名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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20150713今日の一手<その83>切れない攻め

2015-07-13 | 今日の一手
20150713今日の一手

先月13日の名南将棋大会からKさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。










昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
飛歩と銀桂の交換で、58に と金もありますから先手が少し駒損です。
玉の堅さは同程度です。
先手の攻め駒は66角と持ち駒銀桂で3枚。少し足りないです。
後手の攻め駒は58と に持ち駒飛桂で3枚。86飛が働けば4枚になります。

総合すれば互角ですが、特に終盤では手番が大きいです。

大局観として、先手玉は89飛成、49と、39と、の3手で詰めろ。3手すきです。後手玉に3手すき以上の手で迫ればいいのです。攻め駒が少ないので注意しなくてはなりません。どこかで77金とすれば飛か角を手に入れることができます。これが心強いですね。


× まずは実戦の手順から。25桂でした。

これは詰めろですね。44桂33桂成同玉です。

少し駒得になりましたが、66角の働きが悪くなりました。この局面、適当な後手に迫る手がありません。
桂馬がほしいので44角と切りたいくらいですが、44同歩で後手玉が広いのでダメです。
実戦は77金打ですが、89飛成78金同竜・・・とまだ長いものの、後手玉が安全では勝ち目がありません。


× 桂馬は温存して21銀としたいのですが、42玉で

これは21銀が空振り。先手の攻め駒が少ないので勝てません。


× 45桂と打ちます。

44桂なら53桂成の意味です。


これならまあまあなのですが、45桂には同銀。

45同銀67馬で

ちょっと足りません。


○ 正解は33角成です。

穴熊では大駒を切って金駒を手に入れることが好手になりやすいですね。
33同玉の後が難しいです。気が付きにくいですが55歩が好手。

1手ゆるめるようですが、45桂を打ちたいのです。後手は45桂と54歩の両方を受けたいのですが、その手がありません。
63銀なら45桂

24玉33銀13玉と決めて77金です。

角が取れれば詰めろ。飛車が取れれば21飛で詰めろ。先手の穴熊が遠いです。

45桂に42玉なら53金。

31玉33桂成32金43金です。

駒が足りなくなったら77金でいいので楽勝です。
77金はあまり早くやると56馬ですから注意です。できるだけ後手玉を追い込んでから指せば決め手になります。


中盤で先手が強引に指したので、ずっと後手がリードしていたのですが、66角のにらみで後手玉を薄くしていくことで逆転のチャンスがありました。
将棋には33角成から55歩という手順があるんだ、いい手なんだなあ、と理解していただければ幸いです。
少々駒損でも切れないように指す、そういう手順を理解し、考えてみることで、だんだん指せるようになってきます。


振り飛車、特に振り飛車穴熊では、こういう終盤力、つまり変化の狭いところを深く読む力が必要です。
ですから初心者向きではないと思うのです。
読みの能力に優れた若い人向けです。なかなか有段者になれない方や、歳を取って読みの力が衰えた方は、序中盤の研究をして、優勢な局面から自然な手を重ねて勝つほうが理に適っています。
変な手を指して負けたら、これは不自然だった、という反省をします。長い詰みを間違えたとか、絶妙手を逃したとか、そんなことは気にしないほうがいいです。難しいのは間違えることが多いのです。

当たり前のことを書いているはずですが、人は当たり前のことは気が付かない(気が付きたくない)ことが多いものです。いつの間にか変化を受け入れないようになってしまいます。
コメント
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