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「発達障害に気づかない大人たち」
星野仁彦著
日本における発達障害治療の第一人者による、発達障害の一般向け解説書です。
主にADHD(注意欠陥・他動性障害)を中心に、主な症状、合併症、治療法や周りの人間へのアドバイスなどを分かりやすく概説しています。
全体に通貫しているのは、「障害を前向きに捕らえ、適切な対処で、みんなで幸せになろう」という精神だと感じました。
特に第6章「磨かれていない原石」で述べられている「才能を生かすための三つのポイント」は、発達障害に関わる人間は必ず踏まえておくべきことではないかと思います。
①発達障害者の特性と適職を知る
②専門教育でサポートする
③就労支援とキャリア・ガイダンスに努める
ベートーベンもアインシュタインも、ピカソもモーツァルトもエジソンも、織田信長も坂本龍馬も平賀源内も、みんなみんな発達障害者だった。障害があるからと諦めてしまわずに、適切なサポートを得て、社会に適応できる方向に向かうことが何より大切なこと。
大体「発達」の「障害」などと呼ぶのがおかしい。脳の発育や発達のバランスが、普通の人とは異なっているだけだ。「彼らは、普通の人ならできることができない半面、特定の限られた領域では普通の人にはとても真似のできないような非常に優れた才能を発揮することもあるのです」(第1章「大人の発達障害って何だ?」)
「ADHDやAS(アスペルガー症候群)を『発達アンバランス症候群』と呼ぶべきである」(同上)
この本は、単なる障害の説明にとどまらず、発達障害者自身が現実に生きていくための、ガイドブックとしての性格も併せ持っています。
「発達障害のある人は、磨かれていない原石です。」(第6章冒頭の文)
私は発達の障害と思っていません。
障害物競走ってあるじゃないですか?
あれと同じ。
生活していく上で、周りが障害物だらけなので、住みにくくなっているのです。
健常者と言いますが、どんな人
が健常者ですか?と聞きたいくらい。
もっと世の中を住みやすくするべきです。
「障害物競走」って素晴らしい例えですね。全くその通りだと思います。
僕も妻と生活していて、どこまでが健常者で、どこからが障がい者がとか、全く分かりません。そもそも「普通」って何でしょう?
この本には、親の要望で学校が適切なサポートをした結果、大学を卒業して就職した事例なども出てきます。周りの配慮一つで、事態は大きく変わるのです。
今の日本は、人間を無理矢理何かの型に嵌め込んで、そこに合わない人間は、いとも簡単に排除してしまう。そんな社会の方を変えるべきだと、僕も思います。
普通の枠を作りすきているのです。
だからそれにはいらなければ排除!
そういう考えがあるから社会は良くならないのです。
家の息子は、自閉症スペクトラムといいます。
中学まで特別支援学級にいましたが
みな生徒は、うちの子をいじめ、無視などを受けてきました。
しかし、今の高校は、クラス8人!
とても楽しくやっています。
8人も色んな悩みを抱え苦労してきた人たちばかり。
私は、光る原石と思っています。
学校って「みんな同じ」が大好きなんですよね。それが「普通」から外れた子どもの排除を推し進め、いじめを正当化する大きな原因になっているとも考えずに。
息子さんは、今は楽しく過ごされてると聞くと、ホッとします。僕も学生時代には、あまりいい思い出はありません。息子さんが少しでも楽しい学校生活が送れるように祈っています。そして、この国が、今より少しでも、人の多様性を認める社会になるように。