先手番大山先生の手を考えます。
第1問
現代感覚の手が出てきました。
A 49銀 B 75歩 C 18香
第2問
手筋です。
A 47桂 B 55馬 C 34歩
第3問
筋の良い手です。
A 71馬 B 55桂 C 39桂
第4問
これはノーヒントではわからないでしょう。
A 59香 B 95歩 C 34桂
先手番大山先生の手を考えます。
第1問
現代感覚の手が出てきました。
A 49銀 B 75歩 C 18香
第2問
手筋です。
A 47桂 B 55馬 C 34歩
第3問
筋の良い手です。
A 71馬 B 55桂 C 39桂
第4問
これはノーヒントではわからないでしょう。
A 59香 B 95歩 C 34桂
今日の棋譜20190602
昭和42年4月、二上達也先生と第26期名人戦第1局です。
大山先生の向い飛車です。昔は後手が64歩を突いていたので先手向い飛車はちょっと得をしています。
二上先生は桂を跳ねて65歩の急戦かと思えば
銀を24へ。
引き飛車から角を出てねらいが見えてきました。
地下鉄飛車(12香~11飛)をねらったのだと思います。大山先生は「金冠」で受けました。後手の構想は44角を先にして、26歩を突かせないように組まねばならないのでしょう。
大山先生は穴熊へ。当時は珍しいはずで、大山全集の第2巻では初めて出てきます。
金冠穴熊は連結が良いけれど、あまり堅くは見えないです。二上先生が65歩から仕掛けました。
単に歩を取って桂を跳ねました。66歩には86歩同歩同角88飛59角成83飛成58馬63竜57桂成というつもりでしょうか。
大山先生は危険を冒さず77桂。二上先生は銀を前に出してきます。
飛は6筋で向かい合い
大山先生は37角から使うのも好きです。二上先生は角の筋を止めず(55歩とか)66歩を打ちました。
大山先生の91角成は結構価値のある手です。二上先生にも46桂があるので
桂香と銀の2枚換えになりました。馬を作られているので駒損です。ここでに得がないといけないのですが、57銀から
と金を作るのでは二枚の銀が重いです。57銀ではなく56銀~67歩成のほうが良かったでしょう。
大山先生は35歩~55歩~47桂。この味が良いので二上先生が素直に応じすぎたのだと思います。
銀を使って受けられるとは言え、いつでも55桂があります。
二上先生は飛を捨てて と金で攻めれば良いと読んでいたのでしょう。
大山先生は飛を取らずに55桂同銀同馬。ちょっと当てが外れ、65銀の守り方をどうしたものか。54銀66馬は と金当たり、56銀58歩というのもパッとしません。
64歩の我慢で54歩を打てればですが、大山先生は34桂の奇手です。34同金に54歩44角64馬~53銀のねらいで受けにくいのです。
金を取れて駒得が広がり
馬筋は止められましたが金得に近いです。
飛を捕獲できて優勢です。
二上先生は36桂の反撃で
金をはがせましたが47と で寄せられる形ではないです。
大山先生は飛を打ち、ゆっくり攻めていきます。
角を取れて
再び控えの桂で寄せて行きます。二上先生は金銀を打って受ければまだ長いですが
駒損なので、中段玉から入玉できればというくらいです。
大山先生はあわてず駒を取りに行きます。
二上先生は23角を取り
と金を作れば、という形にはなりましたが
ここまで。
振り飛車穴熊自体は江戸時代の棋譜にもあったと聞きます。大山先生は古い棋譜を並べていたということですから、知識が生きたということでしょう。
二上先生も面白い作戦でしたが、地下鉄飛車は不発(運休)でした。仕掛けはまあまあですが、そのあとが重くなってしまいました。
41年度は棋聖戦2回、十段戦、今年度は名人戦で当たっています。大山先生の無敵時代でなければ二上先生はもっとタイトルがあったでしょうね。
20190602今日の一手
4月20日の名南将棋大会から、SさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は68飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は75飛と持ち駒角に加えて73桂も使えそうで3枚に近いです。
総合すれば後手やや有利です。
☆ 大局観として
問題図の少し前で
この図でした。82角と打ちこんで73角、71角成とできたかどうかです。
55角81馬77角成同桂同飛成98飛55桂48金引67桂成91馬
ここまで進みそうです。銀と角香の交換で馬VS竜成桂の作り合い、先手陣が乱れているので難しいのですが、こうやって勝負するべきでした。57成桂には69桂です。
また71角成の前に76歩を打つのもありました。
74飛71角成ならば55角が何でもないです。82角75歩という進行でしょう。
もう一度少し前の図で
82角以下の変化も踏まえて56歩を突いておくのも有効でした。それから角の打ち込みをねらえば良いのです。
82角73角同角成同桂とした問題図では
1手パスして後手に桂を跳ねさせたのですから、その代償がなければいけません。
この図は後手が少し有利になっているのだと思います。玉の堅さが同等に近い戦型では小さな違いが大差につながります。77銀と53銀の違い、89桂と73桂の違いがが大きいのです。
後手からは65飛や65桂が見えています。どうにか互角に近い変化があるでしょうか?後手の飛を捕まえることを考えてみましょう。
× 何か待っていると、例えば56歩ですが
65桂が嫌で、97角の反撃で何とかなると良いのですが。
77桂成に63飛成
案外にうまくいった感じがありますね。でも76成桂75角同成桂
先に駒損をする筋で良くなることは少ないです。
△ 何もしないよりは61角
と打っておくほうが良いです。65桂76歩77桂成に43角成同銀63飛成
両取りが残っています。52銀打同竜同銀75歩76成桂
角金交換で駒損、89桂も取られることになるかもしれませんが、後手玉が薄くなっています。寄せ合いに出れば形勢互角くらいです。
△ 実戦の76歩は素朴な手というか攻めを催促した手です。
74飛ならば角を打ち込んで先手が指せます。65飛しかないでしょう。飛交換では悪いので66銀64飛82角84角
歩切れが痛いです。77銀68飛成同銀69飛というのは
後手有利です。
実戦では73角成で勝負。
73同角65桂同飛同銀55角ならば悪いにしてもまだ指せます。66飛同飛同角
瞬間は銀歩と桂の交換ですが次第に駒損になります。63馬~81飛から強引に攻めてちょっと難しくなったのですが先手Oさんの寄せ合い負けに終わりました。
82角ではなく97角
のほうが良かったのです。
84飛は75銀~63飛成ですから、86歩同角88歩77桂89歩成64角同歩72飛
こんなところでしょうか。まだ悪いのでしょうが、苦しいというほどでもありません。
○ 64歩を突き捨てると
話が少し変わります。64同歩に76歩74飛63角
84飛66銀65桂75銀82飛74角成
今は歩切れですが、馬を作ればまあまあです。
65飛のほうが怖くて
66銀79角69飛66飛同飛65桂
駒得ですが後手に攻められることになります。おとなしく48金上と受けるか、69飛57角成74角58銀61飛
という寄せ合いか。良い勝負でしょう。
× 78歩と打つと
65桂の時に銀を逃げることができます。65飛66銀64飛97角
76歩と同じ筋で飛をいじめてみますが、86歩同角88角
角を打たれると駒損が待っています。
× 当初のねらいとしては82角ですが
86歩同歩85桂同歩同飛とされたら
両取りですから桂を取り返されます。91角成89飛成88飛同竜同銀78飛
香得というか先に取っているだけです。88銀が負担ですし玉の堅さの差が出そうです。
後手は65桂もあって
78歩と我慢しても77桂成同歩64角
64同角成同歩82角65飛同飛同歩
先に桂香を取れますが銀を失っています。89桂や99香を取られるでしょうから駒損になっていきます。
×か△ 83角ならば
65飛や65桂は防いでいますが、86歩同歩85桂
この筋は避けきれません。85同歩同飛61角成89飛成88飛同竜同銀78飛
先ほどとは82角と61馬の違いです。82飛42銀26桂67角
やはり後手に分がある終盤戦ですが、87飛成から粘るのでしょう。まだ指せないことはないです。
○ 技をかけに行くならば35歩です。
35同歩に34歩同金97角
という両取り筋があります。93角75角同角
歩切れで角飛の交換、3筋に傷があるので指し過ぎのようです。
ならば34歩を打たずに97角として、74飛34歩
このほうが良いでしょう。42銀33歩成同銀右
桂と歩歩の交換で後手玉が堅いままなので威張れませんが、25桂打24銀64歩同歩同飛
飛を交換し、33歩を打てば勝負にはなります。攻め将棋の方ならばこれが選択肢です。
○ 時々出てくる97角を最初に打つと
65飛66銀64飛65歩74飛(84飛でも)75銀
というのは成功です。
後手は74飛しかなく
75歩84飛66銀
ねらいは74歩同飛75銀です。95歩74歩同飛75銀94飛95歩同飛
ここから2通りですが、74歩65桂73歩成とするか(ちょっと駒得)
2つ前の図で84銀97飛成同香同香成
とするか。(ここから97桂よりは74歩~73歩成か73銀成が良いです。)
どちらの変化もまあまあでしょう。
☆ まとめ
元の形勢が悪いので互角に近い変化が難しいです。
問題図の前に1手損して73桂を跳ねさせたのですから、(損をしていますが)得なところを考えねばなりません。疑問手かもしれませんが、前に指した手を生かしたいのです。
後手の飛が狭いことに着目して、どこかで97角を打つ(97角、35歩同歩97角、76歩65飛66銀64飛97角)変化に持ち込めば勝負になりました。
97角以外には64歩同歩として飛車を追うことです。