北へふたり旅(44)
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貝原益軒が正徳4年(1714年)、野菜についてまとめた記述がある。
そのなかで胡瓜を
「これ瓜類の下品なり。味良からず、かつ小毒あり」と書いている。
おなじように農学者の宮崎安貞も、
「下等の瓜で、賞味して食べるものではないが、多くの瓜に先だって早く出回るので、
田舎で多くつくられている。都ではつくることは希である」
と酷評している。
当時。中国の食べ方をまね、黄色くなるまで完熟させた。
歯ごたえも悪く、「黄瓜(きうり)」と呼ばれたことが名前の由来になった。
「毒」が何を指すのか気になる。
高い水分量を誇る胡瓜は利尿作用と、身体を冷やす作用がある。
胃腸の弱い人が食べると下痢を起こしたことから、毒があると考えられた。
「汚名」はそれだけにとどまらない。
ギネスブックにも載った。
講談社の1987年版「ギネスブック 世界記録事典」。
生で食べる果実38種を分析したところ、抜群のカロリー価はアボカド。
熱量は100g当たり163カロリー。最低はキュウリで、同16カロリー。
しかしキュウリは野菜の仲間。
果実と比べることに無理があると思う。
しかもキュウリは100%水で出来ている。
カロリーなど有ろうはずがない。
「群馬のキュウリはすごい。
長年トップ5を維持してきたが、平成29年、ついに全国一位へ躍り出た。
栽培用ハウスの整備や、二酸化炭素をコントロールする
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貝原益軒が正徳4年(1714年)、野菜についてまとめた記述がある。
そのなかで胡瓜を
「これ瓜類の下品なり。味良からず、かつ小毒あり」と書いている。
おなじように農学者の宮崎安貞も、
「下等の瓜で、賞味して食べるものではないが、多くの瓜に先だって早く出回るので、
田舎で多くつくられている。都ではつくることは希である」
と酷評している。
当時。中国の食べ方をまね、黄色くなるまで完熟させた。
歯ごたえも悪く、「黄瓜(きうり)」と呼ばれたことが名前の由来になった。
「毒」が何を指すのか気になる。
高い水分量を誇る胡瓜は利尿作用と、身体を冷やす作用がある。
胃腸の弱い人が食べると下痢を起こしたことから、毒があると考えられた。
「汚名」はそれだけにとどまらない。
ギネスブックにも載った。
講談社の1987年版「ギネスブック 世界記録事典」。
生で食べる果実38種を分析したところ、抜群のカロリー価はアボカド。
熱量は100g当たり163カロリー。最低はキュウリで、同16カロリー。
しかしキュウリは野菜の仲間。
果実と比べることに無理があると思う。
しかもキュウリは100%水で出来ている。
カロリーなど有ろうはずがない。
「群馬のキュウリはすごい。
長年トップ5を維持してきたが、平成29年、ついに全国一位へ躍り出た。
栽培用ハウスの整備や、二酸化炭素をコントロールする
環境制御装置のおかげだ。
俺も長年がんばってきた甲斐がある。
しかし・・・もう疲れはてた」
Sさんが疲れたと、もういちどつぶやく。
俺も長年がんばってきた甲斐がある。
しかし・・・もう疲れはてた」
Sさんが疲れたと、もういちどつぶやく。
男の辛口をいっきに胃袋へながしこむ。
「働きつづけて最終的に6反の小農から、2町をこえる認定農業者になった」
「認定農業者?」
「おかみが認めた農業経営者のことだ。
認定されると、金融や税制の支援を優先的に受けることができる」
「いいことずくめです。疲れている場合じゃないでしょ?」
「いや。走り過ぎた。
百姓に休みは無いと言い聞かせながら、俺はここまで走りぬいてきた。
農協の理事もやったし、農業委員も引き受けた。
知ってるか?。
農家がでかい家を新築するのは、自分の成功を誇示するためだ」
「成功した証です。
いいんじゃないですか。そのくらいの誇示は」
「子育ての最中なら、50坪の家も狭くねぇ。
だがよ。3人の子育てがおわったあと、住んでいるのはおれと女房の2人だけ。
風呂とお勝手と居間と、寝るためのスペースがあればじゅうぶんだ。
でかすぎる家は、いまや無用の長物だ」
「それだけじゃないでしょ。Sさんが疲れている原因は」
「よせばいいのにいきおいに乗り、ベトナム研修生を受け入れちまった。
いくら募集しても、日本人の働き手はやって来ねぇ。
そのてん経費はかかるが、海外からの働き手はいくらでもやって来る」
「終活を考えはじめた・・・という意味ですか?」
「後継ぎがいないんだ。
俺もいつまで元気でいるかわからねぇ。
店終いの時期と、その方法を考える歳になってきた。
それを思うと、あたまが痛いのさ。おれも」
「むずかしいです。終活は。
わたしも居酒屋を20年やりましたが、花道があるうちの引退を考えました」
「華のあるうちの引退か・・・百姓は無理だな。
このまま生涯現役のままがんばりつづけるか・・・
雀の涙の、国民年金じゃ食えねぇしな」
「そういうことです。
乾杯しましょ。これから先の人生に」
「そうだな。
「働きつづけて最終的に6反の小農から、2町をこえる認定農業者になった」
「認定農業者?」
「おかみが認めた農業経営者のことだ。
認定されると、金融や税制の支援を優先的に受けることができる」
「いいことずくめです。疲れている場合じゃないでしょ?」
「いや。走り過ぎた。
百姓に休みは無いと言い聞かせながら、俺はここまで走りぬいてきた。
農協の理事もやったし、農業委員も引き受けた。
知ってるか?。
農家がでかい家を新築するのは、自分の成功を誇示するためだ」
「成功した証です。
いいんじゃないですか。そのくらいの誇示は」
「子育ての最中なら、50坪の家も狭くねぇ。
だがよ。3人の子育てがおわったあと、住んでいるのはおれと女房の2人だけ。
風呂とお勝手と居間と、寝るためのスペースがあればじゅうぶんだ。
でかすぎる家は、いまや無用の長物だ」
「それだけじゃないでしょ。Sさんが疲れている原因は」
「よせばいいのにいきおいに乗り、ベトナム研修生を受け入れちまった。
いくら募集しても、日本人の働き手はやって来ねぇ。
そのてん経費はかかるが、海外からの働き手はいくらでもやって来る」
「終活を考えはじめた・・・という意味ですか?」
「後継ぎがいないんだ。
俺もいつまで元気でいるかわからねぇ。
店終いの時期と、その方法を考える歳になってきた。
それを思うと、あたまが痛いのさ。おれも」
「むずかしいです。終活は。
わたしも居酒屋を20年やりましたが、花道があるうちの引退を考えました」
「華のあるうちの引退か・・・百姓は無理だな。
このまま生涯現役のままがんばりつづけるか・・・
雀の涙の、国民年金じゃ食えねぇしな」
「そういうことです。
乾杯しましょ。これから先の人生に」
「そうだな。
医学に生かされて、人生100年の時代だからな。いまは・・・」
(45)へつづく
(45)へつづく