10年くらい前、カルガモの雛を飼ったことがある。
小学生だった息子が、釣りに行って拾って来たのだった。
小学生の手の平に、すっぽりと入っていたくらいだから、かなり小さかった。
連れて帰った時点で、もはや反対しても、『時すでに遅し』
野鳥はめったに育たない。。。ことを何度かの悲しい経験で会得していたにも
かかわらず、またしても。。。。。であった。バカ息子である。
ただ、子供の『責任感』を育てる・・・などというあやふやなものに任せておいては、
責任感が育つ前に、雛が育たない・・・と判断して協力するハメに。
バカ親である。
ダメモトで始めた飼育だったが、意に反してその雛は最初から餌を良く食べ、
その神経の太さは、それまでの野鳥の雛の群を抜いていた。
『げんさん』と名づけられた、その食欲旺盛なカルガモの雛は、
奇跡的に、育っていった・・・。
そして奇跡的に、人間になつかなかった・・・。
餌を与えるとガツガツと食べるのに、全くなつかないのだ。
やがて鳴き声が、『ピーピー』から、『ガァーガァー』の手前くらいまでになり、
飼育場所である、2階の息子の部屋から動物園のような異臭が漂い始めた頃、
元いた場所に、返すことに決定。私も息子も音を上げた。
息子と二人で、元いた場所に連れて行き、
『げんさん、バイバイ』と言ったときはさすがにセンチメンタルな気分だった。
これでお別れだね・・・。
次の瞬間・・・・・・バタバタバタ・・・・・
と水面を逃げるように去って行くげんさんの後姿。
うっそー・・・・・。 二人とも目が点になった。
なんの迷いもない!! 『待ってました~・・あばよ』 。。。に見えた。
カルガモは恩知らずな鳥だ。
鶴とは大違いだ。
今でも、子供たちと昔話をすると、必ずげんさんの話題になり、
その恩知らずな行動で、大爆笑するのだった。
野生のカルガモを育てた、私達親子の壮大なドラマのはずが、
とんだ笑い話になった・・・・・カルガモの話。
蓮ちゃんママ