名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋問題集 20180701

2018-07-01 | 大山将棋研究
後手番中原先生の手を考えます。

第1問


この手が利いたのでまあまあの展開です。
A 86角 B 65桂 C 54歩

第2問


一方的に飛車をさばかれてはいけません。
A 88歩 B 56歩 C 64銀

第3問


先手の歩切れがねらい目です。
A 15歩 B 88角 C 94角

第4問


チャンスが来ました。
A 47歩成 B 65馬 C 47銀

第5問


味の良い手があって勝ち筋になりました。
A 38同と B 45桂 C 46桂
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大山将棋研究(933);三間飛車に天守閣美濃(中原誠)

2018-07-01 | 大山将棋研究

今日の棋譜20180701
昭和62年12月、中原誠先生と第21回早指し選手権です。

大山先生の先手三間飛車に中原先生は天守閣美濃です。

45歩の位を取らせずに、高美濃から引き角にしました。

大山先生は中央から動いていきます。

中原先生は73桂~86歩を入れてから55歩を取り

桂を跳ねて銀を上がります。ここでは77桂(86飛には65桂)64銀同銀同歩65桂同歩というのも見えますが

大山先生は75歩で飛車をさばこうとします。中原先生は銀をぶつけて

銀交換から66歩。これで大山先生は桂を取れます。

角を使われたらぶつけて

交換から86飛。大山先生は桂得でも飛車の働きで劣ります。

87歩や67銀は打ちたくないのですが、76角を打てて

角を切って飛車を殺します。

角歩3と飛桂の交換は互角くらい。

飛車を浮いて46歩は取れたのですが、端を詰められて歩切れが続きます。

飛車は成れても底歩で止められ

3段目に使ったら角合でした。

56銀と使うのは自然ですが、左の桂香を取られていきます。

代わりに25桂を取ることができて(後手は37桂成のチャンスがあったはずですが)、ちょっと指しやすくなったか。

桂を取ると44桂があります。

53桂の受けに24歩の取り込みはどうだったか。玉を引かれると25香が残っています。(でも27飛なら良いのかも。)

23歩成と捨てて63桂成から攻めるのですが、中原先生は持ち歩が多いので2筋の反撃が利きます。

美濃囲いを崩して馬を使い

47金をはがし

37銀をはがし

47銀もはがします。このあたりで大山先生には別の受け方があったと思うのですが

銀を放り込まれたら事件です。

先手玉はかなり薄いので

2手すきか3手すきか、かなり危険です。大山先生は24歩。24同角では66馬が浮くし、24同銀23歩同玉21飛というのも嫌でしょう。

中原先生は65馬56銀を入れて歩を払いました。

65銀47歩成55角44歩。馬を取って攻防の角を打ったので逆転しているか?54銀か64銀か56銀か、銀を逃げておけば先手玉への迫り方がわからないところです。

38銀と受けたら桂を跳ねられました。これは攻め駒が増えたことになり

受けなしで投了です。

早指しですから形勢は揺れ動いています。形勢互角の時間が長かったのですが、後から見ていると互いに小さなミスがあります。左美濃は(天守閣美濃、四枚美濃を含めて)こういう将棋になることが多いのではないでしょうか。相穴熊と同じ感じで、玉の囲いが少しでも堅い方が勝ちやすいという気はします。中原先生が強引でも先手玉を薄くしていったという指し方が実戦的なのでしょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:中原誠名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 8五歩(84)
7 7七角(88)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 5八金(69)
16 5四歩(53)
17 5六歩(57)
18 1四歩(13)
19 1六歩(17)
20 2四歩(23)
21 2八玉(38)
22 2三玉(32)
23 3八銀(39)
24 3二銀(31)
25 5七銀(68)
26 7四歩(73)
27 3六歩(37)
28 4四歩(43)
29 4六歩(47)
30 4三金(52)
31 4七金(58)
32 3一角(22)
33 6五歩(66)
34 3三桂(21)
35 5五歩(56)
36 7三桂(81)
37 5六銀(57)
38 8六歩(85)
39 同 歩(87)
40 5五歩(54)
41 同 銀(56)
42 6五桂(73)
43 5九角(77)
44 5三銀(62)
45 7五歩(76)
46 6四銀(53)
47 同 銀(55)
48 同 角(31)
49 6六歩打
50 4五歩(44)
51 6五歩(66)
52 5五角(64)
53 7七角(59)
54 同 角成(55)
55 同 飛(78)
56 8六飛(82)
57 8七歩打
58 6六飛(86)
59 6七銀打
60 6五飛(66)
61 7六角打
62 6四飛(65)
63 4三角成(76)
64 同 銀(32)
65 5五金打
66 4六歩(45)
67 3七金(47)
68 3二銀打
69 6四金(55)
70 同 歩(63)
71 7六飛(77)
72 1五歩(14)
73 4六飛(76)
74 4五歩打
75 8六飛(46)
76 1六歩(15)
77 1八歩打
78 2五桂(33)
79 8一飛成(86)
80 5一歩打
81 5五桂打
82 5二銀(43)
83 8三龍(81)
84 3三角打
85 5六銀(67)
86 7八角打
87 4七金(37)
88 8九角成(78)
89 2六歩(27)
90 9九馬(89)
91 2五歩(26)
92 5三桂打
93 2四歩(25)
94 2二玉(23)
95 2三歩成(24)
96 同 銀(32)
97 6三桂成(55)
98 2七歩打
99 同 銀(38)
100 2六歩打
101 同 銀(27)
102 2七歩打
103 同 玉(28)
104 2五歩打
105 3七銀(26)
106 6六馬(99)
107 3八玉(27)
108 4六香打
109 4八歩打
110 4七香成(46)
111 同 銀(56)
112 2六金打
113 2八香打
114 3七金(26)
115 同 桂(29)
116 4六銀打
117 同 銀(47)
118 同 歩(45)
119 8六龍(83)
120 4七銀打
121 同 歩(48)
122 同 歩成(46)
123 同 玉(38)
124 4六歩打
125 3八玉(47)
126 4七金打
127 2九玉(38)
128 3七金(47)
129 2四歩打
130 6五馬(66)
131 5六銀打
132 2四角(33)
133 6五銀(56)
134 4七歩成(46)
135 5五角打
136 4四歩打
137 3八銀打
138 4五桂(53)
139 4四角(55)
140 3三桂打
141 3九金打
142 4八歩打
143 投了
まで142手で後手の勝ち

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20180701今日の一手(その716);ゼットなら大駒を切って攻める

2018-07-01 | 今日の一手

20180701今日の一手

3月4日の名南将棋大会から、HさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂角交換でと金を作られています。終盤ですし同程度としておきます。(59銀を取られるからと考えるのは大局観が入っていますが、駒得は消えてしまいます。)
玉の堅さは後手のほうが堅いというか一路遠いです。
先手の攻め駒は22飛85角と持ち駒角銀で4枚。
後手の攻め駒は49と と持ち駒銀桂桂で4枚。29飛も使えそうです。

総合すればやや後手有利か。

何手で詰めろになるかを見ておくと
後手玉は63角成で詰めろ。取られても詰めろは続きそうです。現状は2手すき。
先手玉は59と~58と の時に詰むかどうかは持ち駒次第です。今の持ち駒では詰まないので4手すき。
総合すれば先手有利あるいは優勢です。

☆ 大局観として

先手有利ではありますが、攻め駒の種類は飛角銀だけなので後手に千日手含みの粘りを与えやすいから案外に難しい図です。桂香歩で攻められるならばその心配はないのですが。
後手に粘りを与えずに攻め切れるでしょうか。

何度も出てきますが寄せのセオリーで考えていきます。
厳しい手から考える
小さな駒から使う
でしたね。


すぐの王手は無効、
× 21飛成で71角ねらいは61歩

で失敗です。


72銀も攻めにくいです。62金か63金を攻める手がその次の候補で
△ 51銀は62金を狙っていて

61歩62銀成同金63金71銀

金銀の入れ替えができますが、どうやら千日手のようです。


× 52銀は63金を狙っていて

取ってもらえば同飛成から63角成を狙って寄せきれそうです。53金寄43銀成61銀

53成銀同金

角を切る手が消えたので62金同銀同飛成61金53竜59と

59同金同飛成59金打から粘れば長いですが、二枚換えの駒損になっているので失敗です。


△ 64銀も63金を狙った手で

64同金62飛成71銀同竜同玉53銀

61銀打64銀成59と同金

59同飛成なら26角が王手竜取りではありますが、あえて取る手もありそうですし取らないのもあります。


△ 実戦は63角成

銀がだめならと角で行きました。実質0手ですから速い寄せ方です。63同金に61銀71銀

これはほぼ明快な千日手です。後手は回避しにくいのですが、先手Tさんが打開しました。72銀成同銀62銀同金同飛成71銀

52金が攻めの手筋で62銀同金71銀53銀76桂

厳しく攻めたのですが詰めろが途切れた瞬間に76桂が詰めろで負け筋です。この図の前にもう少し工夫はできたかもしれませんが、千日手で仕方がなかったのかもしれません。


○ 44角は62金を狙っていて

53に駒を埋めても(桂馬にしておきます)63角成同金53角成同金71銀

で寄せきれます。

61歩と受けても63角成

63同金は71銀、63同銀は62角成で寄り筋です。

71銀も63角成

63同金71角成同玉61金

というのがきれいな寄せ方で(代えて64銀などもあるか)、61同玉52銀62玉51銀打

で寄りです。

74桂と捨てて

74同歩61歩

と粘っても、73歩成同金寄74歩63金寄75桂

と攻めていけば受けがなさそうです。


△か× 41角は63金を狙っていますが

角がダブっているのが気になります。でも逃げる手はないから、71桂が普通の受けで63角行成同金同角成

63同桂71銀で寄りです。

74桂が非常手段で

74同歩59と73歩成同金寄

62飛成あるいは74桂同金62飛成はあるのですが後手玉は詰めろではないです。後手からは58と がかなり厳しいので自信がないです。

蛇足ですが41角を無視して59と だと

63角行成71銀62馬同銀同飛成71銀

71同竜同玉63銀62歩72銀成同玉53銀79飛

駒をいっぱい渡して後手玉は詰めろ。79飛を取れば詰まされますが端から上に逃げていって詰まず、という激しい戦いで、後手はどこかで61香か61銀と受けて形勢不明です。


○ 18角は明後日の方向ですが

19飛成に63角成同金54角

途中で63角成同金が入っていますが、18角19飛成54角で63金を狙っていたという手でした。
54同金は71銀で寄り筋ですし、角を取らない受けも難しく、先手優勢です。


× 飛車を切る62飛成同金

では早すぎるようです。85角を切ることもできません。


× 守るとしたら69金とか

38銀とか

と金を銀と交換して受ける指し方はあります。でも銀桂と角の交換となり、駒損ですから後手が指しやすいです。


☆ まとめ

小さな駒から使うのが本筋(でセオリーとしてまとめてある)なのですが、千日手になる可能性が高いです。
千日手回避のために、角を離して打って飛角を切る(あるいはそれから銀を打つか)のが有効でした。
実戦の63角成は一番速い寄せ方ですが、早すぎて千日手です。角を切ってから千日手回避で寄せに行くと、後手の76桂が厳しい寄せ方になってしまいました。
44角が一番筋の良い寄せ方で、後手は大駒3枚を切る手を全部は防ぎきれません。
41角はダブっているのが気にかかり、空振りの可能性が上がります。
18角19飛成54角というのも有力でした。(17香が18にあったら39歩同飛成17角というのも出現しそうです。)

自玉がゼット(駒をいくら渡しても詰まない形)だと、大駒を切って攻めるという穴熊のような指し方が可能になります。

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