常識レベルの認識になっていないと困るのですが、認識していない人もいるので。
日本のものづくりの能力は、とことん下がっています。
中国の品質の悪さを問えないレベルになっていると考えます。
原因は主に、生産工場を海外に移転してしまったため。
設計開発は、現場の工程能力を理解して、より生産しやすい図面に書き換えていく必要があります。
現場の改善を把握して、設計図面に反映していきます。
安くて品質の高いものを作るには必須です。
ところが、生産現場が日本国外になり、言語が変わると、現場の改善を図面に反映できなくなります。
当然、安くて品質の高いものは作れなくなる。
したがって、ものづくりの能力は下がっていきます。
資源のない日本は、その安くて高い品質を、現場と開発で共同で解決してきたのです。
それが失われたら何が残るのか?
ものづくりの能力を失う、相当な危機です。
AIやDXで巻き返す?
AIはアメリカから輸入。
デジタル化の前に、通常の事務能力がまともにできないレベルになっている。
間違いが多く、片付いていない資料情報をデータにしても、間違いは直らないし、データも片付かない。
データから意味を読み取る能力も培われない。
それでも中国より優っている?
中国は能力の分散が日本より広いのですよ。
非常にモラルも能力も低い人もいれば、非常に高い人もいる。
間違いも大量に発生するけれど、新しい成功も多く生まれてくる。
日本がものづくり能力を衰退させている間に、その経験と学習を積み重ねてあっという間に追い越してしまう。
今すでに、自分達が使っているコンピュータやスマホ機器で、「中国製でない、純日本製部品」を探すほうが困難です。
それは日本が誇るクルマ産業でも顕著です。
それでは、生産工場を日本に戻せばいいじゃない?
物事はそんなに簡単ではなくなってしまっています。
海外に工場を作り運用してしまうと、日本に戻すメリットはあまりにも少ないことに気づいてしまいます。
工場建設費用が高い上に、経験能力を持った作業員が集まらない。
ゆとり教育により、追い込んだ勉強をしておらず、間違いを訂正されるという経験さえしていないため、注意されると何もやらなくなるし、辞めてしまう。
AIについて補足するならば。
AIは大前提として、数学モデルをもとにしたコンピュータシミュレーションです。
根本的には数学を理解する必要があります。
ところが、AIが流行り始めて、基本的な数学や理論やプログラミングが全くわからない人間が、コンサルタントを行い始めてしまった。
AIによる夢のようなDX(デジタル・トランスフォーメーション)を語ることはできても、実際に応用できない。
根底を理解していないから。
したがって、内実を伴わないAIビジネスが大量に発生しているのが現状です。
さらには、派遣や請負の問題もあります。
製品開発をやっているのに、技術の中心部のコア技術を本来わかっていなくてはならないのに、発注する正社員がその内容をわかっていない。
派遣や請負は熱意を持って勉強して物事を解決に導くけれど、正社員がその努力を知らない。そして一定期間で辞めてしまう。
本来その技術のノウハウを自社内に蓄積していかなければならないのに、それができなくなっている。
資源がないのだから、付加価値をつける技術で生き残っていく必要があるのに、それが劣化している。
上位開発を支える経済基盤が成り立たない。
経済的な日本沈没の危機感を本質的に持っている人が少ないなぁと思っています。
ぼんやりとイメージしている人はいるかも知れませんが、自国全体と自分たちが劣化しているなどとは、自覚したくないのも人だと思います。