生活の柄
山之口貘
歩き疲れては、
夜空と陸との隙間にもぐり込んで寝たのである
草に埋もれて寝たのである
ところ構わず寝たのである
寝たのであるが
ねむれたのでもあったのか!
このごろはねむれない
陸を敷いてもねむれない
夜空の下ではねむれない
揺り起されてはねむれない
この生活の柄が夏向きなのか!
寝たかとおもふと冷気にからかはれて
秋は、浮浪人のままではねれむれない
詩はご存じ、山之口貘さんの詩
貘さんと声を掛けたくなるような親しい感じのするお人柄。誰でも好きになるよね貘さんの詩。
詩人は、沖縄の那覇市出身
明治36年(1903)9月11日生れ~ 昭和38年(1963)7月19日没