将棋上達法実践編（11）

土日はHくんのレッスン11日目、Aくんのレッスン3日目でした。


Hくんは復習を2局

１～4筋を攻める手段をいろいろ考えてもらいました。

これも攻めがいろいろあるけれど、竜の詰めろの41歩。

新しい棋譜並べは1局。今回はその場で再度並べてもらいました。覚えるまで並べる訓練をしてもらおうかと思っています。一人だとなあなあになってしまうものなので。
できることを繰り返し訓練するということは一番早い習得につながります。



居飛車党のAくんには

対四間飛車で左46銀急戦、右46銀急戦、棒銀、45歩急戦の違い、長所短所をノートしてもらいつつ解説しました。
その後で中央位取りや玉頭位取りを並べさせたのですが興味なし。急戦がいいみたいですね。
今後どうしようかというところですが、禁断のオッサン流振り飛車破りをテキストにして、ゴキゲン中飛車対策や鳥刺し戦法を覚えてもらおうかと考えています。本筋ではない気もするのですが、攻めて勝つのは楽しいでしょう。

大山将棋問題集 20180709

後手番大山先生の手を考えます。

第1問


大山先生ならばこう指しそうです。
A 55歩 B 45歩 C 42角

第2問


好手であるかどうかはわかりませんが、受ける方針です。
A 13桂 B 51竜 C 74飛

第3問


ここから反撃です。
A 76桂 B 96歩 C 14香

第4問


これが受けにくい手でした。
A 92香打 B 65桂 C 76銀

第5問


これが見えれば攻め切れます。
A 58金 B 77銀成 C 87金

大山将棋研究（941）；四間飛車に居飛車穴熊（森雞二）

今日の棋譜20180709
昭和63年2月、森雞二先生と第46期A級順位戦です。

大山先生の四間飛車に森先生は居飛車穴熊です。

腰掛銀で66歩を突かせようとしたら、森先生は受けなかったので玉頭銀になりました。

大山先生から7筋の歩交換をして

森先生が7筋を押さえました。

飛車を5筋に回って戦いが始まるのですが、右桂を使えていない形は戦力不足が気がかりです。

大山先生は銀を追って角を引き

75へ。森先生は5筋を取り込んで

飛車を切って銀を出るというのは穴熊的です。

もう一つ出てみると7筋攻めはうるさいので

大山先生は角を切って飛車を成ります。角金と飛銀の交換、竜を作っている分だけ得だと主張しました。

43角に13桂というのが勝負に辛い感じが出ています。順位戦だからということもあるでしょう。

二枚飛車は厳しそうです。森先生は金を打つ勝負手。二枚換えされて悪いのですが、61角成で寄せ合いになります。

大山先生は竜を引いて守り、方針が一貫しています。

森先生は桂交換に持ち込み

大山先生は玉頭を手厚く受け

森先生はパンツを脱いで攻めます。

玉頭方面はここまで。

角と桂で手をつなぎます。

ちょっとゆっくりですが攻めが切れることはなくなりました。

大山先生は端攻め、パンツを脱いだ穴熊は薄いのです。

76銀と置いて87桂ねらい、これが受けにくいです。

森先生は77歩、強気の受けですが金を取られ

76歩には77香で困っています。自然な手がつぶれているのならば劣勢は明らか。銀を取れないと4枚の攻めは受けきれません。

59桂～88銀打と懸命に受けるのですが

75香も厳しくて

端に小細工があるし

上から迫られると受けがなくなっていきます。

ちょっとさっぱりしたら香を走られ

端から押さえられて

質駒を取られて詰めろ。

詰めろは続き

55桂を味よく取られてはどうしようもありません。

投了図。

穴熊だから飛車を切ってもよいということはひんぱんに起こるのですが、その前に右桂を使える形にしておきたかったです。互角のさばき合いは穴熊のほうが銀冠よりも堅いから有利、というのは例外もあります。二枚飛車＋端攻めは厳しいですし、本譜のように竜を引いて粘られるのも難しいです。
後手をもって大山先生の受けから反撃に至る手順を学びましょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
手合割：平手　　
先手：森雞二
後手：大山十五世名人
先手省略名：森
手数----指手--
1 ２六歩(27)
2 ３四歩(33)
3 ７六歩(77)
4 ４四歩(43)
5 ４八銀(39)
6 ３二銀(31)
7 ５六歩(57)
8 ４二飛(82)
9 ６八玉(59)
10 ６二玉(51)
11 ７八玉(68)
12 ７二玉(62)
13 ７七角(88)
14 ４三銀(32)
15 ５七銀(48)
16 ８二玉(72)
17 ８八玉(78)
18 ７二銀(71)
19 ９八香(99)
20 ５二金(41)
21 ２五歩(26)
22 ３三角(22)
23 ９九玉(88)
24 ５四銀(43)
25 ７八金(69)
26 ６五銀(54)
27 ７五歩(76)
28 ６四歩(63)
29 ８八銀(79)
30 ７四歩(73)
31 同　歩(75)
32 同　銀(65)
33 ５九金(49)
34 ６三金(52)
35 ３六歩(37)
36 ３二飛(42)
37 ６九金(59)
38 ９四歩(93)
39 ７九金(69)
40 ５四歩(53)
41 ５九角(77)
42 ９五歩(94)
43 ６六銀(57)
44 ８四歩(83)
45 １六歩(17)
46 １四歩(13)
47 ７五歩打
48 ８三銀(74)
49 ５八飛(28)
50 ５二飛(32)
51 ３七角(59)
52 ７三桂(81)
53 ５五歩(56)
54 ６五歩(64)
55 ５七銀(66)
56 ４二角(33)
57 ４六銀(57)
58 ７五角(42)
59 ５四歩(55)
60 同　金(63)
61 同　飛(58)
62 同　飛(52)
63 ５五銀(46)
64 ５一飛(54)
65 ６四銀(55)
66 同　角(75)
67 同　角(37)
68 ５八飛成(51)
69 ４三角打
70 １三桂(21)
71 １五歩(16)
72 ４九飛打
73 ６九金打
74 ５一龍(58)
75 ５四歩打
76 ５二歩打
77 １四歩(15)
78 ２五桂(13)
79 １七桂(29)
80 同　桂成(25)
81 同　香(19)
82 ６三銀(72)
83 ３七角(64)
84 ７四歩打
85 ７七桂(89)
86 ６二金(61)
87 ６五桂(77)
88 ６四歩打
89 ７三桂成(65)
90 同　金(62)
91 １五角(37)
92 ４一龍(51)
93 ５五桂打
94 ７二銀(63)
95 ５三歩成(54)
96 同　歩(52)
97 ５四歩打
98 ９六歩(95)
99 同　歩(97)
100 ９七歩打
101 同　香(98)
102 ８五桂打
103 ８六歩(87)
104 ９七桂成(85)
105 同　銀(88)
106 ７六銀打
107 ７七歩打
108 ８七桂打
109 ８九玉(99)
110 ７九桂成(87)
111 同　玉(89)
112 ８七金打
113 ５九桂打
114 ７七銀成(76)
115 同　金(78)
116 同　金(87)
117 ８八銀打
118 ７五香打
119 ７八歩打
120 ８八金(77)
121 同　銀(97)
122 ９七歩打
123 同　銀(88)
124 ８七銀打
125 ８八銀(97)
126 同　銀成(87)
127 同　玉(79)
128 ９六香(91)
129 ９七歩打
130 同　香成(96)
131 同　玉(88)
132 ９六歩打
133 同　玉(97)
134 ９五銀打
135 ８七玉(96)
136 ４三龍(41)
137 ９九香打
138 ９八歩打
139 同　香(99)
140 ９七歩打
141 同　玉(87)
142 ９九角打
143 ８七銀打
144 ５五角成(99)
145 ６六桂打
146 ６五馬(55)
147 ８八玉(97)
148 ８七馬(65)
149 同　玉(88)
150 ８六銀(95)
151 同　玉(87)
152 ８五歩(84)
153 同　玉(86)
154 ７六銀打
155 ８六玉(85)
156 ８五歩打
157 ９七玉(86)
158 ８七金打
159 投了
まで158手で後手の勝ち

20180709今日の一手（その720）；攻防の受け

20180709今日の一手

3月4日の名南将棋大会から、HさんとJさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂銀と飛金歩の交換で（歩を数えず互いに成駒がありますが）先手の駒得です。
（相手の攻め駒を考えないで）玉の堅さは難しい比較ですが同程度と見ておきます。
先手の攻め駒は72竜51馬と持ち駒金香で4枚。
後手の攻め駒は47銀57桂と持ち駒角銀桂で5枚。

総合すれば互角か先手もちです。

寄せ合いでは何手で詰めろになるかを数えるほうが正確です。後手玉はまだ詰まなくて、41金などで詰めろ、2手すきの状態です。先手玉は49桂成から詰みがあります。現状は1手すきですから、先手番とはいえ後手有利です。

☆ 大局観として

先手としてはもっと前に

怪しく銀を打たれたところで48香とか58銀とか、何か受けておくほうが簡単でした。先に受けるほうが手堅いというのが原則です。駒得ですから長期戦でも良かったというのが背景です。41銀と攻めて31銀と使わせたところで手を戻すのもより安全でした。
攻め合いを進めてしまうとより形勢がはっきりしてしまうのですが、41銀31銀の後、72飛成57桂に32銀成と取って駒を渡したのはうまくないです。32同玉が問題図で

銀を渡したので先手玉が詰めろになってしまったのでした。

さて逆転のためには攻防の手、「詰めろ逃れの詰めろ」があるとわかりやすいのですが、この局面では存在しません。
であれば受けるしかなく、1手すきの状態を受けて2手すき以上にする（詰めろを回避する）のが必要で、1手受けて3手すきになれば逆転しているかもしれません（後手玉の状態が2手すきのままならば逆転しています）。
あるいは受けていて先手玉が2手すきでも後手玉が1手すき（詰めろ）になってしまう場合があります。よく見る攻防の手ではないのですが、攻め駒を入手することで「詰めろ逃れの詰めろ」になるのです。


× まずは現状確認から。42馬同銀

22金から追っても金が1枚足りません。あるいは銀を持っていれば41銀（あるいは41角でも）詰みます。後手玉を詰ますには金駒1枚足りないという状態でした。


× 41金は詰めろですが

49桂成69玉（49同玉は57桂で簡単）58金同飛同銀成同玉59飛

47玉35桂36玉47角45玉56飛成34玉33歩35玉34銀

で詰んでいます。
先手としてはこの詰み筋を回避しつつ、後手玉に詰めろをかけられれば（攻防の手、詰めろ逃れの詰めろ）勝ち筋ですが、それはないみたいです。


× 実戦は58香と受けました。

これなら49桂成を同玉と取れる（57桂がない）というわけですが、49桂成同玉27角59玉39銀

飛車取り詰めろで後手の勝ちになりました。

正しくは49桂成同玉に57桂同香27角

桂を捨てて追いかけていくと詰みがあります。59玉に58銀同飛49金

69玉58銀成同玉48飛69玉59金以下きれいな詰みです。

49桂成を69玉だと

79金同金同成香同玉78歩

ちょうど1歩使えて、79角を打つ詰み筋です。

79金を68玉と逃げても

78金同玉69銀同玉57桂

取れば79金、68玉に79角78玉68金同銀88角成、という詰みです。

49桂成に68玉と逃げるのも

59角57玉48角成同飛同銀不成

66玉も47玉もぴったり詰んでいます。

59角に69玉でも

57桂同香58金以下駒が余ります。

ということで（私の力ではとうてい読み切れませんが）、58香は詰みを逃れていなかった悪手でした。


× 68銀も再度の57桂を受けていて

49桂成同玉（今度は57桂は詰みません）27角59玉49金69玉48金

48飛で金を取れても、27角が36、45の地点を守っているので後手玉が詰みません。

あるいは単に39銀

で詰めろでもだめです。


○ ではどう受けるか。薄い受け方ですが48金として

39銀（あるいは角でも）47金28銀成となれば、42馬同銀41銀

として後手玉が詰んでいます。銀を入手する受けがありました。変な表現ですが攻防の受けと呼んでおきましょう。先手玉は依然として詰めろ（1手すき）が続いていますが、後手玉の2手すきが1手すきに変わっていたのです。47金と取った手が「詰めろ逃れの詰めろ」です。

後手としては39銀あるいは39角とはできません。48銀成同玉41金

金を取って受けに回るくらいです。馬を逃げても有利ですし、41同馬同玉61竜

合駒は62銀で無効、32玉に25香14銀

というところまで利かせておいて58銀か68金くらいの受けで優勢です。（角を渡したけれど後手玉を攻略しやすくなっている）


○ 58金は少し危なくて

39銀や39角なら同じことです。58同銀成同玉49銀48玉

が気になりますが大丈夫みたいです。


△か○ 39金だと

69角に68金

58銀打同金同角成同飛69金

で詰んでいます。

戻って69角に48金

がまだ「攻防の受け」かどうか。48同銀不成同玉47金39玉

48銀同飛同金28玉

何とか先手の勝ちのようです。


× 68玉の早逃げは

49桂成に66銀

で上に逃げられるかどうか。59角57玉48角成68玉59馬57玉48銀打

一度角を馬にしてから銀を打てば47玉に35桂以下の詰みです。


○ 66銀を先にすると

59桂成に68玉なら同じ順で負けです。49同玉27角59玉

これで桂以外の駒を渡さずに詰めろという順がありません。というか詰めろ自体も難しいです。1手受けて3手すき以上になっているのでした。


× 一般的には駒を打つ方が手堅いというのがもう一つの受けの原則です。48金打

が手堅いはずですが、49桂成同金というのは駒損で受けているのでだめです。57桂のお代わりがあります。49桂成に同玉しかなく、57桂に39玉とかわすのですが（玉を逃げ出したか？）58角

を取れません。42馬同銀59金と抵抗しても49金

以下長いのですが即詰みもあるようです。詰まなくても駒をいっぱい渡さなければ後手の勝ち筋ですが。


☆ まとめ

難しい変化というか詰み筋があるのですが、こんなことになる前に受けてしまえば難しくなかったはずです。先に受けたほうが手堅い原則です。
問題図では駒を打ったほうが手堅い原則が通じなくなっています。58香や48金打も49金を取られるのが痛くて受けにくくなっています。

困ったようですが、後手玉を詰ますには金駒がもう一枚必要だということに気が付いたら、48金あるいは58金で銀の入手を図る手段がありました。攻防の受けと呼んでおきます。

他には1手すきを3手すきにできれば逆転するのですが、66銀がそれだとはちょっと気が付きにくいです。上部脱出もみせて粘る順がありました。