後手番升田先生の手を考えます。
第1問
この手を覚えておくと良いです。
A 45歩 B 54歩 C 35歩
第2問
ここから動きだします。
A 35歩 B 54歩 C 32飛
第3問
ここから斬り合いです。
A 38と B 56歩 C 46歩
第4問
後手玉は詰めろ。先手玉の詰みを読み切れますか?
後手番升田先生の手を考えます。
第1問
この手を覚えておくと良いです。
A 45歩 B 54歩 C 35歩
第2問
ここから動きだします。
A 35歩 B 54歩 C 32飛
第3問
ここから斬り合いです。
A 38と B 56歩 C 46歩
第4問
後手玉は詰めろ。先手玉の詰みを読み切れますか?
今日の棋譜20190419
昭和41年4月、升田幸三先生と第25期名人戦第1局です。
升田先生の四間飛車に大山先生は中央位取りです。この頃の大山先生は54歩を突いてから四間飛車にしていたので、逆を持てば中央位取りが有力な対策だと思っていたのでしょう。
升田先生は4筋の位を取って対抗します。これは藤井猛先生の本で知っている対抗策なのですが、大山全集を並べていた藤井先生はこの将棋で学んだのですね。升田先生の序盤感覚が優れていたというのがわかります。
なせ有力なのかと言えば、中央の位を奪回することができるからなのです。
大山先生はもう一枚の銀を繰り出して対抗しますが
75歩を突いて
玉頭位取りになりました。ただし形がきれいではありません。
升田先生は3筋から動きます。
石田流をねらい
24歩の突き捨てで阻止されましたが
向い飛車にして銀を立て直します。
79角の利きが止まったところで
2筋の歩を突きだしました。
大山先生は反撃に出ます。55歩から
35歩が良い感じですが
2筋が受けにくくなっていて
と金を作られました。ゆっくりはできません。
43金はこれくらいか。升田先生は飛車先を止めにかかり
46歩と突いたところで、大山先生は角を取りました。
銀も取って駒得です。
両取りがありますが
瞬間は角得です。ここからは寄せ合いのスピード勝負。
金を取られても端に玉をかわして粘れるか。
教科書通りの寄せです。
62角成では遅いので飛車を成りました。これで2手すき。
82金62竜でやはり2手すき。先手玉はどうでしょうか。桂を取られて
63金の詰めろに88竜から
ぴったり詰むんですね。升田先生の一手勝ちです。
こういう将棋が升田先生の理想としていたものです。序盤の構想で優位に立ち、自分から動いてそのまま押し切りました。升田先生の名局です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1966/04/07
手合割:平手
先手:大山名人
後手:升田幸三9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5五歩(56)
14 4三銀(32)
15 5七銀(48)
16 4五歩(44)
17 5六銀(57)
18 4四銀(43)
19 5八金(49)
20 8二玉(72)
21 6八銀(79)
22 7二銀(71)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 3六歩(37)
26 5二金(41)
27 1六歩(17)
28 5四歩(53)
29 同 歩(55)
30 4三金(52)
31 5七銀(68)
32 5四金(43)
33 6六銀(57)
34 5五歩打
35 6五銀(56)
36 5三金(54)
37 7五歩(76)
38 6四歩(63)
39 7六銀(65)
40 5四金(53)
41 5七金(58)
42 6二飛(42)
43 7七桂(89)
44 3五歩(34)
45 同 歩(36)
46 同 銀(44)
47 7九角(88)
48 3二飛(62)
49 5八金(57)
50 4四角(33)
51 2四歩(25)
52 同 銀(35)
53 3七歩打
54 2二飛(32)
55 9六歩(97)
56 3三銀(24)
57 3六歩(37)
58 3四銀(33)
59 9五歩(96)
60 5六歩(55)
61 5七歩打
62 2四歩(23)
63 5六歩(57)
64 2五歩(24)
65 2四歩打
66 2六歩(25)
67 5五歩(56)
68 同 金(54)
69 3五歩(36)
70 6六金(55)
71 同 歩(67)
72 3五銀(34)
73 6七金(58)
74 2四飛(22)
75 5八飛(28)
76 2七歩成(26)
77 4三金打
78 5七歩打
79 同 角(79)
80 4六歩(45)
81 4四金(43)
82 4七歩成(46)
83 3五角(57)
84 5八と(47)
85 同 金(69)
86 3八飛打
87 2四角(35)
88 5八飛成(38)
89 6八金(67)
90 6九銀打
91 8八玉(78)
92 7八金打
93 9七玉(88)
94 6八金(78)
95 3一飛打
96 7八金(68)
97 6二銀打
98 同 金(61)
99 7一角打
100 9二玉(82)
101 5一飛成(31)
102 8二金打
103 6二龍(51)
104 7七金(78)
105 6三金打
106 8八龍(58)
107 9六玉(97)
108 9九龍(88)
109 8六玉(96)
110 9七銀打
111 投了
まで110手で後手の勝ち
20190419今日の一手
3月9日の名南将棋大会から、IさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手の銀冠のほうが金銀の連結が良いので少し優ります。
先手の攻め駒は68飛77角の2枚。
後手の攻め駒はありません。
総合すれば先手が指しやすい、作戦勝ちです。
☆ 大局観として
一番下のクラスの対局で、互いに経験が少ないのかもしれません。大山先生の昔の棋譜を並べていると、居飛車が矢倉で引き角棒銀が出てきますね。その類型です。
後手のKさんは総矢倉に組んで6筋から反発したのですが、先手が四間飛車で待ち構えているところですから、損な指し方です。先手の飛角の利きが通っていることがわかりますね。
64銀は飛角のひもがついているので危険というほどでもないのですが、このままでは動けません。(ピンされています。)先手がポイントを上げるチャンスです。
△ 実戦は65歩でした。
位を保とうというわけですが、後手の言いなりになっている感じもあります。53銀と引かれたら
後手に1歩持たれたというのはマイナス。でも形勢を損ねたわけでもありません。ゆっくり指しても悪くないです。75歩~66飛~76飛はうまくいくかどうか。66飛の時に55歩同銀54銀と動かれるかもしれません。
実戦は53銀と引かずに55銀とぶつけて同銀同歩64歩
これは後手の動きを逆用した感じです。64同飛同飛同角61飛は先手が指しやすいですし、64同角には55角が気持ちよいです。
後手の67歩に63歩成
捨ててしまったのが失敗で、63同飛に52銀から飛車の取り合いでは後手よし。63同飛に69飛と逃げるようでは大失敗です。
67歩に同飛と取らなかったのは58銀
を気にしたのだと思いますが、飛車を逃げずに63歩成67銀成62と77成銀・・・
駒損なのですが、後手の矢倉は横から手がつくと早いです。これは先手優勢でした。
○ 37桂と跳ねておくのは
なんでもない手のようですが、好手なのです。このまま後手から55歩とか55銀とか動くわけにはいきません。65歩と打つのが必要な手で、25桂24銀45歩
桂を跳ねて居角の筋で攻める矢倉崩しです。53角37金寄74歩48飛
さらに飛車を攻めに使うというのが理想の展開です。
後手としては銀を逃げずに53角などと受けるのですが
33桂成同桂63歩同飛72銀
筋は悪いですが、桂香を取りに行っても良いです。(攻めずに37金寄と待っていると筋が良いです。)
○か△ 45歩を先にすると
少し変わってきます。45同歩37桂65歩25桂
44銀45銀55歩44銀同金15歩
角筋を止められても端攻めがあるので攻めは続きます。15同歩12歩同香13歩同香同桂成同玉18香打
22玉15香13歩同香成同桂14歩12歩13歩成同歩56桂
こんな調子です。
後手が13歩に同桂ならば
15香25桂12香成同玉25歩
いずれも先手が銀冠なので端を攻めても反動が少ないです。
後手は最初の45歩を取らないで65歩
を打てば、44歩同金37桂55歩45銀
43金引44歩同銀同銀同金46銀
こんなところでしょうか。56歩から角も使いたいです。
× 75歩から
65歩74歩同歩72歩
というのは垂れ歩の手筋です。しかし73桂71歩成75銀
歩切れで と金を使った厳しい手がないというのでは効果が薄いです。後手は手にのって銀桂を使えるようになります。
△ 63歩を打つと
63同飛ならば86歩同歩88飛をねらえます。でも82飛とかわされてたいしたことはありません。
△ 69飛など待っていて
65歩37桂55歩67銀24歩56歩同歩59飛
後手の駒が前に出てきてから反発する指し方もあります。これでも悪くはないです。
まとめの前に、問題図以前ですが後手の64歩を
取らないで37桂~25桂とか、45歩とかも考えられました。37桂65歩25桂64銀
と進んだとしたら、1歩と1手の交換です。この場合は1歩のほうが大きいです。
先手の得になりそうなのは37桂65歩同飛
飛車交換は必然で、65同飛同銀69飛61飛93桂25桂
この場合は先手の65銀がピンされているのですが、矢倉崩しの25桂は残っています。33銀は逃げにくいので91香33桂成同金寄37金寄89飛成
というところでしょうか。先手もちですが難しいです。
☆ まとめ
ピン(ping)するというのはチェス用語なのですが、将棋でも便利に使えます。質駒に少し近いですが、その駒が動けないという意味も含まれています。
問題図では64銀を動かすためには65歩を打つ必要がありますし、それから53銀でも55銀でもたいしたことはありません。2手以上の余裕があり、先手は好きな構想を実現することができます。
だから反射的に65歩を打とう、が第一感では困ります。振り飛車の左側の戦いでは、相手の言いなりにならないほうが良いことも多いです。素直に応じて有利だと判断しているのならば良いのですが。
居角の働きに目をつけて、37桂~25桂~45歩は(知らなければ)覚えておきましょう。これは相居飛車の矢倉崩しでもよく出てくる筋です。