名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

矢倉ガイド 現代矢倉の基礎知識 上下

2015-07-20 | 将棋本 断捨離
矢倉ガイド (週将ブックス―定跡百科)
アマゾンでは週刊将棋編集になっていますが、中村修先生の本です。1989年出版。
現代矢倉の基礎知識〈上〉 (将棋の定跡)
これも中村修先生で1994年出版
現代矢倉の基礎知識〈下〉 (将棋の定跡)
1994年出版


矢倉の定跡書としては古いのですが、では使えないか、というと使えます。特に矢倉は、そのときの流行に左右されるのですが、年月が経ってまた脚光を浴びることがあります。ですから矢倉党なら一度読み返す価値があります。
少なくとも手筋の勉強になりますし、相手が知らないあるいはうろ覚えで対応してもらえば勝ちやすいです。
マイナーな形も知っていれば戦力になりますし、加藤流や森下システムは今でも定跡があまり進化していません。

そして、このシリーズは読みやすいのです。東大将棋のシリーズはそのうち取り上げますが、こちらは細かくて読みにくいです。
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20150720今日の一手<その90>桂馬と歩の交換

2015-07-20 | 今日の一手
20150720今日の一手

11日の名南将棋大会からNさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。












昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。しかし、先手だけ1歩持っているのはプラス要素。
後手玉のほうが堅いです(が先手玉もそんなに劣るわけではありません)。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は持ち駒角で1枚。

総合すれば少し先手が指しやすいか、というくらいの局面です。

大局観としては、
先手から見ればこのまま駒組みしていくのはちょっともったいないです。ゆっくり指して21飛から24歩25歩と伸ばされることになれば悪くなります。ここでの後手陣の欠陥が見えますか?
①1筋が弱い
②22に空間がある
③33桂の頭を守っていない
すぐに22角や22歩では後続がありませんから、22の空間は間接的にとがめられればいいか、というくらいに思っておいて、1筋からいくか、3筋からいくかを考えます。


△ 実戦は15歩でした。

15同歩13歩に受けは24角くらいしかありません。

攻め駒を増やすために17桂として、13角25桂22角

後手の受けがピッタリのようにも見えるのですが、33桂成同角45桂22角に33角!

33同角(同銀もあるところ)同桂成同銀に23飛成。

桂馬を捨てて飛車を成りこんだ計算ですね。少し無理のようですが、12歩が残ります。
42金12歩22歩

ここでTさんが間違えてしまいました。
14竜に23角で香取りを受けられてしまいます。

これで切れ模様です。

正解は14竜ではなく13竜。

桂損でも13竜19香持ち駒角で3枚の攻め駒があり、あとは 香車が取れるのですから攻めは切れません。先手玉は27角の傷はあっても大したことはないのです。先手が勝ちやすい局面です。


△ 36歩はどうでしょうか。

ここで24角や44角とは手放せないので、桂頭を受けるなら44歩。35歩に43金と上がります。

34歩同金に76角がありました。

42飛では32角成から23飛成ですから、角を打つしかありません。54角は同角同歩55歩

で悪化します。(55同歩に76角)
43角の方がいいですが

同角成同飛31角

これで22の空間をとがめられました。

つまり33桂の頭は守ることができません。
36歩には21飛と転回します。

35歩同歩34歩に

24歩33歩成32角。

24歩にはこの局面で23角成が残らないという意味もあります。
22飛41角成25歩ならば37桂。

飛車交換なら41馬が働きます。桂得ですし。34銀は46桂が痛いので、
26歩25桂打で

44銀26飛24歩23歩

12飛13桂成同飛24飛

21歩32馬36歩25桂

こんな感じです。後手の反撃はうまくいきません。

後手の最善は35歩同歩34歩に42金の我慢。

これで桂得となるのですが、歩切れで思ったより難しいです。
86桂から94桂という手筋はあるのですが、まだ決め手にはなりません。
相手の力を借りてこういう図を目指しますか。

25歩より先に64歩と備えられたらこれは成立しませんし、我慢すれば互角としか言いようがありません。


ということで、15歩も36歩も最善の応酬ならどちらも難しい変化です。解説の結果だけ見れば15歩のほうがよいようにも思えますが、実戦ならわかりません。

桂馬を得したけれど歩切れ、というのは互角に近いのです。
もちろんいい攻め筋があれば桂馬のほうがいいし、玉に近いほうの桂馬は別ですが、桂馬は単独では使いにくいのです。
駒得なら持久戦というセオリーが当てはまらないことも多く、ゆっくりしていては と金を作られることになりかねません。
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