横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

赤ちゃんメリーの回転軸にあるクラッチ修理

2016-09-10 23:44:45 | 活動の記録
赤ちゃんメリーは、赤ちゃんのベビーベッドに設置すると、やさしい曲を奏でながらモビールが回転するおもちゃです。仰向けで寝ている赤ちゃんは、モビールがゆっくりと回転していくのを目で追います。持ち込まれた症状は、モビールが回転しないとのこと。


この赤ちゃんメリーは、本体に電池を入れ、モビールを回転させるモータは、赤い玉の中に入っています。赤い玉をあけてみると、ギヤで減速するのではなく、大小のプーリーをゴムベルトで駆動する減速を採用していました。赤ちゃんに配慮して、音の静かな減速方法を採用したのでしょう。

モータも力強く回っていますし、プーリーも滑っていません。どうやら、モビールをぶら下げるフックの部分が空回りしているようです。フックの部分は、モータからの回転軸とフックが直結していないのです。接着がとれて空回りしているとは考えにくく、何がおきたのか、しばらく考えさせられました。

先ほどのプーリーとゴムベルトの減速する仕組みと同様に、赤ちゃんを考慮したクラッチがフックの中に仕込まれていて、それがすり減ってしまい、空回りしていることがわかりました。赤ちゃんが、ベビーベッドで立ち上がり、回転するモビールをつかんでしまうことは考えられます。そのとき、モビールが空回りしないと、衣服がまきついたりして事故になりかねません。赤ちゃんに配慮した、やさしいおもちゃだなぁと感心したものの、どうやって直すか、途方に暮れました。

お客様に事情を話し、この構造を接着してしまう事も考えましたが、クラッチを再生することにしました。フックの分解すると、溝(凹)のある部品と、その溝にはまる凸のある部品が接触していました。溝の方は大丈夫ですが、凸部分は全く無くなってしまっていました。そこで、秘密兵器(アクリル樹脂パウダー)で凸の母体を盛り上げて作り、ルータで削っていく作戦としました。



どうです、苦労の作業が伝わりましたでしょうか。

溝と嵌まる凸が完成すれば、モビールは空回りすることなく、ゆっくり回転します。

これで、修理完了!



動かないけど、迫力満点!

2016-09-10 23:25:22 | 活動の記録
前回、最近暇ですねぇと言っていたら、今日の菊名地区センターは大忙し。
たくさんの修理ができました(2点ほど、修理できないものもありました、残念!)。

ということで、立て続けに三件の修理記録をアップします。まず最初は、動かない自動車だけど、本物のレーシングカーのような大迫力の音がでる(はずだった)おもちゃの修理です。


天井の赤い三角のボタンを押すと、エンジン音と走行音が鳴り、LEDが点灯する自動車のおもちゃです。駆動用の動力源はありません。持ち込まれたときは、赤い三角のボタンを押すと、LEDが点灯するだけで、いっさい音が出ません。一応、電池の状態を確かめ、スピーカーの故障と想定し、中をあけてみます。



小さな基板と、スピーカだけのシンプルな構成です。テスターでスピーカの導通を確認すると断線しているので、即スピーカ交換で修理完了と思ったのですが、スピーカを付け替えて動作を確認すると、音が小さいのです。確かに、エンジン音も走行音も本物のような音を出していますが、おもちゃとしては音が小さすぎる状態でした。おかしいなと思って、元々ついていたスピーカを見ていると、なんとインピーダンスが32Ω!。



なるほど、付け替えたスピーカは、一般的な8Ωでした。低インピーダンスである8Ωのスピーカをアンプが駆動できず、音が小さくなってしまったのでしょう。おもちゃのスピーカは、4Ω、8Ω、16Ω、32Ωと色々あります。さすがに、32Ωの手持ちはなく、16Ωのスピーカで代用しました。若干、音が小さくなっている事は、お客様に説明し、了解頂けました。