店主敬白(悪魔の囁き)

栄進大飯店の店主さがみやがおくる日々の悪魔の囁き。競馬予想や文学・音楽・仕事のグチやちくりまでいろいろ。

世界大戦争

2011-04-08 11:10:03 | Weblog
 「戦争映画」っていうジャンルがあるんなら、「平和映画」っていうジャンルもアリなんじゃないのか?(でも、そんなもんないよね)
 あからさまに平和を謳うのは、そんなにもキザ、というかカッコ悪いことなのだろうか?
 それは当たり前になってしまったことだから?
 いや、平和は当たり前なんかじゃない。
 人間は地球のどこかで・・・えんえん戦争をしている。
 それが自分から遠かろうが近かろうが、人類の歴史にぴったり張りつくかのようにえんえんやっているのだから。
 
 この映画の「平和」の視点は様々だ。
 戦争に懲りた市井の人々、ジャーナリスト、聖書を読む人々、かつての戦争の被害者、そして平和憲法の下にある政治家。
 それぞれが平和を願いつつも、大国のパワーに比べたらとっても非力なので、どんどんとんでもないことになっていく。
 で、小田一家は最後の晩餐を迎え、恋人たちは無線で別れを告げあう・・・。
 ただ泣けてくる。ただ悲しい。

 でも、この映画だと戦争は事故に近い。
 「うっかりすればヤッてしまうんですよ、こんなとてつもなく危ないこと」
 その核兵器の取り扱いについての考え方はそれでいいのかもしれないけれど、イマイチ不満なのは戦争の元凶になる相互の憎しみの醜さがイマイチないからだ。
 平和、キレイな風景の映像。
 なんか風景・風俗(平和を謳歌する光景)の映像が多いせいか、なんか「悲しくも美しい物語」で絵空事っぽくキレイに仕上がっちゃってる気がする。
 キレイなものと、主義主張の対立とか軍拡競争とか、醜いものがもっとハッキリ対立していたほうがより平和の尊さが、平和を失う悲しみが際立つような気がするけれど、醜いものを前面に出しちゃうと対外的に差し障りがあったんだろうな・・・当時の日本はまだ「戦争に負けた弱小国」だったし。
  
 この映画やっぱ笠智衆はステキ。
 船上コーヒーシーンもいいし、保育園の子供たちをかわいがるシーンも、この人の魅力爆発である。小田の父ちゃんのたくましさ、父としての魅力もいいけれど、笠さんが陰の主役と言い切っちゃってもいいかもというぐらいセリフもいいし印象に残った。
 それと宝田明。
 この人は婚約中で、相手の親(もしくは関係者)になんとか認めてもらおうとしている男をやるとなんかイイのだ。
 初代ゴジラもそうだったけど、この人「日本一の婚約者男」かもしんない。
 若き日のこの人の初々しさ、純粋さが光り輝いているのだ。
 


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