第1問

こう指すのが大山流の駒運びです。
A 53銀 B 54金 C 74歩
第2問

利かしです。
A 57歩 B 27飛成 C 54金
第3問

これで後手有利になりました。
A 26歩 B 37桂 C 44桂
第4問

粘られたのですが逆用していきます。
A 56歩 B 47歩 C 27歩
第5問

これが厳しい狙いです。
A 68角成 B 36竜 C 58金
今日の棋譜20180715
昭和63年5月、羽生善治先生と第38期王将戦です。羽生五段が天才少年と騒がれていた頃で、大山先生は初対局を一部公開対局にしてしまいました。途中まで将棋会館で指しておいて封じ手、青森県百石町(現おいらせ町)に移動して指し継いだはずです。
大山先生の中飛車に、羽生先生は持久戦というよりは加藤流袖飛車を目指したのでしょう。
43銀ならば38飛以下攻めていったはず。
53銀には66歩。これは中央を厚くして
銀を追いかえすためです。
左美濃になりました。
大山先生も銀を守りにつけます。
羽生先生が3筋の歩を切れば
大山先生は2筋から攻めます。
1歩持っているのでそこからでも受けられるのですね。
少し駒組みが進み、ここで
45歩~46歩が利いたので大山先生が少し得をしたでしょう。
22歩には37桂不成ですね。桂を交換して飛車をさばきます。
羽生先生は香得になりますが、57歩で美濃囲いを乱されます。
馬を引き付けて長期戦の構え。大山先生は歩を成り捨てて
飛車を成り
44桂。45銀には57歩同金上56歩58金47歩成が利きます。羽生先生は銀を逃げられないのは痛かったです。先の77桂では58金にひもを付けるか、かわしておくか、この筋に備えねばなりませんでした。
大山先生は銀をはがして打ち込み
金を打ち
5筋を狙います。当時の羽生先生は序盤研究ができていなくて、悪い将棋を粘って終盤で逆転するパターンが多かったと聞いています。69桂はその粘りの手です。しかし56歩で金交換になり
馬を取って79角の筋をねらわれては、先の69桂が悪い手になってしまいました。34馬とかわして
68角成に67馬というのはなんとか勝負にしようともがいているわけですが
馬を交換しても68金、やはり79角の筋が負担です。
85桂もしっかり守られて
金を受けると
両取りがありました。
投了図。
中盤までは互角です。羽生先生は香得だけれど、飛を封じ込まれ19香が働かないのでは駒得で有利とはいえないです。まだ不利ではないという局面では粘りを本気で考えないのは、そういう棋風だからでしょう。若いころの終盤の粘りはやむを得ずだったと思います。
高校生のうちは序盤研究する時間もないでしょう。今の藤井聡太先生が高校進学というのはもったいない話だなあと思うのです。天才には若いころの時間を凡人と同じようには使ってほしくないです。(と話しても賛同されないのですが。)
この将棋は大山先生の感覚の良さが目立ちます。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:羽生善治5段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5六歩(57)
8 5二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 7二銀(71)
17 3六歩(37)
18 5四歩(53)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 5七銀(48)
22 3二金(41)
23 4六歩(47)
24 5三銀(42)
25 6六歩(67)
26 5五歩(54)
27 同 歩(56)
28 6四銀(53)
29 6七金(58)
30 5五銀(64)
31 5六歩打
32 6四銀(55)
33 7七角(88)
34 4三金(32)
35 8八玉(78)
36 9四歩(93)
37 7八銀(79)
38 7四歩(73)
39 1六歩(17)
40 8四歩(83)
41 8六歩(87)
42 7三銀(64)
43 3八飛(28)
44 2二飛(52)
45 3五歩(36)
46 同 歩(34)
47 同 飛(38)
48 3四歩打
49 3八飛(35)
50 2四歩(23)
51 2八飛(38)
52 2五歩(24)
53 3七桂(29)
54 2六歩(25)
55 2五歩打
56 5一角(33)
57 2六飛(28)
58 3三桂(21)
59 6五歩(66)
60 6二角(51)
61 5五歩(56)
62 8三銀(72)
63 5六銀(57)
64 7二金(61)
65 1五歩(16)
66 2一飛(22)
67 6六角(77)
68 4五歩(44)
69 2九飛(26)
70 4六歩(45)
71 4九飛(29)
72 3五角(62)
73 5四歩(55)
74 2五桂(33)
75 同 桂(37)
76 同 飛(21)
77 1一角成(66)
78 5七歩打
79 6六馬(11)
80 5八歩成(57)
81 同 金(69)
82 2八飛成(25)
83 4八歩打
84 5四金(43)
85 5五歩打
86 5三金(54)
87 7七桂(89)
88 4四桂打
89 8七香打
90 5六桂(44)
91 同 馬(66)
92 4七銀打
93 同 金(58)
94 同 歩成(46)
95 同 馬(56)
96 4六金打
97 2九馬(47)
98 2七龍(28)
99 8五歩(86)
100 同 歩(84)
101 2八歩打
102 3七龍(27)
103 6九桂打
104 5六歩打
105 同 金(67)
106 同 金(46)
107 同 馬(29)
108 3六龍(37)
109 3四馬(56)
110 6八角成(35)
111 6七馬(34)
112 同 馬(68)
113 同 銀(78)
114 6八金打
115 8五桂(77)
116 8四歩打
117 7三桂成(85)
118 同 桂(81)
119 7八金打
120 6七金(68)
121 同 金(78)
122 5八角打
123 7八銀打
124 4九角成(58)
125 投了
まで124手で後手の勝ち
20180715今日の一手
3月24日の名南将棋大会から、MさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
金銀交換で竜と金を作っていますから少し先手の駒得です。終盤では重要度が下がります。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角金銀銀4枚で、53と や63竜を使うこともできるでしょう。
後手の攻め駒は46金49金と持ち駒角桂で4枚。
総合すれば後手もちです。
何手で詰めろになるかを数えたほうが正確で、後手玉は43と~32と で詰めろ。現状は3手すきです。
先手玉は39角18玉37金で詰めろ。現状は2手すきです。
先手番ですがこのまま進めば後手の勝ちです。よって後手有利と見ます。
☆ 大局観として
素直な寄せ合いでは負けそうです。もう一手ずつ進めた後でも良いかもしれませんが、何か受けなくてはなりません。それが攻防の手になれば逆転ですし、1手受けて2手以上詰めろがかかるまでの手数が伸びれても逆転です。
受けを考えれば、先に受けるほうが手堅い、駒を打つ方が手堅いという受けの原則があります。43と など攻める前に自玉に手を入れておく(守りの駒を打っておく)というのが(確率的には)一番良さそうです。
× 実戦は寄せ合いで43と
次の32と が詰めろですね。ただし32同金で詰めろが続くかという問題はあります。穴熊の粘りは面倒です。
後手は39角18玉37金
で詰めろ。受けねばなりません。攻防の手も見当たらないので29金に35桂同歩36桂
詰めろが続きます。36同銀同金28銀26金
以下は角を取って粘りますが後手に25桂と使われて攻め駒は減らず、詰めろを続けられて負けになりました。
△ 遠くから角を打って受ける73角
は有力です。馬を作って受けようというわけで、攻防のような55角や64角よりも守備力が高いです。金取りですし、金取りを受けたら先手で受けの駒を打てた(後の37金を防いだ)ことになります。
39角18玉37金同角成15歩
金を消せば受けやすくなった感じがするのですが、端玉には端歩、15歩は厳しいです。38金16歩29玉45桂
馬を逃げると37桂打ですから後手の勝ち筋です。
38金ではなく28銀でも同じようなものです。
39角には29玉が正しい逃げ方で
47金と逃げて43と51桂
と金を払って粘られるかもしれません。だけど32と63桂の時に21金同金同と同玉41飛
ぴったり詰んでいます。
であれば後手は急ぐしかなくて、やはり37金
37同角成45桂91馬15歩
端玉ではありませんが37桂打があるのでこれも詰めろです。28銀37桂打18玉16歩、15歩同香14香13桂16銀
16同香17歩38銀以下、まだまだ攻防が続きそうです。形勢不明でしょう。
× 69竜と引いて受けると
これも金取りです。39角18玉37金29金58歩成同竜48角成
守備力は上がりましたが、後手玉への寄せが遠のいたのでゆっくり攻められてじり貧負けという感じです。
△ 38金は常識的な受け方で
39角を避けています。58歩成73角45歩
これで詰めろがかかりにくくなっていて、43と48と32と38と同玉
これは先手玉が詰まないので先手有利。(32と を払われてまだ長いかもしれませんが。)
後手は57角が働いた感じの手で
金取りを受けます。66銀48と57銀同金43と
38と同銀39銀17玉15歩
またも端玉には端歩で詰めろ。25歩16歩27玉48金29銀
ようやく詰めろが途切れたかという図です。
後手は46金を捨てるつもりならば、58歩成よりも47歩73角48歩成
57歩があった方が良いです。46角成38と同玉58歩成47玉57金
馬を消します。57同馬同と同玉48角・・・と攻めていくのですが、入玉の要素もあるので形勢不明です。
○ 29金も受けの手で
38金と比べると58歩成~48と に当たらないという利点があります。45桂打に38銀打
37桂成同銀同金同玉55角46歩45桂47玉
これは先手玉を捕まえにくそうです。
後手は清算せずに55角
と足すのでしょう。45桂同桂43と37桂成18玉
先手玉に詰めろがかかる形ではありません。32と同金がまわり飛車を取れれば勝ち筋です。
× 38銀打では
39角29玉58歩成
43と48と(詰めろ)28銀同角成同玉39金
これも詰めろです。手筋の49銀も47と
詰めろがほどけません。
× 38銀だと
39角に27玉とかわせるのですが35歩
がぴったりです。47銀打同金同銀48金29金
47金39金36歩同玉46銀
粘ってみますがここまでか。
× 29銀だと
39角18玉37金28銀打15歩
やはり端歩を間に合わされて、37銀16歩28銀上17歩成29玉45桂
受けが無くなります。
☆ まとめ
寄せ合いではまずは互いの玉が何手で詰めろになるかを数えることが大切です。素直に進むと負けだ、と早く気が付けば対応しやすいです。
何か持ち駒を打つのが良いというのが普通で、73角、38金、29金を比較します。
馬や金は受けに向いた駒で、生角や銀では劣るというのが普通です。(ここでは該当しませんが、桂香で受けると有力な駒を渡さないということもあります。)
どれが良いかという比較は難しいのですが(38金は と金ではがされるのが見えているから優先度が下がるのかも)、美濃囲いや銀冠を再構築して粘るというのは形勢が悪い時に使う振り飛車の重要なテクニックです。この場合は29金から端玉で粘れました。詰めろがかかりにくい形を作れたら逆転します。