紙屋温泉の熱さがなかなか収まりません。楠銀天街を再びぶらついて体のほてりを冷ましながら向かった先が、これまた熱さで評判の寿温泉。
玄関を入ろうとすると番台の前でオジサン二人がなにやら世間話の真っ最中。明らかな「よそ者」に話の腰を折られて気を悪くしたかな?と若干怯んだ私の気持ちを察したように「温泉道やな?熱かったら水道の水でうめてよ」と心優しいお言葉をかけてくれながら番台脇のスタンプを手慣れた風情でスパポートに押してくれました。
先客は一人だけ。この方も地元ではなくて、あまりぬるくしては申し訳ないと遠慮がちにうめたようで、まだかなり熱め。まあ、熱いのが名物らしいからビジター同士、少し我慢しましょうやと、ある種の連帯意識が芽生えてくるのも、同じ道を極めようとする修行者なればこそ。
4〜5人入れば一杯になりそうな小ぶりの湯船と、時代を感じさせるタイル張りの床。床へのベタ座りはちょっと躊躇したくなるのはいちげんのよそ者。ココらへんでふつーにしゃがみこんで全身を石鹸だらけにして洗うテクと度胸が身について初めて温泉名人と呼ばれるにふさわしい修行者になるのでしょう。
熱い温泉のハシゴはさすがに体力を消耗するのか、ややお疲れ気味。あまり長湯せずにそそくさと出てきたので、先ほどのオッチャン二人はまだまだ話に花が咲いて盛り上がっています。
「あれ?もう帰るん?」
「どうも。紙屋温泉とハシゴでバテ気味で」
「またおいでよ」
「どうも」
気難しそうな顔を2つ寄せあって、なにやら深刻そうな話っぷりのオッチャン二人。共同温泉の入口にふさわしくない、人を寄せ付けない空気に包まれていた二人でしたが、話してみれば、気持ちの優しい普通のオジサンでした。
風呂も人も奥は深いぞ〜、別府!