20150707今日の一手

13日の名南将棋大会からAさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
昨日の一手の回答

☆形勢判断をします。
駒の損得は飛金銀と角桂香歩歩の交換です。金銀が多いので先手が少し得です。終盤なのでこれくらいの差は考えなくていいです。
玉の堅さは先手が上、といいたいところですが、端に手を付けられました。後手の持ち駒が多ければ即詰みもあり得ます。後手玉は54馬の守備力が強く、6筋方面に逃げ出せばまだ頑張れそうです。ですから堅さは互角。
先手の攻め駒は31銀と持ち駒飛金銀で4枚。持ち歩がないので気を付けて攻めないといけません。79竜が働くような展開が理想ですが。
後手の攻め駒は11香25桂36桂に持ち駒角桂で5枚。持ち駒桂はあまりそうですが、16歩も攻め駒に加えてもいいくらいです。持ち歩もたくさんあります。
総合すれば互角。でも先手の手番ですから勝ちがありそうです。
最終盤では何手で詰めろかという計算です。
先手玉はまだ詰めろではないです。28に角金銀どれか1枚打ち込んで、同銀同桂成同玉に17歩成。39玉と逃げたとして、28に取った銀を打って、48玉に37桂成で清算、36馬からあと2枚必要に見えます。角金銀あるいは飛を3枚あると詰むのではないかというくらいです。まだ余裕がありそうです。17歩成は詰めろなので、1手すき(1手で詰めろ)ということになります。
ですから、先手番で、1手すき(1手で詰めろ)なら勝ち。(多分)2枚渡さない詰めろか王手で寄せたいところです。
36歩と桂馬を取って詰めろ逃れの詰めろとなるといいのですが、その時は後手が王手で角を打って攻防に利かせる事ができるので複雑です。それもだめなら16歩を取り返して、ということになりますが。
△ 実戦は32飛でした。一番自然ですね。

63玉に72銀とはがします。

73玉83銀成同玉に62飛成で73銀と受けられました。

実戦では73同竜から16歩と手を戻して17歩から寄せられてしまったのですが、私には不思議な手順に見えました。
82金同銀84金で寄っている?

84同玉82竜83桂73銀95玉83竜で必至です。

でもこれは角金金3枚の持ち駒になったので28金から先手玉が詰みます。ご確認を。
同様に62飛成ではなく84金も手筋なのですが、

84同玉82飛成83桂73金でほぼ必至。でも28銀で詰みます。

では32飛は駄目なのかというとそうでもなくて、95金なら詰めろ。

73銀85金72桂で詰めろが続かないのですが

後手の持ち駒が角だけですから、ここで16歩と手を戻せばまだ互角の勝負です。
この図を想定して、42から飛車を打って41飛成ができるようにしておいて、36歩と桂馬を補充すれば、勝ちか?という気もします。手順が心細いのですが。
この図で36歩は55角28銀17歩成で駄目です。
○ 駒を渡しにくいというのがわかっていただけましたか。そういう時は左右挟撃です。飛車を打たずに71銀。

詰めろなので63玉と逃げれば61飛73玉64金。

64同馬62飛成84玉64竜で詰めろ。まだ先手玉は詰みません。馬が消えたので前より安全です。

73金打くらいですが、慌てず62角と打ちます。

81桂73角成同桂82銀成

これで必至です。
71銀に63玉ではだめでしたから、61歩と受けます。

何かの時に馬で受けるのでここからも難しいです。
例えば41飛がかっこいいですが72馬で困ります。

61歩には62金しかありません。

41玉に(21飛は43歩で難しいので)22銀成。

左右挟撃を保ちます。62歩同銀成に42角が最後の抵抗。

71飛51桂61飛成でやっと寄りました。違うところから飛車を打っても駄目です。

手順が長くて大変です。難しくしたのはこの前の局面でこうだったのですが

35馬同歩52と同玉31銀不成で問題図。でも31銀成(成るほうがいい)33玉(取れば35馬同歩42飛)に36馬同銀同歩とするとこの局面です。

後手玉は上に逃がすのですが、上部には先手の駒があるので入玉はされないでしょう。73角には46桂という感じです。先手玉が安全ですからゆっくり攻めればいいです。
62とを捨てて左に追うのはちょっと不安な感じがしませんか?
穴熊戦法について。この問題は穴熊を使う人の適性検査のようなものです。
先手のTさんは穴熊のスペシャリストです。この頃は筋違い角にも凝っているようですが。
穴熊にすると堅い分だけ戦力が不足します。3枚の攻めでうまく歩を使って、ということが多く、しっかり読んで攻めないと切れてしまいます。
終盤では自玉は安全で、攻めを考えるだけでいいことが多いので勝ちやすいと言えますが、この解説のような王手や詰めろで迫る技術が必修です。
つまり、詰将棋や必至問題が得意でない人は穴熊では勝てません。
厳しいことを書きますが、初段以下のクラスで穴熊が流行しているのはおかしいのです。初心者同士なら穴熊にしていれば少しくらい間違えても勝ちやすい、というのは現実的なことなのですが、であれば、詰将棋や必至問題を毎日解いて、読みの力や終盤力を上げなければいけません。これくらいでいいや、と指してしまううちは、穴熊を使っていると弱くなります。
この解説を読み流してしまう人は駄目です。解説にも現れない変化も寄っている(あるいは寄っていない)ことを自分で確認する(頭の中でできなければ盤駒を使う)ことが必要です。
読みの力や終盤力が上がれば穴熊の破壊力が倍増します。ぜひ鍛錬してください。
そういう私は、読めないけれど感覚で指すタイプなので、穴熊はできません。(たまにやると金銀バラバラになってちっとも堅くないです。)だから本筋はどれか、という理論のほうにこだわらないと強くはなりません。対局が終われば棋譜を残し、しっかり検討して反省するのです。毎日ブログを書いていたらだいぶ強くなった気がします。ありがとうございます。
追記
水谷さんからコメントがありました。ありがとうございます。
ほぼご指摘の通りです。すなわち、61歩に51飛

王手は逃がしてしまうからと思い込んでしまいました。その前に63玉61飛の変化をやっているのですから、これが明快です。
以下は63玉61飛成73玉64金

と進むしかありませんから、同じ(1歩得)ですね。
それから、22銀成62歩同銀成の変化、28角がありました。

同銀同桂成同玉36桂55馬です。

22成銀を抜くというのは「両取り見えない病」にはわかりません。
ちなみに73角で62成銀を抜くのは46桂の合駒で馬取りになります。
46桂の合駒に22馬。

これは51飛32玉41角と追いかけて

33玉は45桂ですから21玉に23角成の空き王手。31銀に24馬で

これなら先手が悪いことはないのですが、明快ではありません。
変化として、46桂の合駒に17歩成もありますし。

これも一応先手が優勢で、39玉28銀22馬34桂くらいですか。

これも先手が明快に勝ちではありません。
ご指摘ありがとうございました。勉強になります。

13日の名南将棋大会からAさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
昨日の一手の回答

☆形勢判断をします。
駒の損得は飛金銀と角桂香歩歩の交換です。金銀が多いので先手が少し得です。終盤なのでこれくらいの差は考えなくていいです。
玉の堅さは先手が上、といいたいところですが、端に手を付けられました。後手の持ち駒が多ければ即詰みもあり得ます。後手玉は54馬の守備力が強く、6筋方面に逃げ出せばまだ頑張れそうです。ですから堅さは互角。
先手の攻め駒は31銀と持ち駒飛金銀で4枚。持ち歩がないので気を付けて攻めないといけません。79竜が働くような展開が理想ですが。
後手の攻め駒は11香25桂36桂に持ち駒角桂で5枚。持ち駒桂はあまりそうですが、16歩も攻め駒に加えてもいいくらいです。持ち歩もたくさんあります。
総合すれば互角。でも先手の手番ですから勝ちがありそうです。
最終盤では何手で詰めろかという計算です。
先手玉はまだ詰めろではないです。28に角金銀どれか1枚打ち込んで、同銀同桂成同玉に17歩成。39玉と逃げたとして、28に取った銀を打って、48玉に37桂成で清算、36馬からあと2枚必要に見えます。角金銀あるいは飛を3枚あると詰むのではないかというくらいです。まだ余裕がありそうです。17歩成は詰めろなので、1手すき(1手で詰めろ)ということになります。
ですから、先手番で、1手すき(1手で詰めろ)なら勝ち。(多分)2枚渡さない詰めろか王手で寄せたいところです。
36歩と桂馬を取って詰めろ逃れの詰めろとなるといいのですが、その時は後手が王手で角を打って攻防に利かせる事ができるので複雑です。それもだめなら16歩を取り返して、ということになりますが。
△ 実戦は32飛でした。一番自然ですね。

63玉に72銀とはがします。

73玉83銀成同玉に62飛成で73銀と受けられました。

実戦では73同竜から16歩と手を戻して17歩から寄せられてしまったのですが、私には不思議な手順に見えました。
82金同銀84金で寄っている?

84同玉82竜83桂73銀95玉83竜で必至です。

でもこれは角金金3枚の持ち駒になったので28金から先手玉が詰みます。ご確認を。
同様に62飛成ではなく84金も手筋なのですが、

84同玉82飛成83桂73金でほぼ必至。でも28銀で詰みます。

では32飛は駄目なのかというとそうでもなくて、95金なら詰めろ。

73銀85金72桂で詰めろが続かないのですが

後手の持ち駒が角だけですから、ここで16歩と手を戻せばまだ互角の勝負です。
この図を想定して、42から飛車を打って41飛成ができるようにしておいて、36歩と桂馬を補充すれば、勝ちか?という気もします。手順が心細いのですが。
この図で36歩は55角28銀17歩成で駄目です。
○ 駒を渡しにくいというのがわかっていただけましたか。そういう時は左右挟撃です。飛車を打たずに71銀。

詰めろなので63玉と逃げれば61飛73玉64金。

64同馬62飛成84玉64竜で詰めろ。まだ先手玉は詰みません。馬が消えたので前より安全です。

73金打くらいですが、慌てず62角と打ちます。

81桂73角成同桂82銀成

これで必至です。
71銀に63玉ではだめでしたから、61歩と受けます。

何かの時に馬で受けるのでここからも難しいです。
例えば41飛がかっこいいですが72馬で困ります。

61歩には62金しかありません。

41玉に(21飛は43歩で難しいので)22銀成。

左右挟撃を保ちます。62歩同銀成に42角が最後の抵抗。

71飛51桂61飛成でやっと寄りました。違うところから飛車を打っても駄目です。

手順が長くて大変です。難しくしたのはこの前の局面でこうだったのですが

35馬同歩52と同玉31銀不成で問題図。でも31銀成(成るほうがいい)33玉(取れば35馬同歩42飛)に36馬同銀同歩とするとこの局面です。

後手玉は上に逃がすのですが、上部には先手の駒があるので入玉はされないでしょう。73角には46桂という感じです。先手玉が安全ですからゆっくり攻めればいいです。
62とを捨てて左に追うのはちょっと不安な感じがしませんか?
穴熊戦法について。この問題は穴熊を使う人の適性検査のようなものです。
先手のTさんは穴熊のスペシャリストです。この頃は筋違い角にも凝っているようですが。
穴熊にすると堅い分だけ戦力が不足します。3枚の攻めでうまく歩を使って、ということが多く、しっかり読んで攻めないと切れてしまいます。
終盤では自玉は安全で、攻めを考えるだけでいいことが多いので勝ちやすいと言えますが、この解説のような王手や詰めろで迫る技術が必修です。
つまり、詰将棋や必至問題が得意でない人は穴熊では勝てません。
厳しいことを書きますが、初段以下のクラスで穴熊が流行しているのはおかしいのです。初心者同士なら穴熊にしていれば少しくらい間違えても勝ちやすい、というのは現実的なことなのですが、であれば、詰将棋や必至問題を毎日解いて、読みの力や終盤力を上げなければいけません。これくらいでいいや、と指してしまううちは、穴熊を使っていると弱くなります。
この解説を読み流してしまう人は駄目です。解説にも現れない変化も寄っている(あるいは寄っていない)ことを自分で確認する(頭の中でできなければ盤駒を使う)ことが必要です。
読みの力や終盤力が上がれば穴熊の破壊力が倍増します。ぜひ鍛錬してください。
そういう私は、読めないけれど感覚で指すタイプなので、穴熊はできません。(たまにやると金銀バラバラになってちっとも堅くないです。)だから本筋はどれか、という理論のほうにこだわらないと強くはなりません。対局が終われば棋譜を残し、しっかり検討して反省するのです。毎日ブログを書いていたらだいぶ強くなった気がします。ありがとうございます。
追記
水谷さんからコメントがありました。ありがとうございます。
ほぼご指摘の通りです。すなわち、61歩に51飛

王手は逃がしてしまうからと思い込んでしまいました。その前に63玉61飛の変化をやっているのですから、これが明快です。
以下は63玉61飛成73玉64金

と進むしかありませんから、同じ(1歩得)ですね。
それから、22銀成62歩同銀成の変化、28角がありました。

同銀同桂成同玉36桂55馬です。

22成銀を抜くというのは「両取り見えない病」にはわかりません。
ちなみに73角で62成銀を抜くのは46桂の合駒で馬取りになります。
46桂の合駒に22馬。

これは51飛32玉41角と追いかけて

33玉は45桂ですから21玉に23角成の空き王手。31銀に24馬で

これなら先手が悪いことはないのですが、明快ではありません。
変化として、46桂の合駒に17歩成もありますし。

これも一応先手が優勢で、39玉28銀22馬34桂くらいですか。

これも先手が明快に勝ちではありません。
ご指摘ありがとうございました。勉強になります。