにさっちゃんも疲れて来たのでしょうか?
少しずつ、不穏な感じも漂い始めました。
そして、「帰る」との言葉が飛び出します。

ほぼ1時間たっていましたから、先生も「じゃあ、もう終わりにしましょうね」と言ってくださいます。
さっちゃんは部屋から出てしまいしたから、先生も慌てて来週の予約を取りに出て行かれました。
さっちゃんは完全に不穏です。
僕と手を繋いでくれません。
予約を取って、「さっちゃん帰ろうね」と言っても、今度は動こうとしません。
しばらくすると、立ってはくれましたが、手は繋いでくれません。
僕が階下の会計の方へ歩いて行くと、僕に付いては来てくれます。

会計窓口に今日の分を提出し、後は自分の番号が表示されて、機械で会計処理等をするだけ。
ところが、さっちゃんは僕を見ることなく、自分だけで出口の方へ歩いて行ってしまいます。
さっちゃんの今の心理状態では連れ戻して、あと20分ほどもここで待つのは不可能でしょう。
僕はさっちゃんの後に付いて行くことにしました。
病院の敷地を出て、駅とは反対側に歩かせたかったのですが、さっちゃんは駅への正しい方向へ歩み始めます。
反対側へ行けば、ぐるっと回って再び病院へ入ることが出来るかな、と考えたのですが・・・・
僕はこのまま駅へ行き、帰宅することにしました。
駅のホームから病院の会計に電話して、来週にまとめて会計させてもらえることになりました。

最寄り駅に着き、いつものお総菜屋さんでお弁当ひとつと、夕食のためにヒジキの煮物100g、とんかつ1枚を買いました。
(とんかつは玉子とじにして、僕は丼にして食べました)
が降っていましたから、二人ともをさして別々に歩きます。

さっちゃんはこの別々に歩くのが不満だったのかもしれません。
家までの半分くらいを歩いた辺りから、何やらブツブツと僕に文句を言うようになりました。
僕はさっちゃんと手を繋いで歩いてみたのですが、そうするとさっちゃんの傘から僕の肩へ雨がポタポタと落ちて来ます。
さっちゃんの傘を閉じて、僕の傘だけで二人一緒に歩くことにしました。
でも、さっちゃんは何が不満なのか、それは嫌みたいです。
僕を押し退けて、離れます。
さっちゃんに広げた傘を手渡すと、怒って放り捨てるんです。
再度渡しても、同じこと。

しばらくして、さっちゃんに傘を持つように手渡しても、持ってはくれません。
僕も腹を立てて、「じゃあ、濡れて行けばいい」とほったらかしにして、速足で歩き始めました。
パタパタと急いで付いて来るさっちゃんの靴音が聞こえます。
家が近づいて来て、僕は僕の傘にさっちゃんを入れようとしましたが、やっぱり逃げて行きます。

そんな険悪な感じは部屋へ戻っても続いていました。
お昼ご飯を用意し終わって、テレビでも見ながら食事しようと思って眼鏡を探しました。
ありません。
家に帰ってからの眼鏡の扱いを思い出しながら、探すんですが、ありません。
半分あきらめて、椅子に座り、食べ始めようとしたら、ありました。
ゴミ屑籠の中に捨てられていました。
さっちゃんが捨てたんですね。

お昼を食べ終わり、朝忙しくて1種類の目薬しか差せなかったので、残りの1種類を探すと、やっぱりありません。
さきほどの眼鏡のことがありますから、僕はゴミ屑籠を再度探してみました。
ちょっとゴミに隠れて蓋が橙色の目薬がありました。

こんな風に、夕方まではさっちゃんと僕はお互いにツンツンし合っていました。
でも、夕食の頃からは普段のさっちゃんに戻っていましたね。
さっちゃんも疲れたんだと思います。
夕食後、床に就いて、さっちゃんはそのままぐっすり眠ってしまいました。
コメント
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