Bobの絶叫もむなしくボールは右の林の奥深くへと消えてしまいました。クラブを叩きつけんばかりの勢いで顔を真っ赤にしたBobの心中は察するに余りあります。
私: That's enough for practice, let's have a mulligan, Bob.
出だし一発目のショットの良し悪しがその日のゴルフを左右してしまうのはよくあることです。折角楽しみに来たゴルフ、出だしでつまずいては面白くありません。最初のtee shotに限り2回打って、どちらか良い方を選択してプレイするのをmulliganと呼びます。カナダ人ゴルファーDavid Mulliganが1920年代に始めて、いまやお遊びゴルフでの救済策として広く定着しています。Having fun(スコアは二の次にしてまずゴルフを楽しむこと、ゴルフで遊ぶこと。カナダ人はゴルフをするときにこう表現します。)を狙いとするお遊びコンペなどでは、front nine で一回、back nine で一回マリガンを許したり、パットを含めて何処で使ってもいいマリガンなんてのも流行っています。
Bob: Yeah! I have to. I can't take that. Here we go!
バッシ~ン!!一度練習済ませてますから今度は見事なsupershotです。
私: Way to hit, Bob. That's much better. Practice makes perfect, eh?
第一打はout of bounds(OB)でしたが、マリガンでは第二打のボールでプレイするのでノーカウント。ペナルティーも無しでBobの顔色も平常に戻ってハッピー。やれやれです。
あまり飛距離の出なかった私が第二打を最初に打ちます。長いミドルホールでまだ200ヤード以上残っています。風はアゲンストですがラッキーにもボールはディボットの上。迷わずスプーンを取り出して振り切った私のボールは幸運にもグリーン手前のバンカーのマウンドにキックして見事にパーオンです。
上の文章で太いカタカナで書いた部分に注目して下さい。ゴルファーにとっては既に「日本語化」した英語的表現ですね。ただ実際のゴルフ現場では微妙に違った使われかたをしています。あるいは日本で間違って理解されている部分もあるようです。個別にチェックしましょう。
日本では距離に応じてショート、ミドル、ロングの三種類のホールに区分します。長いショートホール(long short hole)、短いロングホール(short long hole)なんて言い方もしますが、英語で表現したら???何のことやら見当がつきません。英語では par 3 hole, par 4 hole, par 5 hole とparの数をつけ足します。そうすればlong par 3 hole とか short par 5 hole など論理の矛盾はなくなります。パーやバーディーであがれそうな短めのホールを日本では「サービスホール」と呼んでいますがこれは和製英語で、service hole と言っても欧米では通じないはずです。これまた説明調になりますが par(birdie) makable easy par 4 hole とでも言うのでしょう。
向かい風、逆風は head windですがゴルフでは (hit) into the wind といいます。
追い風、順風はdown windですが、ゴルフでは(hit) with the windと使われることが多いようです。
曲者はディボット(Divot)です。私も誤解していました。上にも書いたようにDivotに球が止まればラッキーではあっても嘆くべきことではないのです。そのカラクリは話が長くなるので次回に回しましょう。