店主敬白(悪魔の囁き)

栄進大飯店の店主さがみやがおくる日々の悪魔の囁き。競馬予想や文学・音楽・仕事のグチやちくりまでいろいろ。

昔の話だけど

2010-01-25 20:07:36 | Weblog
 知人のある人が、飲食店をやるために親に金を出してもらってビルを建てた。
 ひとまず一軒家ぐらいの敷地に、四階建てぐらいだったと思う。 
 店が開業されて、二階より上は知人の住居になったようだ。

 そんなある日、店に遊びに行ったら知人から、
「泊まっていきなよ」
 といわれて、の彼らの家に泊まることになった。
 そして彼ら(夫婦なんだけどね)が、家の中を案内してくれた。
(家を見せびらかしたかったのかも)
 一階の店舗は、さっきまでおいらが飲み食いしていた場所だから、別にいい。
 二階、三階・・・まあ他人のウチの中身をけなすのはやめておこう。
 驚いたのは、四階と言われる屋上に上がったときだった。
 屋上には何故か、もうひとつ家が・・・。
 それは八畳ぐらいの広さである。
 これは、単なる物置小屋じゃない!窓がいっぱいある。壁もやたらキレイだ。
 しかも屋根がついてる。
 そして・・・ガスメーターまで。
 建築に無知なおいらにさえ明らかにそれは「人の住む家」として建てられているとしか思えなかった。
 「これって、ペントハウス?(の、つもり?)」
 おいらのそんなつぶやきに(それにしては会話レベルのでかい声だったかも)、知人夫婦は何も答えずにいた。
 ふたりは酔ってつかず離れずのように、屋上の空間を漂っているカンジである。
 もちろんそれはおいらも、同じように酔っていた。
 漂うように、そのヘンな屋上の建物をしばらく観ていた。
 少し屋上の涼しい風にあたっているうちに知人夫婦の男のほうがつぶやくようにこう言った。
「ま、違法建築だけどね」

 
 知人夫婦は、その後離婚した。
 奥方の言いぷんのひとつに、
「あんな違法建築は許せない」
 というのがあった。
 それは言い換えればこういうことである。
「あんなものを建てるんだったら、私に金をくれ」
 今は、その建物の一階を別の人が借りている。
 知人夫婦の旦那のほうは、あまり外に出てこないようだ。
 

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